妹の嘘を信じて婚約破棄するのなら、私は家から出ていきます

天宮有

文字の大きさ
15 / 43

第15話

ランド視点

 スピラト国の武器屋で、シャイナが働いている。
 居場所はわかったが、戻って来ることはないだろう。
 
 そんなことを考えていた俺とは違い、ザロアは嬉しそうだ。
 理解できないでいると、ザロアの発言に俺は驚くこととなる。

「これから私は、お姉様を連れ戻すためスピラト国へ向かいます」

「連れ戻す? そんなことができるのかい?」

 どうやらルドガーは、武器屋に「ザロアが悲しんでいる」とシャイナに伝えるよう店長に頼んだらしい。
 それは1週間前の出来事で、シャイナが戻ってくることはないだろう。

 それはザロアもわかっているはずなのに、連れ戻すと言ったことが俺には理解できない。
 理由を尋ねると、ザロアは自信に満ちながら話す。

「伝言を聞いたのかはわかりませんが、お姉様は今ごろ私に会いたくなっているでしょう。再会して話すだけで、お姉様は自分が間違っていたと理解します」

「そんなわけないだろう。ザロアはおかしくなったのかな?」

 家族が嫌になり家を出て行ったというのに、ザロアと話せば元の関係に戻る?
 発言が理解できない俺が困惑しても、ザロアは本心から言っているようだ。

「私は今まで愛されてきました。お姉様もそうです……怪我をした時に私が心配しなかったせいで出ていったようですが、そのことを謝れば戻って来ます」

「本気で言っているようだね……謝れば、戻って来る。か」

 ザロアが謝罪しても無意味だが、婚約していた俺が謝罪すれば戻って来るかもしれない。
 これからザロアがスピラト国へ向かうのなら、同行した方がよさそうだ。

 平民のシャイナからすれば、伯爵家に戻れると聞けば喜ぶだろう。
 この時の俺は、シャイナが公爵令息の屋敷に住んでいることを知らなかった。

あなたにおすすめの小説

幼馴染を囲う夫に、破滅を贈ります

たると
恋愛
結婚式当日。 幸せの絶頂で教会へ向かう途中、見知らぬ女に平手打ちされたエリアーナ。 「あなたさえいなければ」と叫んだのは、夫の最愛の幼馴染だという女。 それでも経済的に困窮する実家を救うため、エリアーナは泣き寝入りするしかなかった。

旦那様からお前なんて出て行ってほしいと言われたのでその通りにしたら、今になって後悔の手紙が届きました

睡蓮
恋愛
レオン第一王子と婚約者の関係にあったルミナス。しかし彼女はある日、レオンが自分の家出を望んでいる事を知ってしまう。ルミナスはそれを叶える形で、静かに屋敷を去って家出をしてしまう…。レオンは最初こそその状況に喜ぶのだったが、ルミナスの事を可愛がっていた国王の逆鱗に触れるところとなり、急いでルミナスを呼び戻すべく行動するのであったが…。

元婚約者だったから手加減するとでも?

真壁 莉雨
恋愛
愛も情も関係ありません。

何もしない聖女は、ただそこにいるだけで国を癒す ――偽聖女と追放されましたが、隣国で紅茶を飲んでいたら帝国が枯れました――

こもど
恋愛
「何もできませんし、何もしませんよ?」 神託によって聖女に選ばれた伯爵令嬢フローレンス・フィレンツェは、最初からそう告げていた。 けれど帝国は、彼女がいずれ奇跡に目覚めると期待し、第一皇子トロウの婚約者として迎え入れる。 しかし、どれだけ祈ってもフローレンスは目に見える奇跡を起こせない。 やがて炎と水の力を操る新たな聖女エリアが現れたことで、フローレンスは“偽聖女”と断じられ、婚約破棄と追放を言い渡されてしまう。 行き場を失った彼女を救ったのは、隣国トスカーナの第二王子フェルディナンドだった。 「何もしなくていい。君は、そこにいてくれるだけでいい」 そう言われ、フローレンスはトスカーナで紅茶を飲み、昼寝をし、穏やかな日々を過ごし始める。 すると、病に伏していた国王は目を覚まし、花は咲き、水は澄み、人々の心は癒されていく。 一方、フローレンスを追放した帝国では、作物が枯れ、水が濁り、病が広がり始めていた。 本当に国を守っていたのは、派手な奇跡を起こす聖女ではなく―― 「何もしない」と言い続けていた、彼女の存在そのものだった。 紅茶と昼寝を愛する“何もしない聖女”が、隣国で大切にされながら、傷ついた国と人々を静かに癒していく物語。

本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?

神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。  カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。   (※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m 

婚約破棄された公爵令嬢ですが、奪った義妹も捨てた王太子も継母も、全員まとめて地獄へ落とします

こもど
恋愛
卒業舞踏会の夜。 公爵令嬢エルシェナ・ヴァルモンは、王太子エドガーから大勢の前で婚約破棄を言い渡された。 隣にいたのは、儚げな涙で男たちの同情を集める義妹セラフィナ。 「お姉様に虐げられてきました」と訴える彼女を庇い、王太子はエルシェナを悪女として断罪する。 けれど彼らは知らなかった。 王家の華やかな暮らしも、王太子の立場も、社交界での信用も、その多くがヴァルモン公爵家――そしてエルシェナの存在によって支えられていたことを。 静かに婚約破棄を受け入れたその日から、エルシェナはすべてを止める。 王宮に流れていた便宜も、信用も、優先も。 さらに継母イザベルの不正、義妹セラフィナの虚飾、王太子の浅はかさを、一つずつ白日のもとへ晒していく。 奪ったつもりでいた義妹も、捨てたつもりでいた王太子も、家を食い潰していた継母も―― やがて名誉も立場も未来も失い、二度と這い上がれない生き地獄へ落ちていく。 これは、すべてを奪われかけた本物の公爵令嬢が、 自分を踏みにじった者たちへ救済なき断罪を下す物語。

【完結】破棄されたのは、婚約だけではありませんでした

しばゎんゎん
ファンタジー
「私、ヴァルディア伯爵家次男、レオン・ヴァルディアはエリシアとの婚約を破棄する」 それは、一方的な婚約破棄だった。 公衆の面前で告げられた言葉と、エリシアに向けられる嘲笑。 だがエリシア・ラングレイは、それを静かに受け入れる。 断罪される側として…。 なぜなら、彼女は知っていたからだ。 この栄華を、誰が支え、誰が築き上げてきたのかを。 愚かな選択は、やがて当然の帰結をもたらす。 時が来たとき、真に断罪される者が明確に示される。 残酷な結果。 支えを外し、高みを目指した結果、真っ逆さまに転落する男、レオン。 利用価値がなくなった男〘レオン〙を容赦なく切り捨てる女、アルシェ侯爵家令嬢のミレイユ。 そう、真の勝者は彼らではない… 真の勝者はすべてを見通し、手中に収めたエリシアだった。 これは、静かにすべてを制する才女と、 自ら破滅を選んだ愚かな者たちの物語。 ※毎日2話ずつ公開予定です(午前/午後 各1話を順次予約投稿予定)。 ※16話で完結しました

あなたがワインを浴びせた相手は、"子爵令嬢"じゃありませんわ

ばぅ
恋愛
公爵令息の恋人と噂されている「ルリア・ラズベルン子爵令嬢」と勘違いされ、夜会でワインを浴びせられた私。でも残念、完全な人違いです。