2 / 23
第2話
しおりを挟む
私が精霊の生贄になると聞いてから、数日が経っていた。
今日は私が持っている聖女の力を、姉エイレスに渡す式典の日だ。
その式典で――国民達は、私に暴言を吐いてくる。
「聖女の癖に国のことを考えず、生贄になりたくないとよく言えたものだ!」
「姉のエイレス様が聖女になると、自分の無能さが知られてしまうとアイリスは思ったようね」
「さっさと聖女の力をエイレス様に渡し、アイリスは精霊の生贄になれ!」
国民達の私に対する暴言を聞くけど、私は生贄になっても無意味だと言っただけだ。
どうやら事実を歪曲して国民達に伝えたようで、私は国民達から敵意を向けられていた。
今まで国の為に貢献していた聖女が消えれば、国民の反感を買うかもしれない。
そう考えたドルウッド王や貴族達はとにかく私の評判を落とし、姉エイレスの評判を上げようとしている。
私の隣に立っていたエイレスは、笑みを浮かべて話す。
「アイリスは皆に嫌われているわね……私に聖女の力を渡さないと、大変なことになるわよ」
精霊と仲がいい私を生贄にして、聖女の力はエイレスに渡すことになっている。
聖女の力を渡すには本人の意思が必要になって、渡すのを拒めない状況を作りたかったようだ。
「アイリス! 潔く聖女の力をエイレス様に渡せ!」
式典に来ている国民達の暴言を聞き――私は、ドルウッド国のことがどうでもよくなっていた。
姉エイレスを聖女にしようだなんて、無茶でしかない。
すぐに後悔するのは解っているけど、私が何を言っても聞かないから諦めている。
この式典を早く終わらせたいから、聖女の力をエイレスに渡そう。
「私は――聖女の力を、エイレスに渡します」
聖女の力をエイレスに渡すと決意してから、私は宣言する。
そうすることで私は全身が白く光り輝き、その光がエイレスの体に移っていく。
「これが聖女の力……これで私は聖女として大成できる!」
エイレスが叫ぶけど、聖女の力は聖なる魔法が使えるようになるだけだ。
魔力の向上は僅かで、私の実力が高かっただけなのに……エイレスは認めようとしなかった。
エイレスは私を蔑むように眺めながら、拡声器の魔法道具を使って国民達に話す。
「間違いなくアイリスから聖女の力を受け取りました――今より私が聖女となり、明日アイリスは精霊の生贄になります!」
エイレスの発言によって国民達は歓喜するけど、まず精霊は生贄を求めていない。
この国の人達は間違いなく後悔するけれど、私はもうドルウッド国がどうなっても構わないと思っている。
そして翌日――私は、精霊の元に向かうこととなっていた。
今日は私が持っている聖女の力を、姉エイレスに渡す式典の日だ。
その式典で――国民達は、私に暴言を吐いてくる。
「聖女の癖に国のことを考えず、生贄になりたくないとよく言えたものだ!」
「姉のエイレス様が聖女になると、自分の無能さが知られてしまうとアイリスは思ったようね」
「さっさと聖女の力をエイレス様に渡し、アイリスは精霊の生贄になれ!」
国民達の私に対する暴言を聞くけど、私は生贄になっても無意味だと言っただけだ。
どうやら事実を歪曲して国民達に伝えたようで、私は国民達から敵意を向けられていた。
今まで国の為に貢献していた聖女が消えれば、国民の反感を買うかもしれない。
そう考えたドルウッド王や貴族達はとにかく私の評判を落とし、姉エイレスの評判を上げようとしている。
私の隣に立っていたエイレスは、笑みを浮かべて話す。
「アイリスは皆に嫌われているわね……私に聖女の力を渡さないと、大変なことになるわよ」
精霊と仲がいい私を生贄にして、聖女の力はエイレスに渡すことになっている。
聖女の力を渡すには本人の意思が必要になって、渡すのを拒めない状況を作りたかったようだ。
「アイリス! 潔く聖女の力をエイレス様に渡せ!」
式典に来ている国民達の暴言を聞き――私は、ドルウッド国のことがどうでもよくなっていた。
姉エイレスを聖女にしようだなんて、無茶でしかない。
すぐに後悔するのは解っているけど、私が何を言っても聞かないから諦めている。
この式典を早く終わらせたいから、聖女の力をエイレスに渡そう。
「私は――聖女の力を、エイレスに渡します」
聖女の力をエイレスに渡すと決意してから、私は宣言する。
そうすることで私は全身が白く光り輝き、その光がエイレスの体に移っていく。
「これが聖女の力……これで私は聖女として大成できる!」
エイレスが叫ぶけど、聖女の力は聖なる魔法が使えるようになるだけだ。
魔力の向上は僅かで、私の実力が高かっただけなのに……エイレスは認めようとしなかった。
エイレスは私を蔑むように眺めながら、拡声器の魔法道具を使って国民達に話す。
「間違いなくアイリスから聖女の力を受け取りました――今より私が聖女となり、明日アイリスは精霊の生贄になります!」
エイレスの発言によって国民達は歓喜するけど、まず精霊は生贄を求めていない。
この国の人達は間違いなく後悔するけれど、私はもうドルウッド国がどうなっても構わないと思っている。
そして翌日――私は、精霊の元に向かうこととなっていた。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
1,295
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる