私の魔力を全て奪って婚約破棄するようですが、奪えるのは1週間だけです

天宮有

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第91話

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 私は目の前の黒い小犬が喋ったことに、驚くしかない。

 喋る動物を見るのは、これで2度目だ。

 1度目の災獣ルオウは、私を消すために行動していた。

 小さいとはいえ、容姿も似ているから警戒してしまうと……黒い小犬は、私とアインに再び頭を下げる。

「僕の名前はラウと言います……異界から来た魔物です」

 異界から来た魔物だけど、敵意がないことは気になってしまう。

 思案していたアインは、ラウと名乗った黒い小犬に尋ねる。

「ラウ……どうして、この屋敷に来た?」

「……わかりません。彷徨っていたら、偶然ここに来ていました」

 ラウは小首を傾げながら返答して、その姿が愛らしい。

 本当に魔物なのか疑ってしまうほどで……私は、アインを見る。

 ラウを眺めて、アインは何かに気づいたようだ。
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