1 / 38
第1話
しおりを挟む
私アイラはサーノラ侯爵家の令嬢で、ほとんどの人が使えない聖なる魔法が扱えた。
それを知った王族は、私の力を欲したようだ。
私は第一王子ルグド・ムーディスの婚約者になって、半年が経っている。
ある日、魔法に長けた賢者の称号を持つ人が城にやって来て――ムーディス国では、これから聖女の儀式が行えると話していた。
数ヶ月後に聖女の儀式を行い、聖魔法が使える女性に聖女の加護が宿るらしい。
加護が宿ると今まで以上に聖魔法を扱えるようになるようで、国内には3人の聖女候補がいた。
私は聖女候補の1人で、これから聖女になるかもしれない。
そんな時に――婚約者のルグドは、聖女候補のシェムを好きになったようだ。
私は城の部屋に呼び出されて、ルグド王子から話を聞く。
シェムがルグドの隣にいて、私は尋ねる。
「ルグド殿下、本気で仰っているのですか?」
「本気だ。シェムの方がアイラよりも聖魔法の実力が上で俺は第一王子、婚約者は聖女でなければならない!」
「同じ聖女候補でも格差があります。これはアイラ様が、私より劣っていたから起きたことです」
子爵令嬢のシェムが、立場を気にせず私を見下した発言をする。
シェムが聖女候補の中で最も巧みに聖魔法を扱うけど、聞きたいことがあった。
「確かにそうですけど、シェム様はある日を境に急激に聖魔法が上達しましたよね」
「うっっ……覚醒しただけです! これから聖女になれる証拠でもあります!」
「シェムの言うとおりだ。実力で差があるのは事実、そして俺はシェムを愛している!」
ルグドが宣言して、これからの行動を話し出す
数週間後にあるパーティで私との婚約破棄を宣言するようで、慰謝料は払うらしい。
シェムが聖女に選ばれれば、何も問題ないとルグドは考えているようだ。
「聖女が決まれば、残り2人の聖女候補は聖女の補佐となる。アイラはシェムに尽くすといい」
「アイラ様が私に従うのですね。私が聖女に決まった時が、楽しみです」
もう聖女だと確信しているような言動をシェムはとり、私を嘲笑している。
そして――シェムが聖女になれないことを、私はすぐに知ることとなっていた。
■◇■◇■◇■◇■
ルグドに婚約を破棄すると言われてから、数日が経っている。
私は応接室で人を待ちながら、数日前の出来事を思い出していた。
数週間後にあるパーティで、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
慰謝料を払うと言っていたけど、ルグドとシェムは嬉しそうにしていた。
まだ来訪者が来ていないから、私は推測を呟いてしまう。
「ルグド殿下とシェム様の反応的に、婚約破棄は私に原因があるように仕向けそうです」
そしてルグドがシェムを新しい婚約者にするのは当然だと、貴族の人達に思わせそう。
私は何もしていないのに、シェムを好きになったルグドによって貶められてしまうかもしれない。
それが不安になっていると――応接室に、来訪者がやって来る。
金色の短い髪をした美青年で、屋敷に来たのは公爵令息のカインだった。
ムーディス国に1人しかいない賢者の称号を持つ人で、私に話しておきたいことがあるようだ。
「アイラ様――これから話すことを、誰にも聞かれないようにします」
「えっと、わかりました」
そう言ってカインが指を鳴らすと、周辺が光で包まれる。
周囲の音が遮断されたから、私とカインの会話は誰にも聞かれない。
ほとんどの人が扱えない魔法を使ったことで、気になった私は尋ねる。
「ここまでするほどとは、何かあったのでしょうか?」
私は聖女候補で、数日前に婚約を破棄してもらうとルグドに言われた。
思い当たる節を考えていたら、カインが告げる。
「はい――アイラ様が聖女です」
「えっ?」
「儀式には数ヶ月かかりますけど……アイラ様が聖女に決まったことを、先に報告することとなりました」
賢者の中で私と会っても不自然ではないカインが、報告するように頼まれたらしい。
ルグドが愛したシェムが聖女でないことを、私は知ることとなっていた。
それを知った王族は、私の力を欲したようだ。
私は第一王子ルグド・ムーディスの婚約者になって、半年が経っている。
ある日、魔法に長けた賢者の称号を持つ人が城にやって来て――ムーディス国では、これから聖女の儀式が行えると話していた。
数ヶ月後に聖女の儀式を行い、聖魔法が使える女性に聖女の加護が宿るらしい。
加護が宿ると今まで以上に聖魔法を扱えるようになるようで、国内には3人の聖女候補がいた。
私は聖女候補の1人で、これから聖女になるかもしれない。
そんな時に――婚約者のルグドは、聖女候補のシェムを好きになったようだ。
私は城の部屋に呼び出されて、ルグド王子から話を聞く。
シェムがルグドの隣にいて、私は尋ねる。
「ルグド殿下、本気で仰っているのですか?」
「本気だ。シェムの方がアイラよりも聖魔法の実力が上で俺は第一王子、婚約者は聖女でなければならない!」
「同じ聖女候補でも格差があります。これはアイラ様が、私より劣っていたから起きたことです」
子爵令嬢のシェムが、立場を気にせず私を見下した発言をする。
シェムが聖女候補の中で最も巧みに聖魔法を扱うけど、聞きたいことがあった。
「確かにそうですけど、シェム様はある日を境に急激に聖魔法が上達しましたよね」
「うっっ……覚醒しただけです! これから聖女になれる証拠でもあります!」
「シェムの言うとおりだ。実力で差があるのは事実、そして俺はシェムを愛している!」
ルグドが宣言して、これからの行動を話し出す
数週間後にあるパーティで私との婚約破棄を宣言するようで、慰謝料は払うらしい。
シェムが聖女に選ばれれば、何も問題ないとルグドは考えているようだ。
「聖女が決まれば、残り2人の聖女候補は聖女の補佐となる。アイラはシェムに尽くすといい」
「アイラ様が私に従うのですね。私が聖女に決まった時が、楽しみです」
もう聖女だと確信しているような言動をシェムはとり、私を嘲笑している。
そして――シェムが聖女になれないことを、私はすぐに知ることとなっていた。
■◇■◇■◇■◇■
ルグドに婚約を破棄すると言われてから、数日が経っている。
私は応接室で人を待ちながら、数日前の出来事を思い出していた。
数週間後にあるパーティで、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
慰謝料を払うと言っていたけど、ルグドとシェムは嬉しそうにしていた。
まだ来訪者が来ていないから、私は推測を呟いてしまう。
「ルグド殿下とシェム様の反応的に、婚約破棄は私に原因があるように仕向けそうです」
そしてルグドがシェムを新しい婚約者にするのは当然だと、貴族の人達に思わせそう。
私は何もしていないのに、シェムを好きになったルグドによって貶められてしまうかもしれない。
それが不安になっていると――応接室に、来訪者がやって来る。
金色の短い髪をした美青年で、屋敷に来たのは公爵令息のカインだった。
ムーディス国に1人しかいない賢者の称号を持つ人で、私に話しておきたいことがあるようだ。
「アイラ様――これから話すことを、誰にも聞かれないようにします」
「えっと、わかりました」
そう言ってカインが指を鳴らすと、周辺が光で包まれる。
周囲の音が遮断されたから、私とカインの会話は誰にも聞かれない。
ほとんどの人が扱えない魔法を使ったことで、気になった私は尋ねる。
「ここまでするほどとは、何かあったのでしょうか?」
私は聖女候補で、数日前に婚約を破棄してもらうとルグドに言われた。
思い当たる節を考えていたら、カインが告げる。
「はい――アイラ様が聖女です」
「えっ?」
「儀式には数ヶ月かかりますけど……アイラ様が聖女に決まったことを、先に報告することとなりました」
賢者の中で私と会っても不自然ではないカインが、報告するように頼まれたらしい。
ルグドが愛したシェムが聖女でないことを、私は知ることとなっていた。
17
あなたにおすすめの小説
そちらがその気なら、こちらもそれなりに。
直野 紀伊路
恋愛
公爵令嬢アレクシアの婚約者・第一王子のヘイリーは、ある日、「子爵令嬢との真実の愛を見つけた!」としてアレクシアに婚約破棄を突き付ける。
それだけならまだ良かったのだが、よりにもよって二人はアレクシアに冤罪をふっかけてきた。
真摯に謝罪するなら潔く身を引こうと思っていたアレクシアだったが、「自分達の愛の為に人を貶めることを厭わないような人達に、遠慮することはないよね♪」と二人を返り討ちにすることにした。
※小説家になろう様で掲載していたお話のリメイクになります。
リメイクですが土台だけ残したフルリメイクなので、もはや別のお話になっております。
※カクヨム様、エブリスタ様でも掲載中。
…ºo。✵…𖧷''☛Thank you ☚″𖧷…✵。oº…
☻2021.04.23 183,747pt/24h☻
★HOTランキング2位
★人気ランキング7位
たくさんの方にお読みいただけてほんと嬉しいです(*^^*)
ありがとうございます!
身に覚えがないのに断罪されるつもりはありません
おこめ
恋愛
シャーロット・ノックスは卒業記念パーティーで婚約者のエリオットに婚約破棄を言い渡される。
ゲームの世界に転生した悪役令嬢が婚約破棄後の断罪を回避するお話です。
さらっとハッピーエンド。
ぬるい設定なので生温かい目でお願いします。
【完結】そんなに好きならもっと早く言って下さい! 今更、遅いです! と口にした後、婚約者から逃げてみまして
Rohdea
恋愛
──婚約者の王太子殿下に暴言?を吐いた後、彼から逃げ出す事にしたのですが。
公爵令嬢のリスティは、幼い頃からこの国の王子、ルフェルウス殿下の婚約者となるに違いない。
周囲にそう期待されて育って来た。
だけど、当のリスティは王族に関するとある不満からそんなのは嫌だ! と常々思っていた。
そんなある日、
殿下の婚約者候補となる令嬢達を集めたお茶会で初めてルフェルウス殿下と出会うリスティ。
決して良い出会いでは無かったのに、リスティはそのまま婚約者に選ばれてしまう──
婚約後、殿下から向けられる態度や行動の意味が分からず困惑する日々を送っていたリスティは、どうにか殿下と婚約破棄は出来ないかと模索するも、気づけば婚約して1年が経っていた。
しかし、ちょうどその頃に入学した学園で、ピンク色の髪の毛が特徴の男爵令嬢が現れた事で、
リスティの気持ちも運命も大きく変わる事に……
※先日、完結した、
『そんなに嫌いなら婚約破棄して下さい! と口にした後、婚約者が記憶喪失になりまして』
に出て来た王太子殿下と、その婚約者のお話です。
〖完結〗役立たずの聖女なので、あなた達を救うつもりはありません。
藍川みいな
恋愛
ある日私は、銀貨一枚でスコフィールド伯爵に買われた。母は私を、喜んで売り飛ばした。
伯爵は私を養子にし、仕えている公爵のご子息の治療をするように命じた。私には不思議な力があり、それは聖女の力だった。
セイバン公爵家のご子息であるオルガ様は、魔物に負わされた傷がもとでずっと寝たきり。
そんなオルガ様の傷の治療をしたことで、セイバン公爵に息子と結婚して欲しいと言われ、私は婚約者となったのだが……オルガ様は、他の令嬢に心を奪われ、婚約破棄をされてしまった。彼の傷は、完治していないのに……
婚約破棄をされた私は、役立たずだと言われ、スコフィールド伯爵に邸を追い出される。
そんな私を、必要だと言ってくれる方に出会い、聖女の力がどんどん強くなって行く。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
聖女に厳しく接して心を折ることが国の発展に繋がるとは思えませんが?
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるエリ―ナは、新たに聖女となった平民の少女のことを心配していた。
王族や貴族の中には、平民が権力を持つことを快く思わない者がいる。それをエリーナはよく知っていたのだ。
特に王子と王女の苛烈さは、エリーナさえも毒牙にかかるくらいだった。
平民の聖女が、その二人に飲み込まれかねない。そう思ったエリーナは聖女補佐として聖女を守ることにした。
エリーナは同じく聖女の補佐となった侯爵令息セフィールとディオラスとともに、平民の聖女を守っていた。
しかしそれでも、王子と王女は牙を向いてきた。二人は平民の聖女の心を折るべく、行動していたのだ。
しかし王家の兄妹は、自らの行動が周囲からどう思われているか理解していなかった。
二人の積もりに積もった悪行は、社交界から王家が反感を買うことに繋がっていたのだ。
これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?
satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。
結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…
婚約破棄でかまいません!だから私に自由を下さい!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
第一皇太子のセヴラン殿下の誕生パーティーの真っ最中に、突然ノエリア令嬢に対する嫌がらせの濡れ衣を着せられたシリル。
シリルの話をろくに聞かないまま、婚約者だった第二皇太子ガイラスは婚約破棄を言い渡す。
その横にはたったいまシリルを陥れようとしているノエリア令嬢が並んでいた。
そんな2人の姿が思わず溢れた涙でどんどんぼやけていく……。
ざまぁ展開のハピエンです。
【完結】王太子は元婚約者から逃走する
みけの
ファンタジー
かつて、王太子アレン・リオ・アズライドは、婚約者であるセレナ・スタン公爵令嬢に婚約破棄を告げた。
『私は真実の愛を見つけたのだ!』と、ある男爵令嬢を抱き寄せて。
しかし男爵令嬢の不義により、騙されていたと嘆く王太子。
再びセレナと寄りを戻そうとするが、再三訴えても拒絶されてしまう。
ようやく逢える事になり、王太子は舞い上がるが……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる