魅了魔法が効かない私は処刑されて、時間が戻ったようです

天宮有

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第3話

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 元魔王と名乗ったレインは、私が処刑される前に何をしたのか話してくれる。

 異界の掟の力は絶対のようで、魔王でも覆すことはできないようだ。

 本来なら掟で私を助けることはできないようだけど、処刑されてすぐに時間を戻すのは問題ないらしい。

 時間を戻すことでレインは力をほとんど使い、魔王でなくなってしまったようだ。

 異界での生活ができなくなったようで、私の元に来たようだ。

「俺だけしか時間に干渉できる魔王は存在しないから、異界では利用しようと目論む者ばかりだった……魔王という立場を捨てることができて、むしろよかったと思っている」

「そ、そうですか……」

 レインから何が起きたのか聞いたけど、私は唖然とするしかない。

 それでも時間が戻ったという結果から、レインが元魔王で時間を戻してくれたのは間違いない。

「レイン様、ありがとうございます」

「敬語はいらない。この世界で俺は平民のようなものだ」

 私が敬語になってしまったのは、レインの魔力が膨大すぎるからだ。

 時間を戻して魔力の大半を失ったと言っているけど、今まで出会ったどの魔法使いよりも強い。

 真っ先にお礼を言いたくて、次に私はレインに尋ねる。

「あの……どうしてレインは、私を助けてくれたの?」

 時間を戻してまで、レインは私を助けてくれた。

 処刑を阻止するのは異界の掟というものでできないみたいだけど、それより私を助ける理由がわからない。

 私は尋ねると、レインが少し顔を赤くして話す。

「それは……俺は時々、この世界に遊びに来ていた」

「そうだったのですか」

「魔力を抑えて平民として行動していただけだが……その時リーゼと出会い、俺は守りたいと想うようになっていた」

 どうやらレインと昔会っていたみたいだけど、私は覚えていない。

 それでもレインにとっては、私との出会いは大切な思い出のようだ。

「君が処刑されると知った時、全てを捨ててでも助けるために行動したくなった。そうしなければ後悔すると、俺は確信したからだ」

 レインが行動した理由を話して、私は納得する。

 昔レインと出会い、私は力になったはず。
 私にとっては些細なことだったと思うけど、レインにとっては違った。

 そして私を守ってくれた――それがわかっただけで十分だ。

「レイン、ありがとう。私の元に来たのは、時間を戻した理由を話しにきたの?」

 再びお礼を言って尋ねると、レインは真剣な表情で私を眺める。

「それもあるが、リーゼは俺と一緒にこの国を出た方がいいと思う」

「それは――」

「――ダーロスはリーゼではなくベネサを好きになって、魅了魔法の力を利用していた」

 ベネサの発言だから真実かわからなかったけど、レインが断言する。

 どうやらダーロス王子は、魅了魔法の力を知ってベネサを好きになったようだ。

 私もこの国から出た方がいいと考えて、レインと一緒に行動しようと決意していた。
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