婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有

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第22話

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 兵士長と共に来たルドノスと対面して、私は呆れている。
 王子であるルドノスが説得すれば、私が従うと考えているようだ。

 院長が別室にいるマウロ王子を呼びに向かい、私はルドノスを眺める。
 笑みを浮かべているのは、説得できると確信しているからかもしれない。

 様子を伺っていると、ルドノスが私に提案する。

「君が仮面の聖女か。俺はランアス国の王子ルドノスだ」

「そうですか。何の用でしょうか?」

 要件はわかっているけど、私は尋ねる。
 兵士長に伝えているというのに、来た理由を聞いておきたかった。

「俺の妻にしてやるから、ランアス国に来て欲しい」

「お断りします。そちらの方に、どんな条件を出されてもランアス国には行かないと伝えました」

 声で正体を知られるかと思ったけど、仮面越しだからか何も気づいていない。
 崖から突き飛ばしたミレナが目の前にいるなんて、ルドノスが考えるわけなかった。

 返答を聞きルドノスは驚愕し、私に向かって叫ぶ。

「ぐっっ……王子の俺がここまで来て頼んでいるのに、貴様は拒むと言うのか!?」

「はい。私は貴方よりもマウロ王子の傍にいたいと思っています」

 断言して、マウロ王子の名前が出たことでルドノスは怯んでいる。
 王家と問題を起こしたくないのがよくわかるけど、この場にマウロ王子はいないと考えていそう。

 私の発言を聞いたルドノスが、兵士長を眺める。
 それと同時に手で合図を出したようで、治療院に10人の兵士が乗り込んできた。

 武装した兵士達は私を取り囲み、捕らえるつもりなのでしょう。
 強引な手段をとるつもりでいるけど、前世が聖女の私なら対処できそうだ。
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