現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

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 ダンジョンに現れた人型モンスターは、魔王軍の四天王の一人[鬼人族の長]で、ダンジョンに現れた理由は魔王を探してとの事だった。

 俺から魔王や他の四天王の魔力の残滓を感じると言われたので、自称四天王のカミュに事態を収拾して貰う為に来て貰った。

 そしてカミュと鬼人族の長が顔を合わせた。


「誰かと思えば鬼人の四天王じゃないですか。なぜこんな所に来られたのですか?」

 カミュは鬼人の長に質問をした。

『おお!ファントムナイトではないか!魔王様に急を要する用事があってな、魔王様を探していたらこのダンジョンから魔力の残滓を感じたので上がって来た訳だ。そう言えば魔王様の他にもお主の魔力残滓も感じるのだが、これはどう言う事だ?』

 鬼人の長は俺に言って来た事と同じ様な内容をカミュに説明した。

「魔王様はこのダンジョンにはおられません。おられませんが安全な場所で平穏に暮らしておられます。そして私は・・・」

 カミュはそこまでで一度話を止め、兜を脱いでイケメンフェイスを鬼人の長に見せてから話を続けた。

「こちらの臣様の従魔となり、今はカミュと名をいただいております」

 カミュがそう言うと鬼人の長は驚いた表情になり、俺の方を見て鋭い眼光を放ちながら話し掛けて来た。

『ファントムナイトの長が従魔だと・・・。お主ファントムナイトに何をした!こやつは誇り高き魔王様の四天王が一人、お主の様な人族が従えて良い存在ではない!返答によっては・・・儂の愛剣の錆にしてやるぞ!』

 なんか怒ってらっしゃる。

 カミュとの出会いは、カミュが急に現れてカミュが急に襲いかかって来て、カミュが勝手に負けそうになって、カミュから従魔になるって言って来たんだけどな・・・。

 思い返しても俺が悪い要素が見当たらない。

「カミュとは色々あって意気投合して、成り行きで従魔になって貰ったんですよ。一緒にご飯を食べたりもした良好な関係です」

 俺がそう言うと、カミュは家での食事を思い出した様で、

「主様の母上様が作られる手料理は絶品でした!悔やまれるは最上の酒を持参しておらず、母上様の手料理とのマリアージュを楽しむ事が出来なかった事です・・・。次回は忘れず持参いたします!」

 カミュにしては珍しく興奮を隠せない感じで話に加わって来た。

『話を聞く限りお主とファントムナイト・・・カミュは良好な関係の様だな。力で従わせる様なギスギスした物は感じられん。良き出会いを得たなカミュよ。・・・それよりも魔王様だ!カミュは魔王様が平穏に暮らしておられると言ったが、魔王様は何処におられる?急を要する用事があり参ったのだが、魔王様にお会い出来ないとなると、色々と不都合が生じる。知っているのであれば教えていただきたい!』

 鬼人の長は何か切羽詰まった様子だ。

「鬼人の長よ、どの様な用件で魔王様をお探しなのですか?」

 カミュが鬼人の長に、魔王を探している用件を問う。

『実はな、儂の倅が鬼人族の長を継ぎたいと言って来てな。親としてその願いを聞き届けてやりたいのだが、カミュも知っての通り、一族は儂の判断で継がせてやれるが四天王を継ぐのは別の話だ。それでどうした物かとご相談していただきたくてお探ししておった。常々思うが魔王様の放浪癖はなんとかならんもんか?』

 鬼人の長は、代替わりの件を嬉しそうにカミュに話していた。

 そう言えば俺も小さい頃祖父と親父に、「僕が大きくなったら、この田んぼと畑をもっと大きくしてあげるね!」と言ったら、二人とも顔が溶けそうな程の笑顔になってくれたな。

 やはり親は我が子が自分の跡を継いでくれる事が嬉しいのだろう。

 鬼人の長の嬉しそうな顔を見る限り、種族は違えど心は同じなんだなって思う。

「主様、鬼人の長の件は私が引継ぎますので、主様はご自分の目的を果たしてください」

 カミュがそう言って来たので、俺がダンジョンに潜っている理由を説明した。

 正体不明の、豪華な鎧を全身に纏った、高い知性を持つであろう、人型のモンスターがダンジョンを上がって来ていると。

 それを迎撃する為にここまで来たと。

 そして、その相手が鬼人族の長だったと。

 その話を聞いたカミュと鬼人の長は、大爆笑をしてから俺に話し掛けてくる。

「主様、我々魔王軍は魔王様の命により、他種族に攻め込む事を禁じられています。相手から攻めて来たら自衛の為に刃を振るいますが、こちらから攻める事は無いと思っていただいて結構です」

『我々魔族は先代魔王様の頃、戦いで要らぬ血を流し過ぎた。それを嘆いておられた今の魔王様は、我々が他種族に攻め込む事を禁じられた。正直戦いに疲れておったからな、魔王様の言葉は魔族にすんなりと受け入れられた。中には好戦的な者もおるが、歴代最強とも言われている魔王様に逆らう阿呆はおらんよ』

 二人とも戦いの意思は無いと伝えて来た。

 今の魔王は強くて優しい魔王なのだろう、そして放浪癖があり周囲を困らせている様だ。

「ん?・・・確かカミュって自分から俺に挑んで来たよね?」

 俺がそう言うと、カミュは焦りながら、「あの時は急に遭遇したので驚いてしまって」と、必死に言い訳して来た。

 凄く平和な場面だ。

「主様、私は鬼人の長と話をしますので、主様は地上に戻り安全だとお伝えいただけますか?後程私をいただければ、主様が戻られてからの顛末をご説明させていただきます」

 カミュがそう言って来たので、俺は防衛線まで戻り、警戒態勢を解除して貰う事にした。

 二人に出発する事を伝えると、鬼人の長は、

『倅に代替わりをするから、良かったら儂も従魔にしてくれんか?お主と過ごすのも楽しそうだ。なぁーに、お主の従魔になる数十年なんか、魔族の儂にしてみたら一瞬で過ぎる様なもんだ。今すぐにとは言わん。考えておいてくれ!』

 そう言って来たので、「考えてみる」と伝えてから2階層に降りる階段まで転移してから、防衛線のある1階層の階段室へと戻った。

 防衛線にいるメンバーは俺が戻って来た事に驚き、「やったか?」「失敗」「見つからなかった?」「忘れ物した?」などと声を掛けて来たが、青笹さんの姿を見つけたので青笹さんに報告をする事にする。

「戻りました。結論から申しますと、警戒態勢を解いていただいて大丈夫です。一応念の為、今日は探索を制限された方が良いかと」

 俺がそう言うと、階段室は歓喜の声に包まれた。

「ありがとうございます。安達さん、詳しくお聞かせいただきたいのですが」

 それはそうだろう。

 安全ですー、大丈夫ですー、の言葉だけでは、説明が足りていないのは理解している。

 俺はペットボトルの水を一口飲んでから、青笹さん達協会関係者に説明を始めた。




 
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