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少年は桃太郎と対峙する15(過去編①)
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朱丸が村へ入ると、母がいた。
「お帰…⁉︎」
母が朱丸の後ろの男を見て驚愕に震える。
「母…ちゃ…ごめ…なさ…」
首に刀をあてられたまま、涙を浮かべた朱丸。
この男が、桃太郎の子孫で、朱丸を脅し、結界の中に入ったのだと、母は一瞬で理解した。
「あ、朱丸…」
「逃げてみんな! 早く逃げ…」
桃寿郎は、叫ぶ朱丸を突き飛ばした。地面に転がって、顔を上げた時には、桃寿郎が母へ刀をふりかざす所だった。
「母ちゃん!」
刀が母の体を切り裂き、倒れていく。母は苦しそうに呻く。
「その…刀…」
「気が付いた? 破鬼の剣と言って、かつて桃太郎が使っていた刀だ。普通の刀で斬っても、鬼はすぐに治ってしまう。でも、この刀は鬼を退治する特別なものでね。例え致命傷じゃなくても、その傷は長い間ジクジクと痛み、熱を生み苦しみを与える。
ふふ…苦しそうだね。今楽にしてあげるよ」
「母ちゃん!」
朱丸が、母の元へ行こうとする。
「逃げなさい!」
鬼気迫る叫びに、ビクッとたじろぐ。
桃寿郎が母にとどめを刺し、動かなくなった。
「あ…ああ…」
朱丸は力が抜け、へたり込んだ。
逃げまどう村人たち。桃寿郎は、あっという間に鬼たちを殺した。
最後に朱丸の方に逃げてくる、年老いた鬼。村長だった。
「爺ちゃん!」
「朱丸、これを…」
祖父が差し出したのは、あの黒い石だった。
「後悔…しないように…な」
そう言うと、祖父は倒れた。背中には、刀傷があった。
「爺ちゃん! 死なないで! 爺ちゃん!」
祖父はすでに、息をしていなかった。
「最後は君だけだね」
桃寿郎は、朱丸に刀を突き付ける。
「ここまで案内してくれたお礼に、殺すのは最後にしてあげようと思ったんだけど、余計なお世話だったかな?」
「みんな…死んだ…の?」
「そうだね。ここ百年、鬼の目撃情報がなかった。きっとこの村が最後の鬼の村だ。だから、君が最後の生き残りだよ」
桃寿郎はニコリと笑った。
「君を倒せば、桃太郎一族の使命も終わりさ」
油断している桃寿郎は、朱丸を捕らえてはいなかった。隙をみて走りだし、村の入り口、結界のある大木のウロに向かって叫ぶ。
「小太郎助けて! 小太郎‼︎」
「お帰…⁉︎」
母が朱丸の後ろの男を見て驚愕に震える。
「母…ちゃ…ごめ…なさ…」
首に刀をあてられたまま、涙を浮かべた朱丸。
この男が、桃太郎の子孫で、朱丸を脅し、結界の中に入ったのだと、母は一瞬で理解した。
「あ、朱丸…」
「逃げてみんな! 早く逃げ…」
桃寿郎は、叫ぶ朱丸を突き飛ばした。地面に転がって、顔を上げた時には、桃寿郎が母へ刀をふりかざす所だった。
「母ちゃん!」
刀が母の体を切り裂き、倒れていく。母は苦しそうに呻く。
「その…刀…」
「気が付いた? 破鬼の剣と言って、かつて桃太郎が使っていた刀だ。普通の刀で斬っても、鬼はすぐに治ってしまう。でも、この刀は鬼を退治する特別なものでね。例え致命傷じゃなくても、その傷は長い間ジクジクと痛み、熱を生み苦しみを与える。
ふふ…苦しそうだね。今楽にしてあげるよ」
「母ちゃん!」
朱丸が、母の元へ行こうとする。
「逃げなさい!」
鬼気迫る叫びに、ビクッとたじろぐ。
桃寿郎が母にとどめを刺し、動かなくなった。
「あ…ああ…」
朱丸は力が抜け、へたり込んだ。
逃げまどう村人たち。桃寿郎は、あっという間に鬼たちを殺した。
最後に朱丸の方に逃げてくる、年老いた鬼。村長だった。
「爺ちゃん!」
「朱丸、これを…」
祖父が差し出したのは、あの黒い石だった。
「後悔…しないように…な」
そう言うと、祖父は倒れた。背中には、刀傷があった。
「爺ちゃん! 死なないで! 爺ちゃん!」
祖父はすでに、息をしていなかった。
「最後は君だけだね」
桃寿郎は、朱丸に刀を突き付ける。
「ここまで案内してくれたお礼に、殺すのは最後にしてあげようと思ったんだけど、余計なお世話だったかな?」
「みんな…死んだ…の?」
「そうだね。ここ百年、鬼の目撃情報がなかった。きっとこの村が最後の鬼の村だ。だから、君が最後の生き残りだよ」
桃寿郎はニコリと笑った。
「君を倒せば、桃太郎一族の使命も終わりさ」
油断している桃寿郎は、朱丸を捕らえてはいなかった。隙をみて走りだし、村の入り口、結界のある大木のウロに向かって叫ぶ。
「小太郎助けて! 小太郎‼︎」
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