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思いもよらぬ発見

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メダリオンを調べて分かった事。
結論から言うとこれは限界突破アイテムだ、ダンジョンを攻略する事が限界突破をする条件だったんだね。

てなわけで、、、。

・「セリスちょっとこっちに来てくれ。」

俺はセリスをテントの中に連れて行く。

・セリス
「ん?どうした。」

俺はセリスを呼び出した。
説明するのがちょっと怖い。

・「変な事を言うけど信じて貰えると助かる、別にそういう趣味があるとかじゃないからね?」

・セリス
「なんだ突然?ちょっと怖くなるな。」

セリスが少し警戒している。
あんな前置きだから仕方ないか。

・「失敗したくないからさ、悪いけど服を脱いで欲しいんだ。」

言ってて凄く恥ずかしい。
ほら、セリスも凄く引いてるよ。

・セリス
「ま、真昼間から?ライオットなら構わないけどみんなが見てるよ?」

変な誤解を生んでしまった。
いきなり変な事を言ってしまったのでセリスがお淑やかモードになり、盗み聞きしていたミズキたちが乱入、俺は見事に捕らえられました。
違うんです、俺の話を聞いて下さい。

・マルチ
「説明して。」

マルチさんが怒ってます。

・リーシュ
「いきなりどうしたの?」

リーシュに心配されています。

・ミズキ
「どうせならみんなでするべきです。」

ミズキがおかしな事を言います。
いやいや違うんですよ。

・「メダリオンを調べてたら限界突破アイテムだって解ってね、それでセリスの限界を突破させてあげようと思ったのです。」

・セリス
「本当か?」

セリスは嬉しそうに聞いてくるが他の3人はまだ疑っている様子です。

・リーシュ
「そうだったのね、ビックリした。」

リーシュが一番最初に納得してくれた。
理解があって嬉しく思います。

・マルチ
「服を脱ぐ必要性が解らない。」

マルチはまだ怒ってるみたい。

・ミズキ
「服を脱いだらやる事は一つです。」

ミズキが少し暴走中だ。
これはしっかり説明しなきゃな。

・「限界突破するにはメダリオンを体の中心核に埋め込む必要があるらしいんだ、中心核って言ったら例の場所だろう?失敗したしたくないから確実に場所を把握しようと思ってさ。」

『新生の儀』で魔力を流す場所がある、そこにメダリオンを埋め込む事が限界突破の鍵となるらしい。

・セリス
「前例が無いけど本当なの?」

セリスがお淑やかセリスになっている。
こっちのセリスも結構好きなのです。
だって可愛いんだもん。

・「メダリオンを鑑定すると『???』の項目が出て来るんだ、そこに魔力を流して少し細工してやると隠された文章が浮かび上がって来た。やり方も詳細に書いてあるから間違いないと思う。」

しかし誰がこんな仕組みを考えたんだろう?
絶対に鑑定前提で考えてあるよね?
まるでゲームの様に。

・セリス
「もっと強くなれるなら私は何でもするよ、ライオットなら信頼できるし。」

セリスが全面的に協力してくれる。
相変わらず行き当たりばったりなのが恐ろしい所ですが、リーシュの魔物化を解除できたんだから埋め込むくらい出来るだろう。

何だか魔物化のやり方に似てる気がする。

・「ありがとう、んじゃ服を脱いでもらっても大丈夫かな?」

セリスは恥ずかしそうに服を脱ぎだした。
何故かミズキも脱いだ。

俺の視線はミズキの方に行ってしまった。

・セリス
「おい、、、死ぬか?」

セリスに怒られました。
だってミズキさん凄いんですもの!

・リーシュ
「ミズキ、服を着て下さい。」

・マルチ
「ぬぅ、、、」

いつもお風呂で見ているリーシュは冷静に突っ込みを入れる、自分の胸を擦りながら唸るマルチがとても可愛く感じます。

・ミズキ
「ふふふ、いつでもいらしてね。」

ミズキはそう言い残しながら服を着る。
一体何だったんだ?
でも、凄く得をしました。

ありがとうございました。

・セリス
「ずっと立たせておく気か?」

すまんセリス。
ここだけはコントロール出来ない!
男ってのはそう言うもんなんだ。

ではなかった。
セリスを立たせっぱなしだった。

・セリス
「よし、一回ビンタしよう!」

セリスが勢いよく振りかぶる。
ここは甘んじて受け入れておこう。
だって俺が悪いんだしね。

パーン。

パーン。

バチコーン!

セリス、マルチ、リーシュの順番でビンタされました、一番の理解者だと思っていたリーシュの一撃が凄まじかったです。

・リーシュ
「回復魔法は要りませんよね?」

彼女が一番怖かったです。

そんなリーシュの姿に皆が引いていた。
そしてミズキはそそくさと姿を消した。
あの野郎、逃げやがった。

・セリス
「えっと、、、大丈夫か?」

・「ふぁぃ、へいきでふ。」

顔が腫れてる以外はね。

・「でふぁ、ふぁじめまふ。」

俺は痛みを堪えてメダリオンに魔力を流す、まずはメダリオンの形状変化だ。

・マルチ
「すごい、形が変わっていく。」

更に変化、物質を完全に魔力化する。

・リーシュ
「メダルが魔力に変わった?」

物質としてではなく魔力に変化させる必要があり、その上で体内の核に混ぜ合わせるのだ。やればやるほど魔物化と似た要領だな、あれはこの技術の応用なのかな?

魔物化は心臓に黒い鉱石をくっつけていただけだったけど、もしかしたら物質を魔力化して混ぜ合わせれば完ぺきな魔物化が出来るかもしれない。

いや、考えるの辞めよう。
何だか恐ろしくなってきた。

・「セリス、準備は良いか?」

・セリス
「おう、いつでも来い。」

セリスがいつもの状態に戻る。
俺の事を信頼しているのかな?
セリスに迷いは感じられない。

・「行くぞ。」

俺はメダリオンをセリスの中に流す。
セリスはビクッとするが目を閉じて動かない。

・セリス
「お前の魔力を私の中で感じる。」

セリスは力を抜いた。
全てを俺に委ねてくれたんだね。
お陰で魔力操作しやすくて助かるよ。

・「直ぐに済むからね。」

俺はセリスの核に魔力を流し込む。
マップ機能の譲渡でやった事だから簡単だ。

・セリス
「ん、、、んん、、。」

色っぽい声が聞こえるが集中しなきゃね。
失敗は許されない。

程なくして作業が終わる。

・セリス
「はぁはぁはぁ、、、」

裸のままでその場で座り込み、顔を赤らめ荒い息をする美少女。俺が感じているこの感覚は罪悪感?いや背徳感かな?後ろめたさが凄いです。

リーシュが直ぐに布をかぶせてくれた。
ナイスプレイですリーシュさん。

・マルチ
「大丈夫?セリス。」

・セリス
「ああ、、、大丈夫だ。」

息を整えながら何やら調べているセリス。

・セリス
「LV表示の所から☆マークが消えた、どうやら成功したみたいだな。」

良かった、上手く行ったみたいだね。

・リーシュ
「おめでとう、頑張ったね。」

・マルチ
「凄いね!私も早くLVあげなきゃ。」

・ミズキ
「歴史上でLV75を超えたという事実は一例しかありません、初代勇者様ただお一人だったと歴史書で読んだ事があります。彼も同じ様に限界を突破したのでしょうか?」

いつの間にか戻ってきたミズキ、全く都合の良い時だけ現れるんだから。後で覚えてなさいよ?

・セリス
「ありがとうライオット、少し恥ずかしかったがこれでまだ強くなれそうだ。お前と一緒に居られて本当に幸せだよ。」

嬉しそうな笑顔を見せてくれるセリス。

しかし俺は、、、
正直喜ぶ気にはなれなかった。

・セリス
「どうした?」

俺の異変を感じたセリスが問い掛ける。
限界突破が成功して正直ホッとした。

だが俺は考え込んでしまう。
恨むぞグラン、、、。

貴様が俺に託したって言ったのはこういう事だったのか?あの時渡してきた道具はセリスの為に使う物、百年周期で使っていた道具だったな。

・「悪い、みんな席を外してくれ。」

俺の尋常ではない雰囲気に不安を覚える女性たち、悪いが今はその事を気に掛ける程の余裕はない。

俺の仮説が正しいのであれば、、、

セリスは既に死んでいる。

簡単に言えばオートマタと言えば良いかな?自動で動き自動で考えて行動する人の形をした何かと言うしかない。

完ぺきにカモフラージュされているが心臓が止まっているんだ、正しく伝えられないけど中身を抜き取られていると表現すればいいのかな?

心臓があるんだけど存在していない。
そんな感じ?

とにかく正常とは言えない。
現在セリスを動かしているのは『疑似心臓』と呼べばいいのかな?その変な装置であって自力で動いている訳ではない。

他にも体のあちこちに様々な技術が施されているのが解る、痛んだ所は『疑似心臓』から流れる魔力で修復している様だった。

俺には生と死の境界線は解らない。
意思をもって行動している姿は生きていると考えても良いだろう、では死とはなんだ?動かなくなった時を死と呼ぶのか?

鑑定スキル何て取得するんじゃなかった。
セリスの心臓は『疑似心臓』だ、精巧に造り上げた作り物だという事が分かってしまった。

グランが造り出したのか?
何の為に?

グランはセリスを娘だと言った。
魔神に連れ去られたとも言っていたな。

魔神は倒せなくて封印した、、、。
本当に倒せなかったのか?

魔神は何の為にセリスを連れ去ったんだ?

くそ、嫌な想像しか出来ない。
あくまで仮説だが想像通りになりそうで嫌だ。

・「真実を知りたい、、、。」

俺は心から願う。
全てを知る必要がある。
その為にはどうしたらいい?

暫く考え込んだ。
一番の近道は何だろう?

・「ミズキ、来てくれ。」

俺は呟いた。

・ミズキ
「ここに。」

直ぐにミズキが現れる。
俺は一番に思い付いた事を伝えた。

・「黒龍を倒す!みんなは反対するかな?私的な事だから俺に付き合う必要はないんだけどやっぱり一人じゃ心細くてさ。」

決断するのは早かった。
でも自分の決定に躊躇してしまった。

黒龍は想像を絶する強さだと感じた。
あの時、本当に怖かったんだ。

弱気になっている自分が居る。
自身が無かった。
自分の仮説も信じたくなかったし。
何も信じられなく感じた。

何故か不安に押し潰されそうだった。

・ミズキ
「皆貴方に付いて行くでしょう、何も恐れる必要はありません。例え一人になったとしても私は貴方に付いて行きます。」

ミズキが俺を抱きしめてくれた。
俺は知らない間に涙が溢れていた。

この涙は何の涙だろう?
嬉しさの涙?悲しさの涙?

俺はこのとめどなく溢れてくる涙を止める事は出来なかった。
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