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膨れ上がる恐怖
(6)
しおりを挟む美尋が危惧するように、茉莉は外食への不安を美尋以上に抱えていたが、その反面、期待の大きさも美尋の比ではなかった。
今日だけは、いや、この食事だけは食べていいんだ。
浮腫みがとれて、そうなれば、体重だって元に戻るはず。
そのうえ、すごく美味しいのだから、一石二鳥、怖がらなくても大丈夫だわ。
そう呪文のように、何度も何度も言い聞かせ、浮腫みをとるのに有効だというたんぱく質の豊富な料理を慎重に選ぶ。
炭水化物や脂質の高そうな部分は、なるべく避けながら。
「ここのお料理、どれも美味しいですよね?」
「うん、すっごく美味しい!」
そんな言葉をかわしながら、舌鼓を打つふたりは、茉莉の体型を除けば、夏休みにちょっとした贅沢を楽しむ友達同士にしか見えないだろう。
しかし……
怖がらなくても大丈夫、という呪文の効果はすぐに尽きた。
あれ?
美尋さん、もうお腹いっぱいなのかな。
茉莉が気づいたように、それほど空腹ではなかった美尋の食欲は、一人前程度の量で満たされてしまい、また、夜にも外食をすることを考えると、無理して食べないほうがいいか、という気分になっていた。
「美尋さん、もう召し上がらないんですか」
「うん、お腹いっぱい。
あとは、デザートを少し食べられれば十分かなって。
洋食中心だから、どれもけっこうボリューミーだしね」
お腹いっぱい、って……
本当かしら。
私、すでに美尋さんより食べてる気がするけど、まだまだ満腹には程遠いのに。
でも、たしかにどれもボリューミーだし、美尋さんくらいの量で満腹になるのが、きっと普通なんだわ。
どうしよう。
食べすぎちゃった。
なのに、まだお腹がすいていて、もっと食べたくて仕方ない。
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