つらさが伝わらないつらさ――痩せ姫をめぐる備忘録

エフ=宝泉薫

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情報の大海、人生の灯台

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摂食障害には「情報の病」という側面がある。
いや、ダイエットということ自体に、情報というものが大きく関わっていて。

「痩せは正義」的なメッセージや、痩せるためのノウハウが世の中にあふれていなければ、こんなに流行ることもなかっただろう。

情報の洪水、によって生まれた、情報の大海。
そのなかで安全に航海していくのは、大変なことだ。

たとえば、雑誌の特集を見て、過激なダイエット法を学んでしまったり、もっと言えば、摂食障害の人のブログから、吐く方法を発見するとか「この人より痩せたい!」って感じでライバル視しちゃったりとか。

その一方で、同じ悩みを持つ人同士が励まし合っているのを見ると、情報化もいいもんだなって感じる。

つまり、世の中、そして、インターネットという海には、生活の糧となるマグロもいれば、イージス艦みたいなのもいて。
メリットかデメリットかは、受信する人の状況によって変わるわけだ。

それこそ、摂食障害からの回復をテーマにしたレベンクロンの小説「鏡の中の少女」についてさえも、
「あれを読んだことがきっかけで、摂食障害になってしまった」
という声を聞いたりする。
もちろん、僕の書く文章もまた、一種の危険を孕んでいることは否めない。

それでも、さっき触れたような励まし合うやりとりなどを見るにつけ、人の心の美しさを感じる。
小舟同士が助け合いながら、大海を進んでいるようで。
あるいは、おたがいに相手のことを灯台みたいに思っていたりするのかな。

まぁ、生きていくということ自体、暗い闇のなかで自分にとっての灯台を探して漂うようなものかもしれない。
僕の場合、文章を読んでくれる人たちの存在が人生の灯台なんだなと、こうして書きながら実感している。
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