現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

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 全身の痛みに耐えながら、魔道拳銃の魔力が空になるまで魔鯛を撃ち続けた。

 魔道拳銃の発射可能弾数は、フルチャージの状態で50発。

 一発で魔鯛の体を削り取れるほどの威力を持った弾丸を、実に50発も撃ち込めば、今まで出会ったモンスター一頑丈な魔鯛でも、耐え切る事は出来なかった。

 全身がボロボロになった巨大な魔鯛は、光の粒子になり、ドロップ品へと姿を変えていった。

 俺は魔道拳銃の魔力をチャージさせて、低級回復薬を取り出し、低級回復薬でダメージを回復させてから、ドロップ品の回収に向かう。

 巨大な魔鯛がドロップしたのは、大きな魔石とスキルオーブ、そして巨大な魔鯛が一尾丸々ドロップされていた。

 これほどの大物がドロップしても、普通の探索者なら持ち帰る事が出来ないだろう。

 だが俺には収納スキルがあるし、収納袋だってある。

 俺はドロップ品を回収し、先程までの激闘を振り返った。

 先手を取ってありったけの弾丸を撃ち込んでいれば・・・、剣を使わずに射撃だけで制圧しとけば・・・、顔ではなく胴体を二つに切断しとけば・・・、タラレバにはなるが、あの時こうしていればと反省点がどんどん出て来る。

 どこか甘さが残っていた様だ。

 その証拠に、本気になればダメージを負わずに、戦闘を終える事が出来るだけの武力を持ちながら、しっかり攻撃を喰らいダメージを負っている。

 痛いのは嫌だ・・・。

 ならば圧倒的な力でモンスターをねじ伏せればいい。

 探索階層記録を塗り替えるのであれば、甘さを捨てて圧倒的な力を行使しなければ、記録を塗り替える事は出来ないだろう。

 痛みと学びを得た俺は、宝箱を探す為に立ち上がった。

 周囲を見渡すが宝箱はどこにも無く、その代わりにモンスターハウスの空間が歪んで行く。

 歪んだ空間から光の粒子が無数に現れ、現れた光の粒子は一つの形を作っていく。

 俺の周りに、光の粒子で作られた数十の魚の形が出来ると、光の粒子は徐々に光を失っていき、光が消えるのと同時に数十の魔鯛(通常サイズ)が現れた。

 モンスターハウスの攻略はまだ終わっていなかった様だ。

 俺は魔道拳銃を構え、必中スキルを発動させながら、魔鯛に射撃をしまくった。

 通常サイズの魔鯛は、弾丸が一発当たれば倒す事が出来たので、追加の魔鯛との戦闘は難なく終える事が出来た。

 たが油断は大敵。

 宙に浮かぶ魔鯛がいなくなったらすぐに、魔道拳銃のスライドを引いて魔力のチャージをさせる。

 そしてドロップ品を片っ端から回収し、次の魔鯛の出現に備えた。

 暫く待ってみたが、追加で出現するモンスターはいなかったので、モンスターハウスの攻略が出来た様だ。

 魔道拳銃を構えたまま、周囲を警戒する為に見渡すと、モンスターハウスの階段室側の出入口付近に宝箱が現れていた。

 俺は宝箱の元まで行き宝箱を観察する。

 今回の宝箱は、いつもと違い装飾のされた宝箱だった。

 いつもは木目を活かした板を繋ぎ合わせた箱の縁を、金属で補強した素っ気ない感じの宝箱だったのだが、今回はいつもと違い赤く塗られた板で箱の本体が出来ており、縁は金色の金属で補強がされていた。

 いつもより豪華に見える宝箱に鑑定をかけると、【宝箱:宝箱。罠と施錠は無し】と出て来たので、宝箱を開ける事にする。

 宝箱を開くとその中には、一振の刀とスキルオーブが一つ入っていた。

 俺は宝箱の中から刀とスキルオーブを取り出して、宝箱を収納へと回収してから、刀とスキルオーブの鑑定をする事にした。

 まずは刀から、

 【霊刀ヨコワ:生体から魔力を吸収し成長していく霊刀。成長と共に刀の能力も増えていく。現在の能力は不壊】

 成長する刀の様だ・・・、バスタードソードよりも使い勝手が良さそうなので、早速装備する事にしよう。


 次はスキルオーブ、

 【魔刃:剣を装備している時、魔力を剣に込めながら剣を振ると、魔力で出来た刃が発生する。刃の大きさは込める魔力で変わる】

 なるほど・・・、魔力で剣のリーチを伸ばすスキルの様だ。

 刃渡りが長くなくても、大きなモンスターを切断する事が出来る様になるのだろうか?

 これは使えるスキルかもしれない。


 ついでに巨大魔鯛からドロップしたスキルオーブも鑑定してみよう。

 【自然治癒:傷付いた身体を自然治癒させる。基本的には大気中の魔力を使って自然治癒させるが、自分の魔力を追加して使う事により、治癒速度を早める事が出来る】

 これはいい!

 回復薬を使わずとも自然に治癒してくれるのであれば、先程の様な戦闘の際にも、攻撃をしながら回復をする事が出来る。

 このスキルはすぐに取得しよう!

 今回のモンスターハウスの攻略で出たドロップ品や、宝箱のアイテムは有用な物ばかりだった。

 俺はバスタードソードを腰から取り外して収納の中に入れ、霊刀ヨコワを腰に装備してから、モンスターハウスから出た。

 今日の最終目標&キャンプ地にする予定の階段室に向かって、俺は歩き出した。

 階段室までの道中でモンスターと遭遇したが、魔導拳銃は使わず全て新しい武器[霊刀ヨコワ]で戦ってみた。

 バスタードソードもそこまで重たくはなかったが、バスタードソードと比べるとヨコワは非常に軽く感じ、片手で難なく振る事が出来た。

 そして切れ味も鋭く、魔鯛も魔イカも楽々切断する事が出来た。

 残念ながらデビルスカラップとは出会わず、あの硬い殻でのテストが出来なかった事が少々心残りだったが、魔鯛を楽々切断出来たので問題は無いだろう。

 そして切先も鋭く、魔鯛を刺した時に何の抵抗も感じる事なく、切先が魔鯛を穿いていった。

 さすが日本刀と言わざるおえないないだろう。

 そして新たな武器を手に入れてテンションとヤル気が向上した俺は、なんの障害を感じる事も無く、階段室へと到着した。

 今夜のキャンプ地はここだ。

 俺は野営セットを収納から取り出し、野営の準備を進めていく。

 寝床の確保が終わると、次は食事の用意だ。

 カセットコンロを取り出して、お湯を沸かしてパックご飯を温める。

 それと同時にデビルスカラップを取り出して、ナイフを隙間から差し込み貝柱と殻の接続部分を断って、殻を開く。

 貝ひもとウロを外して貝柱だけにして、外した貝ひもとウロは今回は捨てる事にする。

 残った貝柱を横に半分に切断し、半分は刺身で、殻に付いている残った半分は焼きで楽しむ事にした。

 焼きの貝柱が綺麗に剥がれる様に、殻と貝柱の隙間にナイフを差し込んでから、カセットコンロをもう一つ出して、殻をカセットコンロに直に乗せて点火する。

 刺身用の貝柱は外した殻を水で流してから、その貝殻の上で食べやすい大きさに切って、収納から取り出した醤油を掛けて完成だ。

 色気は無いが、男一人のキャンプ飯なんてこんなものだ。

 パックご飯も温まり、焼きの貝柱も良い香りを出して来たので、焼きの方にも醤油をかけて焼き貝柱も完成した。

 えっ?バターはどうしたのかって?

 残念な事にバターは持ってきておらず、今回の焼き貝柱は焦がし醤油で楽しむ事に相成りましました。

 もちろん刺身用のワサビも用意していない。

 それでもいいんだ。

 男一人のキャンプ飯だから。


 
 
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