婚約破棄を謝っても、許す気はありません

第１５話

ザノーク王子視点

　魔法学園に入学して１ヶ月が経ち――俺は、ルドノを心配していた。

　入学するまでの半年間、俺はカルラの魔法を何度もみている。

　ルドノと同格だと思っていたが――魔法学園の成績は、ルドノよりもカルラの方がいい。

　どうやらルドノは、成績が公表されてカルラより劣っていることが気に入らないようだ。

　俺の部屋で、ルドノが唖然としながら呟く。

「この私が、学年で２番目……どれだけ努力をしても、カルラ様は上回ってくる……」

　俺の魔法学園での成績は学年でも上位に入るぐらいで、ルドノは学年２位だ。

　婚約者カルラが常に学年１位をキープしていて、最近のルドノは明らかに焦っている。

「ルドノよ、これは学園が勝手につけた順位だ。そこまで気にすることもあるまい」
　
「……ザノーク殿下の言う通りですね。申し訳ありません、カルラ様の方が優秀みたいです」

　俺の為に謝るルドノを眺めて――俺は、ルドノを追い詰める者が許せなくなる。

　そして――俺は身近にいる、婚約者カルラを強く敵視していた。