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第8話

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 私はヨハンの発言に、内心焦っていた。

 ――別の人の魂が入ったという方が、納得できる。

 転生する魔法はシンディが作りだした魔法のようなもので、この世界には存在していない。
 シンディが知らないだけかもしれないけど……魔法学園で好成績のシンディでも知らないことだ。

「あの、私としては自信がついただけですけど、そこまで違いますか?」

 今まで魔法が使えなかったから、魔法が使えるようになって自信がついた。

 環境で人は変わるというし、魔法が存在するこの世界なら皆納得する確信していたのに、ヨハンは怪しんでいる。

 そしてヨハンは、真剣な表情で話す。

「仕草や発言の際の音量が僅かに違います。自信がついたと言っても、まるで別人のようです」

「えぇっ……」

 仕草とか発言の音とか、ヨハンは何を言っているのだろう?
 シンディの記憶を見ているのだから一番詳しいはずの私より、ヨハンの方がシンディについて詳しい気がする。

「思想も変わっています。今までは人なら誰でも力になりたいと常に周囲を気にしていたのに、今は一部の者以外どうでもよさそうです」

 オリドスはやり返すと敵視して、ヨハンは守りたいと考えていたけど、それ以外の人は特に興味はなかった。

 ヨハンはシンディをよく見ているけど……ここまで怪しまれているのなら、本当のことを話した方がいいのかもしれない。

 そう考えてしまうと、ヨハンが話を続ける。

「今の私が何を言っても無意味でしょう。これから他者の魂が入る魔法がないか、とにかく調べることにします」

「そう、ですか」

「シンディ様が自ら選んだのなら、何も言いません……その可能性の方が、高そうな気がします」

 ヨハンは悲しそうに呟いたけど……これは今日の私が、ヨハンを助けるために行動していたからだ。

 恐らくヨハンは、私がシンディになった理由を察しているに違いない。
 それでも確証が持てないから、これから別人の魂が入る魔法がないか調べるようだ。
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