婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有

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第30話

ルドノス視点

 仮面の聖女を捕らえることができず、俺達はランアス国の城に戻っていた。

 玉座のある部屋で、俺と兵士長は何が起きたのかを報告する。
 国王と宰相が動揺していない辺り、無理だと察していたようだ。

 焦っている俺とは違い、冷静な宰相が話す。

「失敗すると思っていました。周囲から聖女と呼ばれている人に勝てるわけないと、ルドノス殿下がニールド国へ向かう前に忠告しています」

 実態に何度も止められていたが、俺は問題ないと確信している。
 納得させるために父の国王は許可を出し、俺達は宰相の予想通り何もできず戻って来た。

「ぐっ……無理だとわかっていたのなら、別の手段を考えているのだろうな!!」

 余裕のありそうな宰相を睨み、俺は叫ぶ。
 冷静なのは策があるからで、宰相は頷いた。

「陛下と話し合って決めました。これにはルドノス殿下の協力も必要になります」

「俺の協力が必要だと……どういうことだ?」

「まずは仮面の聖女の正体を知り、そこから懐柔するつもりです」

 現状は説得しても断られて、兵士達を使っても倒されている。
 打つ手がないから、宰相は仮面の聖女の正体を知ることにしたようだ。

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