代わりはいると言われた私は出て行くと、代わりはいなかったようです

第１０話

　これからの行動を決めた後、私は宿に戻っていた。
　
　ギルドマスターとマルクスから、これからどうすればいいのかは聞いている。
　私の自由にしていいみたいで、契約とは違うようだ。

　冒険者ギルドに行き、私の名前を出すと材料の用意された別室に案内してくれるらしい。
　そこで私は調合魔法を使い、作ったポーションの買取をしてもらう。
　材料の料金は、そのポーションの金額から引かれているようだ。

　今日の出来事を思い返して、私は呟く。

「何も考えずに冒険者ギルドに行きましたけど、最高の結果になりました」

　これで生活に困ることはなさそうで、不安が消えたのは大きい。
　その中でも一番よかったのは――マルクスと出会えたことだ。

「マルクスは、素敵な人でした」

　私を気遣って、人々を助けるために回復魔法を使っていた姿を思い出す。
　冒険者ギルドを行き来していると、これからもマルクスと会えるかもしれない。

「これからの行動も決まりましたし、この国に来てよかった」

　私は今まで通りポーションを作って、これからは自由に生きていける。
　ザライン国は大変なことになりそうだけど、もう私には関係ない。

「これからマルクスの、冒険者ギルドのために頑張りましょう」

　代わりはいると言われた私は出て行くと、代わりはいなかった。
　これから私は調合魔法を使い、エトラス国で活躍することとなる。