平民を好きになった婚約者は、私を捨てて破滅するようです

天宮有

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第8話

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 私の前にローナがやって来て、アイン様が前に出てくれる。

 アイン様が聖女として役目が果たせるのか尋ねると、ローナが返答する。

「そんなに敵意を向けないでくださいよ……セリス様は私を虐げていました。それを後悔しているのではないかと思っただけです」

 ローナは私を見下しながら話し、アイン様は呆れながら尋ねる。

「聖女候補は嘘がつけるので、その発言が真実とは限りません」

「なっっ……私は今日、この場で聖女になるのですよ!」

 どうやら今までは聖女に選ばれたからで通っていたから、反論されるとは思わなかったようだ。

 物凄く動揺しながらローナが叫ぶと、アイン様が冷静に告げる。

「それなら先ほどの質問に答えてください――貴方は、聖女としての役目を果たせるのですか?」

「うっっ……果たせるに決まっています! その無礼、覚えておきなさい!」

 アイン様の発言にローナが怯んだ辺り、以前の女生徒に対して向けた凍てつく目になったに違いない。

 私を馬鹿にしたかったローナは逃げ去っていき、ラドアお兄様がアイン様に尋ねる。

「助かりました……アイン様、大丈夫ですか?」

 ローナの発言が気になって尋ねているけど、アイン様は一切気にせずに頷く。

「問題ない。聖女として認められるのは結果を出した時だが、ローナが結果を出すことはないからな」

「流石に聖女の力を得たばかりなら、慣れていないで誤魔化すかもしれません」

「いや、それはおかしいと聖女の歴史が証明するし、力が衰えていた先代以下の結果を出したら、流石に愚かさを理解するだろう」

 そして、新たに聖女の力を継承できるのはローナの力が衰えた時か、聖女の命が失われた時だ。
 アイン様が聖女について教えてくれたことで、今後の惨状を予測している。
 
 私はローナの今後、そして元凶であるヴィーオ家の末路を想像しながら――聖女の活動を見届けようとしていた。
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