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21歳の底無し沼
不味くなったオムライス
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「未来さんの中で、僕ってどんなイメージですか?」
と謎な質問を突然ドヤ顔投げかけられた。
「年上のお兄さんっていうイメージしかないです。」
と自分の中の知恵を絞って、無難だと思う回答をした。RINEでお誘いが来た時、make friends cafeで配布されたその日の参加者リストを見て、年齢を把握しておいた。ののさんは、26歳とリストに記載があった。記載が正しければ私より5歳年上だと、あらかじめ分かっていた。参加者リストに記載されている事を、信用していなかったが、難癖を年上からつけられたら面倒だ。あんまり失礼がないようにと思っていた。すると、ののさんは、
「あれ?未来さんって、女性にこんなこと聞くのも、失礼ですけどおいつくなんですか?」
と聞かれて、
「21歳です。」
とバカっぽいトーンで答えた。すると、
「え、もっと歳近いと思ってました。自分は26です。」
とののさんは驚いたようなリアクションをした。そこから、
「今は普通に見えるかもしれないけど、僕学生時代いじめられてたんですよ!」
と話が訳のわからない方向へと行った。
「そうなんですね。私もいじめられたことありますよ」
とできる限りの相槌を打った。自分の過去の辛い体験など私はほぼ初対面の人に話す気になれなかったからだ。それにしても、彼は、会話のキャッチボールというものを知らないのかなと思った。何の脈絡もないのに何で学生時代のいじめの話を持ってくるんだろう。彼のコミュニケーションのセンスの無さをひしひしと感じた。そこから1時間ののさんの受けた学生時代のいじめのリサイタルが始まった。
「食べながら話しましょう。」
と料理が運ばれてきたときに言ったのに、私がオムライスを口に運ぼうとすると、話していた口がピタッと止まりじーっと5秒ほどこちらを見てきた。あまりに見られるので、オムライスが乗ったスプーンをおこうとしたら、
「僕がいうのも何ですが冷めないうちに食べてください。食べながら話しましょう」
と笑顔で言われた。一口オムライスを食べるたびにそれをされたので、食べる手は運びがすごく遅くなっていた。正直言って、オムライスはただでさえ好きではないのに、もう冷え切って美味しくなかった。それに拍車をかけるかのように、
「僕は学生時代、昼ごはんいつもパシリさせられてました。」
とか、
「陸上部だったんですけど、そこでもいじめられてて~、部活のグループRINEがあったんですけど、入れてもらえなかったですねー。」
とここは不幸自慢大会かと思うくらいののさんの語りは凄かったが、自分の過去に受けたいじめと比べて可愛いもんではないかと思ってしまった。しかし、それを口には出さずに
「そうなんですね。」
と頷くだけの相槌マシーン化に徹していた。
「ある日、部活のいじめがつらすぎて、包丁持って、顧問のところへ行ったんですよ!それで、「僕は部活でいじめられて辛いです。死にたいぐらいなんです」って包丁を顧問に突き付けたんですけど、そしたら顧問は「お前はどうしたいんだ」って言われて目が覚めて、僕は陸上がしたいです。ってなって部活は続けました。」
という、どこの世界の熱血教師だよ⁈と心の中では突っ込んでいた。そんな教師はいないと思っている。そもそも包丁が出てきた時点で学年会議に掛けられるであろう。ニュースにもなってもおかしくないレベルなんじゃないか。そんな嘘っぱちどっから引っ張ってきたん?って思いながら、
「そうなんですね。」
と言う私であった。
と謎な質問を突然ドヤ顔投げかけられた。
「年上のお兄さんっていうイメージしかないです。」
と自分の中の知恵を絞って、無難だと思う回答をした。RINEでお誘いが来た時、make friends cafeで配布されたその日の参加者リストを見て、年齢を把握しておいた。ののさんは、26歳とリストに記載があった。記載が正しければ私より5歳年上だと、あらかじめ分かっていた。参加者リストに記載されている事を、信用していなかったが、難癖を年上からつけられたら面倒だ。あんまり失礼がないようにと思っていた。すると、ののさんは、
「あれ?未来さんって、女性にこんなこと聞くのも、失礼ですけどおいつくなんですか?」
と聞かれて、
「21歳です。」
とバカっぽいトーンで答えた。すると、
「え、もっと歳近いと思ってました。自分は26です。」
とののさんは驚いたようなリアクションをした。そこから、
「今は普通に見えるかもしれないけど、僕学生時代いじめられてたんですよ!」
と話が訳のわからない方向へと行った。
「そうなんですね。私もいじめられたことありますよ」
とできる限りの相槌を打った。自分の過去の辛い体験など私はほぼ初対面の人に話す気になれなかったからだ。それにしても、彼は、会話のキャッチボールというものを知らないのかなと思った。何の脈絡もないのに何で学生時代のいじめの話を持ってくるんだろう。彼のコミュニケーションのセンスの無さをひしひしと感じた。そこから1時間ののさんの受けた学生時代のいじめのリサイタルが始まった。
「食べながら話しましょう。」
と料理が運ばれてきたときに言ったのに、私がオムライスを口に運ぼうとすると、話していた口がピタッと止まりじーっと5秒ほどこちらを見てきた。あまりに見られるので、オムライスが乗ったスプーンをおこうとしたら、
「僕がいうのも何ですが冷めないうちに食べてください。食べながら話しましょう」
と笑顔で言われた。一口オムライスを食べるたびにそれをされたので、食べる手は運びがすごく遅くなっていた。正直言って、オムライスはただでさえ好きではないのに、もう冷え切って美味しくなかった。それに拍車をかけるかのように、
「僕は学生時代、昼ごはんいつもパシリさせられてました。」
とか、
「陸上部だったんですけど、そこでもいじめられてて~、部活のグループRINEがあったんですけど、入れてもらえなかったですねー。」
とここは不幸自慢大会かと思うくらいののさんの語りは凄かったが、自分の過去に受けたいじめと比べて可愛いもんではないかと思ってしまった。しかし、それを口には出さずに
「そうなんですね。」
と頷くだけの相槌マシーン化に徹していた。
「ある日、部活のいじめがつらすぎて、包丁持って、顧問のところへ行ったんですよ!それで、「僕は部活でいじめられて辛いです。死にたいぐらいなんです」って包丁を顧問に突き付けたんですけど、そしたら顧問は「お前はどうしたいんだ」って言われて目が覚めて、僕は陸上がしたいです。ってなって部活は続けました。」
という、どこの世界の熱血教師だよ⁈と心の中では突っ込んでいた。そんな教師はいないと思っている。そもそも包丁が出てきた時点で学年会議に掛けられるであろう。ニュースにもなってもおかしくないレベルなんじゃないか。そんな嘘っぱちどっから引っ張ってきたん?って思いながら、
「そうなんですね。」
と言う私であった。
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