婚約者を奪われたのでこれから幸せになります

第１２話

　数週間が経って、ギレナが魔法学園に登校していた。

　ギレナは髪飾りを変えていて、アクセサリー型の魔法道具を装備している。
　グリンが調べてくれたから、デュラドが購入した物で間違いない。

　今日の午前は魔法を扱う授業で、広場に到着するとギレナが頭を下げて私に謝罪する。
　これは恐らく……広場にいる生徒達に、反省したと思わせるための演技だ。

「マイア様、申し訳ありませんでした」
「私より優れているというのなら、結果で示してください」
「そうですね……授業で、証明したいと思います」

　謝られたけど許す気はなくて、私は本心を話す。
　
　グリンの推測通りなら、授業中に魔法を使い私を攻撃するはず。
　事故と思わせたいようだけど、対策ができているから問題ない。

　そして授業が始まり、予想通りギレナは魔法で攻撃を仕掛けてくる。
　前よりも威力を増した火炎弾が迫ったけど、指輪が光って魔力により消えていく。
　グリンから受け取った魔法道具で防ぐことができて、杖を向けながらギレナが叫ぶ。

「そんな！？　どうしてマイアは、私の魔法を防げるのよ！？」
「ギレナ！　お前は何を言っている！？　今のは事故だ！！」

　ギレナの発言に、焦ったデュラドが叫ぶ。
　その姿を眺めて……私は呆れながら、ギレナに言う。

「魔力を強化する魔法道具を購入したのに、私に防がれてしまいましたね」
「偶然よ！　私の方が優秀に決まっているわ！！」

　明らかに私に向かって魔法を繰り出したから、授業中の事故にするのは無理だと思う。
　防がれたことが予想外で激昂したギレナは、再び私に向かって魔法による攻撃を繰り出した。

　指輪の魔法道具の力を何度も使うと、壊れてしまうかもしれない。
　それが嫌だから、私は魔法を使いギレナの攻撃を防いでいく。
　その後、先生達がギレナを取り押さえて――ギレナと、協力したデュラドは魔法学園を退学することとなっていた。