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第一章 召喚されたからって勇者はしない
第四話 脱出…?成功
しおりを挟む「お三方には大変なことをしたと思っている。申し訳なかった。元の世界には還してやれないがここでの生活は保証しよう。したいことがあったら何でも言ってくれ」
ムキムキな強面ひげ面おじさんが頭を下げる。
なんかしたかな。俺たち…。
父に会わせるとか言われて王女様についてきた石田 怜、篠田 桜、そして俺は部屋に入った瞬間にこういわれ、頭を下げられた。
「えっと…私たちなにかしましたか…?」
頭を下げ続けていた王の姿と沈黙した場に耐えられなかったのか、篠田が王に言葉をかける。
篠田の言葉で頭をあげた王は申し訳なさそうに口を開いた。
「それがだな……君たちの力では勇者の仕事は務まりそうもない……。勝手に呼び出しといて悪いが、君達を勇者とは民には紹介できないのだ。本当にすまない!!」
王が俺たち三人に向けて再度頭を下げる。王としてただの子供に頭を下げるのはあまりよろしくないのか、さっきから家臣達が国王に「頭をお上げください!!」と小声で叫んでいる。
あと国王のてっぺんハゲがちょいちょい顔を覗かせる。やめてくれ、笑ってしまう……。
頭をあげてくれ!俺と家臣達の心は一つになった。
「どういうことだ?確かに勇者ではなかったが、俺達はそれなりに強いと思うんだが」
俺達全員巻き込まれ組ってことか?。俺が外れたのは駄女神のおかげだと思うが……こいつらは一体?
「……この世界では魔法の力が最も重要視されているんだ。魔法とは精霊や神の力を借りて行使するもので、魔法によっては国一つを消すことさえできる。それ程までに強力なものなのだ。勇者はもちろん扱えるし、戦闘職の者もそのほとんどが使える。一般人ですらも日常的なものは使用できるのだが……。君達には魔法の才能が欠片もない。これでは日常では困らんが討伐などは難しいだろう」
なるほど、俺たちが集められた理由がこれか。
俺たち三人は向こうの世界では恩恵型だったからな。魔法が使えなくても納得ができる。そして、俺たちが恩恵や魔術、兵器利用といった特殊な力を持つことはここの人間は知らない。
なにも知らない人間からすれば俺たちは雑魚も雑魚。使えないやつってことか。
……待てよ?したいことがあればなんでもって言ってたなあのじいさん。
これ、ここ抜けるチャンスじゃね?あのクラスともこれでおさらばできんじゃん!?
「王様?なんでもってなら、俺はこの世界を旅したい。知らない世界を回って見聞を広げるのもいいかなって思ってさ」
「あ?黒田?恩恵のこ…
(黙れ石田。俺はここを抜け出したいんだよ。このクラスは俺には居心地が悪い。頼むから合わせてくれ)
……わかった」
「旅をすると言ってもこの世界は魔物が徘徊している。危険だぞ?魔法がないというのにどうするつもりなのだ?」
「それについては安心しろ。考えがあるんだ」
「……そうか、わかった。旅に出るのを認める。ある程度の金もやる。しかし、安全は保証できんぞ?」
「わーってるよ。俺は今からでも行きたいんだが、可能か?」
「……可能だ」
よし!これで抜け出せるぞ。
「待て、俺も旅に出たい。理由は黒田と同じだ」
「わ、私も!」
なっ!!こいつら俺の策に便乗しやがった!!なんてやつらだ。
旅に出るのは変わらないから別にいいんだけどね。
しかし金まで貰えるとはな。予想以上の成果だな。
奥から執事服を着た男が俺達に布袋をひとつずつ渡す。うおっ、結構あるな。
「一応銀貨50枚、金貨30枚、白銀貨を2枚入れておいた。当分の生活は大丈夫だろうよ」
「ありがとうな。ま、力つけて帰ってくるわ。そしたら戦争とかもある程度手伝ってやるよ」
「はぁ、期待しないで待ってるよ。……達者でな」
俺達はそのまま城を出た。
これからどうするか。
金を貰ったがなにするかははっきり決まってないしなぁ。
「黒田、お前はこれからどうする?俺は篠田と世界旅行をすることにしたが…」
なるほど、貴様勝ち組だったか。
心の中で邪魔してやろうかとも一瞬思ったが篠田の笑顔をみたらその気も失せた。くっ!可愛い!!
「俺は適当にやるさ。負けることはねぇだろうしな」
「そうか。確かにお前が負けることはないな。なんだっけ…?全能者…?だったか?」
俺の負けない発言に石田が肯定し、篠田は同意しているのか首を縦に振っている。
「それやめてくれ、かなり恥ずかしいから。現代で二つ名とかやばいだろ」
他にも魔王とか、死神とか、戦争王だとか身に覚えのない二つ名が付いている。こういうのって誰がつけるんですかね……ネットとか?
「それだけお前の強さが認められてたんだろうよ。そういえばさ、お前がいなくなって日本やばくないか?世界最強があの国にいないってことは他国攻め放題ってことだろ?」
「あぁ?んなこと知るかよ。俺は軍の飼い犬じゃねぇんだよ。俺を恐れてたっつうならそれこそ間違いだ。俺の邪魔さえしなければ殺さないし、争う気もない」
あいつらの犬だと思われるのは癪だ。確かに俺は軍の一人ではあるが奴等に服従してる訳じゃないし、命令も聞く気がない。もともと、戦争には自由参加でも構わないというのと、自国だけは攻撃しないでほしいという契約のようなものを結んだだけだ。だから、俺からしたら知ったこっちゃないって感じだ。
「そ、そうか。帰ったときには日本が無かったとかやめてくれよ…?」
「そんな話はどうでもいいさ。俺はもう行くぞ?」
「あ、あぁ引き留めて悪かったな。では…『白炎』」
自分の恩恵を口にした石田の背中から白い炎の翼がはえる。
「きゃっ!」
そして、流れるように篠田をお姫様だっこ。
こやつやりおる……。
そのまま上昇し、西側へと飛んでいった。かっけぇわぁ。
俺もそろそろ行きますかね。まずは獣耳を求めて西の大陸ラドラスへと行こう。獣耳ハーレムつくりたいなぁ…。モフりたいなぁ…。
うん。行こう。ラドラス行こう。
よーし、『変身』!!
白銀の毛並みを持つ巨大な狼へと自身の姿を変える。
俺の持つ便利系恩恵『変身』。自分の思い浮かべた姿に自由に変われる力。 異形の化け物だろうが、有名な神や神獣にもなれる。カモフラージュとか気分転換とか暇なときに楽しめる恩恵だ。
今日はとりあえず地を駆ける神獣フェンリルといこう。この世界にフェンリルがいるかはしらんがね。
〈フェンリルは存在します。クラスはSSSこの世界における最高ランクです。楓さまならば討伐は可能です。〉
……君は誰だい?俺の恩恵にこんなのいなかったはずだが?
〈私は世界眼の持つ能力の一つです。楓さまのサポートをさせていただきます。よろしくお願いします。〉
お、おう。よろしくお願いします……?
ざわざわ…ざわざわ…
ん?なんだ?辺りが騒がしいな……
「フェ、フェンリルだ!!」
「厄災の神獣がなぜ!?」
「逃げろ!逃げろ!!」
そこかしこから「キャー」とか「うわぁぁ!」とか悲鳴が聞こえる。
……あれっ?……あっ…
俺今神獣だわ…。やっべぇ……!!
よし、逃げよっか。うん。とっとと逃げよう。善は急げ猛ダッシュだ!
ダンッ!
本気で地面を蹴る。地面に大きなクレーターができ、一気に100メートル程飛び進む。うむ。はやいはやい。
あっという間に外壁に到達する。勢いのままに飛び越え走り続ける。
超スピードで数十分走り、大分町から離れた所で休憩をする。
つ、つかれたわぁ…。
あさはかだった……。そりゃ街中に伝説の神獣が現れりゃあ騒ぎになるわな。
人の姿に戻り近くにあった木にもたれ掛かる。
これが休むという字の成り立ちか…。
そのまま少し寝て、体力回復を待つ。
緑が豊かで空気が美味い。川の流れる音に鳥のなく声。ゆっくりと時が流れる。こういった落ち着いた雰囲気は嫌いじゃない。今日は騒がしい一日だったから気分がいい。
「きゃぁぁぁ!!!」
突然の叫び声が!びっくりしました……。体がビクッとなり、それに驚いた鳥たちが逃げていってしまった。
今度はなんだと声の方を見る。
すると数100メートル先で馬車がいかにも盗賊といった感じの男達に襲われているのがみえた。
ほぉ。テンプレってやつかな?異世界旅行初の馬車遭遇。大切にしていきたいし、助けますか。
ーーーーーーーー
どうもはたつばです。
感想にて指摘していただいた誤字の修正を致しました。
失礼しました。
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