婚約者の愛した人が聖女ではないと、私は知っています

天宮有

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第19話

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ルグド視点

 牢から出てきたシェムと、俺は部屋で話す。
 どうやらシェムは、魔法が使えなくなったようだ。
 シェムの発言を聞き、俺は頭を抱えるしかない。

「馬鹿な……どうしてシェムは、魔法が使えなくなっている!?」

「私は聖女の儀式が終わるまでは問題ないよう、魔力を得るタイミングを調整していました」

 そして予定通りなら、シェムは聖女になることで何も問題なかった。
 現実はアイラが聖女になっているから、状況は最悪だ。
 聖女の補佐になって力を得ているようだが、魔法が使えないのだから意味はない。
 これからどうすればいいのか悩んでいると、シェムが話す。

「ルグド殿下、落ちついてください」

「落ちつけだと!? 無理に決まっているだろう!!」

 俺は叫びながら、シェムの言動が異常だと理解する。
 本来なら、魔法が使えないシェムが取り乱すはずだ。
 それなのにシェムは余裕があって、俺は叫ぶ。

「なぜシェムは、そこまで冷静でいられる!?」

「私は最悪の事態……聖女に選ばれなかった場合を、想定していました」

 シェムは自らの行動が、聖女として正しくないと考えていたらしい。
 そして俺は、シェムの話を聞いて驚くこととなっていた。
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