平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました

天宮有

文字の大きさ
2 / 158

第2話

しおりを挟む
 城からフロース家の屋敷に戻り、私は家族にラドン王子から言われたことを全て報告する。

 ラドンは平民のミレサを好きになって、私の方から婚約破棄させようとしていた。

 慰謝料を王家が払うことも伝えるけど、どうして私は今までラドンのことが好きだったのかわからなくなっている。
 今日の出来事によって、私はラドンのことがどうでもよくなっていた。

 報告を終えると――お父様は驚いていて、私を心配してくれる。

「ラドン殿下はとんでもないことを言うものだ……ルーナ、大丈夫か?」

「どういう意味ですか?」

「ルーナは、その、今までラドン殿下を愛していただろう」

 私は今までラドン王子のために行動したいと、家族に何度か話していたことがある。

 ラドンを愛している気持ちを知っているから、お父様は私が傷ついていると思ったようだ。

 ショックは受けたけど、ラドンの暴言で私は愛することをやめた。
 今では婚約者でなくなることが嬉しいと思えるほどで、私はお父様に本心を伝える。

「お父様、私はラドン殿下の目の前で「お前の方から婚約を破棄して欲しい」と言われました。ラドン殿下のことなんでもうどうでもいいです」

 今日のラドンの暴言によって、私は関わりたくないと思えるようになっていた。

 昨日までの私なら考えられなかったけど、ラドンはそこまでのことをしている。
 私が平気だと話すと、お母様が頷いて話す。

「陛下に慰謝料を払わせれば問題ないと考えていそうなのが最低ね。ルーナは婚約破棄できてよかったじゃない」

「そうだな。これから交渉になるが……私は、ラドン殿下を説得しなくてよいのだな?」

 お父様も、お母様と同じ気持ちのようだ。

 それでも確認はしたかったようで、私は本心をお父様に話す。

「はい。約束通り私の方からラドン殿下との婚約を破棄しますけど――手は打ちます」

 ラドンとの婚約を私から破棄すれば、フロース公爵家の評判は落ちる。

 それは嫌だから、なにかしら手を打つ必要はあった。
 落ちた後で評判を取り戻す方法を、私は考えようとしていた。

■◇■◇■◇■◇■

 家族の話し合いを終えて、私は部屋で1人になって思案する。

 今日の出来事を思い出すと、ラドンに対して苛立つしかない。

 そしてミレサのことを思い出して、私は呟く。

「ラドンの言うとおり、ミレサは権力以外、全て私を上回っています」

 ミレサと初めて出会ったのは、去年のことになる。

 貴族が多い魔法学園に、成績が優秀だから入学できた平民がミレサだ。

 平民だから貴族達のミレサに対する評判は悪いけど、魔法の実力が学年トップなのは間違いない。

 私も魔力だけならミレサと同じぐらいのはずだけど、いつも2番目だった。

「それでも……今日のラドンの発言のせいか、今の私はミレサに勝てそうな気がします」

 確信があって、私は思案する。

 ――今まで私は、順位にこだわることはなかった。

 魔法は魔力と意志の力が重要とされていて、今までは意志の力でミレサに負けてしまう。

 今の私はラドンに対する復讐心によるものか、意志の力も強くなっていることを自覚できる。

 その後、数週間が経って――私は、ラドンに婚約破棄を言い渡そうとしていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】そんなに好きなら、そっちへ行けば?

雨雲レーダー
恋愛
侯爵令嬢クラリスは、王太子ユリウスから一方的に婚約破棄を告げられる。 理由は、平民の美少女リナリアに心を奪われたから。 クラリスはただ微笑み、こう返す。 「そんなに好きなら、そっちへ行けば?」 そうして物語は終わる……はずだった。 けれど、ここからすべてが狂い始める。 *完結まで予約投稿済みです。 *1日3回更新(7時・12時・18時)

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。

藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。 学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。 そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。 それなら、婚約を解消いたしましょう。 そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。

婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい

神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。  嘘でしょう。  その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。  そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。 「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」  もう誰かが護ってくれるなんて思わない。  ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。  だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。 「ぜひ辺境へ来て欲しい」  ※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m  総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ  ありがとうございます<(_ _)>

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...