つらさが伝わらないつらさ――痩せ姫をめぐる備忘録

エフ=宝泉薫

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勤勉さの(幸福と)不幸

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受験シーズンに都会のホテルに泊まると、受験生がいっぱい。
部屋の掃除時間には、ロビーで参考書とにらめっこしてたりする。

で、そういうのって、圧倒的に女の子が多い。
やっぱり、基本的に女の子のほうが、勉強に対して真面目というか、コツコツ努力する姿勢を大事にしようとしているのだろう。

受験時に限らず、授業中もノートを熱心にとったり、定期試験では、ヤマを張るより、全部の範囲を覚えようとしたり。

ただ・・・・・・

そういう勤勉さって、両刃の剣だったりもする。
生きていく上での武器にもなるかわり、ときには自分を傷つける危険性も潜んでいるので。

つまり、受験とかで頑張りすぎてしまうような子には、摂食障害に陥りやすい傾向がある。

それはおそらく、受験というものが、点数至上主義的な競争であり、多大なストレスを生むため。
勤勉すぎる女の子は、そこに過剰適応してしまい、心身のバランスを崩しやすい、ということなのだろう。

また、点数至上主義的な競争という意味では、ダイエットも似ている。
そのため、受験の時期にダイエットをすると、
「偏差値はなかなか上がらないけど、体重は減った。こっちのほうが楽だし、面白い」
というような感じになり、病的化していくケースも目立つ。

もともと、女の子って、受験には少し不利な印象もある。
というのも、男のほうがふだんの勉強について大雑把というか、それまでは部活やら遊びやらに、かまけていたりするので。
その分、伸びしろがあり、また、体力にも恵まれてるから、ラストスパートが効いたりする。

その結果、コツコツやってきた女の子が、怠けてた男の子に抜かれるという、童話「ウサギとカメ」の逆現象が起きたりすることに。
それによる焦りが、ストレスを増幅させて、食行動に影響したり、モチベーションの低下を招いて、ダイエットへのすり替えみたいなことが、誘発されるのではないか、と思う。

とはいえ・・・・・・

持ち前の勤勉さを維持し続け、受験に成功することが幸福かといえば、そうとも言い切れないような。
常に上昇するという、そんな成長曲線を一生保てる人など、ほんのひと握りにすぎず、大半の人は、どこかで挫折を味わう気がしてならない。

その点から見れば、中3や高3あたりで、挫折するというのは、まだ「不幸中の幸い」だったと考えることも、不可能ではない。
摂食障害という病気には「頑張りすぎた人がたどり着く逃げ場所」という要素も、あるわけだから。

「逃げ場所」という表現に、違和感を覚える人もいるかもしれないが、要は、休むべき人が休む場所、ということだ。
実際には、つらくて苦しくて、休んでいる気などしないだろうが、のちに振り返ったとき、
「あそこで病気になったから、今の自分がある」
と、肯定的に感じられる人もけっこういたりする。

ちなみに、僕は子供の頃、ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」を読み、勤勉さの不幸というものを知った。

以来、勤勉になりすぎないように生きてきたおかげで、かなりの怠け者になってしまったが・・・(汗)

怠けることの幸福というものも、人生にはあるのだ、たぶん。

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