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高校一年生
▽顔合わせ
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各学年の各クラスからそれぞれ四名ずつ選出された文化祭実行委員の主な仕事は、所属する学年の実行委員会として進行と状況の把握、準備を行う事である。
今日はその文化祭実行委員会の初めての顔合わせだ。
「今日の放課後顔合わせだよな? 俺オフで良かった」
ベコベコと音を立てて凹むパックジュースの空を咥えてプラプラと弄びながら陽呂が言い、その隣でキヨが読みかけの小説から目を離して頷く。
「俺も、今日図書当番の日じゃなくて良かった」
「あー、せやなぁ。今日当番やったらもし三宅ちゃん来た時絡めへんもんなぁ」
俺の煽りに顔色ひとつ変えず、キヨが照れくさそうに頬を赤らめて「うん」と素直に頷く。
俺はそんなキヨがちょっと羨ましくて唇を尖らせ、気付いたデンが「アホ」と冷ややかな視線を送ってきた。
予定のない放課後に胸を撫で下ろす俺らに、デンが「せやけど」と向き直る。
「今日は顔合わせと進行の打ち合わせやろ? ほんで今後は毎週水曜日と金曜日の放課に現状報告のミーティングがあって、間に合うてへんクラスがあったら手伝うなり対策練るなりせなアカンて言うてたで。俺らは兎も角、陽呂はスポーツ推薦で来てんのに大丈夫なん?」
そう言うと陽呂は「あー」と気の無い返事をしながら頷いた。
「どうせ途中合宿で抜けっけど、それまではな」
「もし自主練なりなんなり、やりたい時は言いや。優先順位見失わんようにな」
「蓮華マジ大人だよな。春生も見習った方がいいんじゃね?」
「お前にだけは言われたないわ!」
* * *
そして迎えた放課後、俺は具合の悪いチワワさながら身を強張らせながら震えとった。
潤んだ俺の目に映るのは愛しの涼子チャン。ああああ! 笑てるぅ!
咽び泣きそうになる俺に涼子チャンが首を傾げる。
「瀬川君も実行委員なんだ。よろしくね」
小さく手を挙げてそう言う涼子チャンに「んよろくぅ」と奇妙な発音で俺も片手を挙げた。
途端にずっしりとした重みを両肩に感じる。陽呂が俺の肩を掴んで勢い良く背中に飛びついてきた。
「しょーこー! え、お前も実行委員だったのか? 俺聞いてねんだけど」
無意識に陽呂が落ちひんようにしっかり背負い直す俺。
隣でデンが陽呂の背中をパンと叩いたのがわかった。
「お前仮にもスポーツマンやねんから、そういう無茶はせんとけよ」
「レンってマジで頭堅ぇよな~」
唇を尖らす陽呂を笑いながら硝子ちゃんが答えた。
「そういえば陽呂には言ってなかったもんね。っていうか、水藤くんの言う通りだよ。あんた一人ならまだしも、瀬川くんまで怪我させちゃったら大変でしょ」
「お前ら俺の親かよ」
一気にテンション落とした陽呂にゲラゲラ笑いながら「ほなお前子供やん! 彼女とられてもうてるやん!」言うたら髪の毛噛まれた。
「バカ陽呂! キモいことしない!」
立ち上がって声を上げる硝子ちゃんに続いてデンが諭すように陽呂を覗き込む。
「せやで、陽呂。人間の髪の毛がなんぼ不潔か知ってるか? ええか、髪の毛っちゅうんは一見綺麗には見えるけどー-」
「やめえ! 自分ら陽呂叱ってたんちゃうんか! 何で俺が汚いみたいな話しんなっとんじゃ! 涼子チャンの前でやめろや!」
そして意味ありげに含み笑いをする陽呂と硝子ちゃん。……夫婦までならんでもカップルのうちから似てくねんな。
ほんでデンは「聞いとるか、陽呂? もっぺん言うけど髪の毛は--」やないねん。なんやお前病気か? 先生病か? 陽呂飽きてお前の動画撮り始めてんで。俺に背負われたまま。
「--あっ、小宮さん!」
「え? あ! 白石くんも実行委員なんだ!」
颯爽と小宮ちゃんに絡みに行ったキヨの幸せそうな背中。俺、一生忘れへんやろな。
「うん、小宮さんもだったんだ。知らなかった、よろしくね」
「こちらこそ、よろしくね」
俺らは忘れとった。俺らのクラスが特例なだけで、各クラスから男女二人ずつ実行委員が選出されとることを--
今日はその文化祭実行委員会の初めての顔合わせだ。
「今日の放課後顔合わせだよな? 俺オフで良かった」
ベコベコと音を立てて凹むパックジュースの空を咥えてプラプラと弄びながら陽呂が言い、その隣でキヨが読みかけの小説から目を離して頷く。
「俺も、今日図書当番の日じゃなくて良かった」
「あー、せやなぁ。今日当番やったらもし三宅ちゃん来た時絡めへんもんなぁ」
俺の煽りに顔色ひとつ変えず、キヨが照れくさそうに頬を赤らめて「うん」と素直に頷く。
俺はそんなキヨがちょっと羨ましくて唇を尖らせ、気付いたデンが「アホ」と冷ややかな視線を送ってきた。
予定のない放課後に胸を撫で下ろす俺らに、デンが「せやけど」と向き直る。
「今日は顔合わせと進行の打ち合わせやろ? ほんで今後は毎週水曜日と金曜日の放課に現状報告のミーティングがあって、間に合うてへんクラスがあったら手伝うなり対策練るなりせなアカンて言うてたで。俺らは兎も角、陽呂はスポーツ推薦で来てんのに大丈夫なん?」
そう言うと陽呂は「あー」と気の無い返事をしながら頷いた。
「どうせ途中合宿で抜けっけど、それまではな」
「もし自主練なりなんなり、やりたい時は言いや。優先順位見失わんようにな」
「蓮華マジ大人だよな。春生も見習った方がいいんじゃね?」
「お前にだけは言われたないわ!」
* * *
そして迎えた放課後、俺は具合の悪いチワワさながら身を強張らせながら震えとった。
潤んだ俺の目に映るのは愛しの涼子チャン。ああああ! 笑てるぅ!
咽び泣きそうになる俺に涼子チャンが首を傾げる。
「瀬川君も実行委員なんだ。よろしくね」
小さく手を挙げてそう言う涼子チャンに「んよろくぅ」と奇妙な発音で俺も片手を挙げた。
途端にずっしりとした重みを両肩に感じる。陽呂が俺の肩を掴んで勢い良く背中に飛びついてきた。
「しょーこー! え、お前も実行委員だったのか? 俺聞いてねんだけど」
無意識に陽呂が落ちひんようにしっかり背負い直す俺。
隣でデンが陽呂の背中をパンと叩いたのがわかった。
「お前仮にもスポーツマンやねんから、そういう無茶はせんとけよ」
「レンってマジで頭堅ぇよな~」
唇を尖らす陽呂を笑いながら硝子ちゃんが答えた。
「そういえば陽呂には言ってなかったもんね。っていうか、水藤くんの言う通りだよ。あんた一人ならまだしも、瀬川くんまで怪我させちゃったら大変でしょ」
「お前ら俺の親かよ」
一気にテンション落とした陽呂にゲラゲラ笑いながら「ほなお前子供やん! 彼女とられてもうてるやん!」言うたら髪の毛噛まれた。
「バカ陽呂! キモいことしない!」
立ち上がって声を上げる硝子ちゃんに続いてデンが諭すように陽呂を覗き込む。
「せやで、陽呂。人間の髪の毛がなんぼ不潔か知ってるか? ええか、髪の毛っちゅうんは一見綺麗には見えるけどー-」
「やめえ! 自分ら陽呂叱ってたんちゃうんか! 何で俺が汚いみたいな話しんなっとんじゃ! 涼子チャンの前でやめろや!」
そして意味ありげに含み笑いをする陽呂と硝子ちゃん。……夫婦までならんでもカップルのうちから似てくねんな。
ほんでデンは「聞いとるか、陽呂? もっぺん言うけど髪の毛は--」やないねん。なんやお前病気か? 先生病か? 陽呂飽きてお前の動画撮り始めてんで。俺に背負われたまま。
「--あっ、小宮さん!」
「え? あ! 白石くんも実行委員なんだ!」
颯爽と小宮ちゃんに絡みに行ったキヨの幸せそうな背中。俺、一生忘れへんやろな。
「うん、小宮さんもだったんだ。知らなかった、よろしくね」
「こちらこそ、よろしくね」
俺らは忘れとった。俺らのクラスが特例なだけで、各クラスから男女二人ずつ実行委員が選出されとることを--
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