孤島送りになった聖女は、新生活を楽しみます

天宮有

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第1話

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「聖女ミレッサ! 貴様が国民を生贄にして力をつけていることは知っている!!」

 国王から城の大広間に呼び出されたかと思えば、私の知らないことを叫び出す。

 いつもは敬語で話していた陛下が、今日は激昂していた。

「陛下は何を仰っているのでしょうか?」

 魔物に取りつかれているのではないかと考えて、意識を陛下に集中させる。

 何か異常があればわかるけど、体に異変はないようだ。

 私が呆れながら尋ねると、陛下の隣にいる女性……公爵家の令嬢リノスが話す。

「アールド国は、他の国より遙かに平和でした。その理由が気になった陛下が調査したのです」

「平民にしては優秀だと思っていたが、人々の魂と魔力を得た結果だとはな――ミレッサは孤島に追放し、今日からリノスを新たな聖女にする!」

 陛下の宣言を聞いて、私は大広間にいる貴族達の狙いを理解する。

 どうやら公爵令嬢のリノスを聖女にしたいようで、捏造の罪で私を追い出したいようだ。

 平和になったことで、陛下は欲が出たのだと思う。

 この場で何を言っても無意味だと理解しているけど、私は言っておかなければならないことがある。

「リノス様を新しい聖女にするって……聖女の魔法は使えますけど、実力は私より遙かに劣りますよ」

 この1年間リノスに聖女の力を教えていたから、実力の差は理解している。

 リノスは聖女の力があるから協力したいと頼み込んでいたけど、最初から聖女の座を奪うつもりで学んでいたのかもしれない。

 私の発言を聞いて、激昂したリノスが叫ぶ。

「黙りなさい! それは貴方が人々の魂と魔力を取り込む外道だからよ!」

「ミレッサよ。貴様の罪は重い……これよりこの国に伝わる転移魔法を使い、孤島に幽閉する!」

 そう言って――私の足下に、魔方陣が発生する。

 私は魔法による呪いを受けることになり、弾くこともできたけど受け入れていた。

 ここで拒めば、それを理由に処刑してきてもおかしくはない。

 私が否定しても、この場にいる人は全てリノスが新しい聖女になるべきだと考えている。

 説得は無理で、私は魔方陣の効力を理解する。

「これは……遠くにある孤島に転移して、呪いを受けた私は孤島から出られないということですか」

「察したか! 前に使ったのは数十年前のようだが、成功したようだな!」

「孤島から出られないミレッサ様は、生き延びることも不可能でしょう。これで私が、新しい聖女です!」

 陛下とリノスの嬉しそうな声が聞こえるけど、私はこれからアールド国に起こることを想像する。

 私が聖女として守らなくなり、新しい聖女が微力なリノスになる。

「……アールド国は、終わりですね」

 国民の人達が不安になってしまうけど、私がいなくなったと知れば移民する人が多そうだ。

 それ程までに、私が聖女になる前と後では被害が違う。

 孤島での生活は不安だけど、平和なのは私が人々の魔力と魂を取り込んでいたからと言い出した。

 罪を捏造して私を排除した人が国王のアールド国なんて、もうどうでもいい。

 そう考えて――私は孤島に転移して、新しい生活を送ることとなる。
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