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第五章
一緒に湯浴み、その前に*
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ディックら希少種の元いた場所を把握するため、ユリウスは飛脚を使い、王都にいるエメレンスに文を出した。早ければ飛脚は一日で王都まで文を運ぶ。
エメレンスからの返答は、ユリウスが文を出した三日後の夕方に届いた。人使いが荒いとエメレンスの文句が続く冒頭部分を読み飛ばし、過去貴族の元から逃げ出した希少種達のリストへと目を通した。人事官のもとには、仕入れ証明書とともに、登録された奴隷達のリストがある。奴隷が死亡したり、他の者に下げ渡したり、あるいは逃げ出した場合、届け出ることが義務付けられている。
ユリウスはそのリストをエメレンスに頼んで手に入れてもらった。
リストに目を通すと、本人達から聞いた話と違う者が四人いた。ラウもその一人だ。エメレンスによると、王宮から逃げ出した希少種は、ルカを除けばハルムしかいないと明記してあった。
ユリウスは夕食前に彼らを応接間に呼び出した。
ユリウスがリストと、本人達の申告の間に違いがある点を指摘すると、ラウを含む四人の希少種は押し黙った。
「おまえたちを責めようとしているわけではない。ただ、今後何かあった時のために、双方の認識を同じくしていたいだけだ。俺が一番気にしているのは、隠すどんな理由があったのかということだ。聞いておかねば、対処のしようもないからな」
「そういうことでしたら……」
口を開いたのはフォリスだ。フォリスはスメーツ侯爵の元から、ディックと共に逃げ出したと言っていたが、実際記載のあるのは他の男爵の名だった。
「僕の場合は、スメーツ侯爵様の、ただの申告漏れというか、言えなかったのだと思います。僕はもともと王宮奴隷だったのですが、さる男爵様に気に入られ、その方に下げ渡されたのです。ですがその男爵様はスメーツ侯爵様に弱みを握られていたようで。女性関係のトラブルだったようですが、詳しい内容までは知りません。その弱みをもとに、スメーツ侯爵様は、男爵様の元から僕を少々強引に連れ帰られたので、きちんと人事官には報告されていないのだと思います」
フォリスの説明はよどみなく、おかしな点はない。
ユリウスは、「他の者はどうだ?」とラウを含む他の三人を見渡した。ラウ以外の二人は顔を見合わせ、頷きあうとユリウスに向き直った。
「僕達はその、逃げ出した後に名を変えているのです。僕達二人は同じ子爵様の元にいたのですが、逃げ出すたびすぐに捕まるのでどうしてだろうと不思議だったんです。他の逃げ出した仲間は、ばれずに上手くやっているのに、羨ましかった。でも、その仲間が問題だったんです。子爵様は、逃げ出した希少種を見逃す代わりに、金銭をつかませ、僕達二人が頼ってきたら知らせるよう手を回していたんです。仲間を売る仲間も許せませんが、逃げ出したからといって、生きていくのは大変ですからね。気持ちも、わからないではない。なので僕達は、名を変えたんです。顔を知っている仲間には通用しませんが、今のところバレることなくきているので、これからも偽名を名乗らせていただきます」
二人には、後でユリウスにだけ本名を伝えるように告げ、残ったラウに目を向けた。
「それでラウ。おまえはどうなんだ? 王宮からと言っていたが、違うのだろう?」
「えっと、私はですね」
ラウは、ちらりとユリウスの持つリストに目をやった。その位置からではリストの中身は見えないはずだが、なぜか見られたような気がした。
ラウは本当のことを言いたくなくて隠しただけだと言った。ラウは売られる前、奴隷商から逃げ出してきたので、どこにも記載がないのは当たり前だと告げた。
ユリウスは、感じた違和感の正体にすぐに気がついた。どこにも記載がないと教えた覚えはない。なのにどうしてラウは記載がないとわかったのだろうか。それとも、ラウの位置からはリストは見えないと思ったのが間違いだったか。
それにしてもあの一瞬で、かなり膨大な量の文字を一気に読めるわけもない。
不思議なことだったがそのことを別にすれば、ラウの説明でどこにもラウの名がなかったことの辻褄は合う。ラウの話も有りえない話ではなかった。
***
ユリウスとの朝の散歩の時いなくなったポポだが、結局その日の夕方、ポポはひょっこり帰ってきた。どこからか忍びこんだのか。ユリウスとの夕食を終えて部屋に戻ると、ゲージの側にまるで入れてくれと言わんばかりにちょこんと座っていた。
その日一日、ルカはポポがいなくなった寂しさに落ち込んでいた。元気のないルカを心配して、コックのアントンはルカの好きな甘いクッキーを焼いてくれた。それをぽりぽりかじりながら、空のゲージを見て一日ため息のし通しだった。
そんなルカの気を知ってか知らずか。ルカが部屋に入っていくと、ポポはキキっと嬉しげな声をあげた。
「ポポ!」
ルカがだっと走っていくと、ポポはルカの肩に飛び乗ってきた。
「戻ってきてくれたんだ。嬉しいポポ。ありがとう」
どういたしましてと言うようにポポが鳴く。少し遅れて戻ってきたユリウスが、ポポの姿に驚いていた。
それからもポポはユリウスとルカの朝の散歩に付き合っては途中で林へと消え、またひょっこり帰ってくる。ということを繰り返した。しばらく姿を消しても、いつも戻ってきてくれるので、今では必ずポポはルカの元へ帰ってきてくれるような気さえしている。
今日のポポは、昼からアントンについてルカが厨房に入ったのを見届けてふらりといなくなっていた。アントンには約束の料理を教えてもらっている。ルカは包丁を握ったこともなかったので、教えてもらうことはたくさんある。昼からはずっと厨房でアントンの手ほどきを受けていた。
夕食後、部屋に戻ってもまだポポは帰っていなかった。遊び相手がいなくてソファに座っていると、襲ってきた眠気にルカはいつの間にかこくこくと船を漕いでいた。
昼から一日中立ちっぱなしだったのはさすがに疲れた。湯浴みがまだだから眠らないでおこうと思うのに、勝手にまぶたが落ちていく。
「キュルっ」
ポポの声にルカは薄っすらと目を開けた。ソファに座るルカの膝上に、ポポがちょこんと乗ってこちらを見上げている。
「ポポ。おかえり」
頭を指でちょんちょん撫でてやると、ポポは嬉しそうな声をあげる。
「起きたのか?」
いつの間にかユリウスが部屋に戻っていたようだ。目を覚ましたルカを、ユリウスは抱き上げた。
「疲れているようだな。アントンから料理を習っているんだろう?」
「知ってたの?」
秘密にしていきなり料理を出して驚かせたかった。優秀な執事のカレルは何でもユリウスに報告してしまう。
「ユリウスをびっくりさせたかったのに」
「料理を習っていると聞いて十分驚いぞ。湯浴みがまだだろう? 一緒に入るか? 疲れているなら洗ってやる」
一緒の浴場はちょっとどきどきする。この間の行為を思い出すから。同時に触られて、とても気持ちがよかったことも思い出し、ルカはユリウスの頬に手を伸ばすとユリウスの唇に口づけた。
「ユリウスとしたい。だめ?」
月のものが開けてもう四五日は経つ。またユリウスと繋がりたい。想像しただけでこの間のことを思い出し、下半身がきゅっとなった。
ユリウスはふっと笑い、「疲れてるんじゃないのか?」と聞く。ルカは「大丈夫」とユリウスの首に抱きついた。
「とりあえず湯浴みするか。今日は騎士団の演習に付き合って汗をかいたからな」
「ひなたの香りがする」
汗というより、陽光をたっぷり浴びたあとの匂いだ。首筋をくんくん嗅ぐと、ユリウスが笑ってルカをおろし、ルカの着るワンピースに手をかけた。
「自分で脱ぐよ」
脱がされるのも恥ずかしく、ユリウスに背を向けてワンピースを脱いだ。背後のユリウスも服を脱いでいる物音がする。下着に手をかけようとすると、後ろからユリウスに抱きしめられた。ユリウスも服を脱いだのかと思ったが、抱きしめるユリウスの体にはまだきっちりと布地の感触がある。
ユリウスはルカのシュミーズの肩紐を落とすと腕から抜き下に落とし、続いてショーツに手をかける。ユリウスの熱くて太い指がお腹をなぞり、ルカの体がぞくぞく反応した。
そのまま脱がされるのかと思ったら、ユリウスはいきなりルカを反転させると自分の方を向かせ、身を屈めて口づけてきた。温かい舌がぬるりと入り込み、必死になってそれに応えていると、ユリウスは口づけたままルカを抱き上げ、ベッドに沈めてきた。
「ユリウス?」
「湯浴みはあとでもいいか? 我慢できなくなってきた」
ユリウスは余裕のない性急さでそれだけ言うと、ルカの胸を口に含み、中途半端にひっかかっていたショーツを最後まで引き下ろした。すぐにユリウスの指がひだを割って中へと入り込んでくる。望んでいた行為だけれど、湯浴みして心構えができてからだと思っていたルカは、いきなりな展開に驚いた。それでも体は正直に反応する。ユリウスが膝でルカの足を開かせ、何度も指で陰部を擦ると、自然と体がびくびくと揺れた。
「ルカの体は、ちゃんと俺の指を覚えてくれていたみたいだな。嬉しいよ」
ユリウスの言う意味はすぐにわかった。ルカ自身、ユリウスに触られた時から気づいていた。ユリウスの指を迎え入れるように、ルカの下半身からはぬちゃぬちゃと音がしている。とてもいやらしい音で、ルカは恥ずかしかったが、ユリウスは嬉しそうにそう言うと、ルカの下半身へと身を屈めた。
「ユリウス?」
ユリウスはルカの膝を立たせると両手で広げ、ルカの陰部に顔を寄せた。
「何するの?」
訳がわからなくて困惑するルカに構うことなく、ユリウスはそのまま顔を埋める。同時にぬるりとした生暖かい感触がひだを割り、蜜口にまで入り込んでくる。ユリウスの舌だ。舌を挿れられてる?
「え、え? ユリウス? 何して……。んっあっ……」
あまりの事態にルカはばたばたと暴れたが、その程度の抵抗では巨躯のユリウスは動じない。更に顔を寄せるとひだを口に含み、尖りを舌でつつき、ルカの溢れるものを舐め取るとまた舌を挿れてくる。
「あっ………。んんっ、ユリウス」
指とは違う刺激と同時に、敏感な場所を指でも擦られ、またあの時のせり上がるような感覚に襲われた。それも、前よりももっと切迫していて、今にも放り出されるような恐怖感もある。
「ユリウスっ! 待って……。……おねが、あっ、ああああっ」
ルカの体が勝手に跳ねた。下半身から全身へ心地よい痺れのようなものが駆け巡る。はぁはぁと肩で息を繰り返すと、身を起こしたユリウスがいつの間にかトラウザーズを寛げ、ルカの膝を抱えあげると、まだ余韻の残るひくつく蜜口に一気に押し込んできた。
「んんっ……!」
息もつかせぬ展開に、ルカは喘いでユリウスの腕を爪が食い込むほどきつく握った。まだ力の入らないルカの中へと、ユリウスのものが奥まで入り込む。ユリウスの大きすぎるものに、入り口が限界まで広げられ、ひきつるようないたみが走る。
「痛いか?」
ユリウスがルカの目尻に浮かんだ涙を指ですくった。
「悪い。我慢できなくてつい無茶をした。大丈夫か?」
最後まで挿れたところで冷静になったらしいユリウスが、気遣うようにルカの髪を撫でる。ルカはぽかりとユリウスの肩を叩いた。
「ユリウスの馬鹿。びっくりした。あんなとこ舐めるなんて」
「ルカも、しようとしてただろう」
そう言われればそうだった。ディックに教えてもらって口でしようとして、ユリウスに止められたのだった。
「口でするのは好きじゃないって言ったくせに」
「あれはされる話だ。俺がするのはまた別だ」
とんでもない言い訳に、こんな時にも関わらずルカは呆れた。
「なに、それ。そんなのって……。んあっ」
ルカがもっと何か言おうとすると、ユリウスがずるりと中のものを引き出した。ユリウスが出ていく感触に、ルカの背筋を電気が走り抜け、思わず声をあげた。
「ちょっと、ユリウス。ずるい。……あっ」
抗議しようとしたら、きゅっと締まった中へとまたユリウスのものが戻ってくる。徐々に広げられていく感覚にルカの喉から自然と声が漏れる。
そこからユリウスは何度も同じことを繰り返した。ユリウスが戻って来るたび、更に奥へとユリウスのものが挿入ってくる。もうこれ以上はと思うのに、そこも超えて奥へ奥へと進んでくる。何度も繰り返し出し入れされ、そのリズムを覚えさせられた体が、期待感に勝手に反応しだす。
ユリウスが戻って来るたび、下半身がきゅうっと締まり、繰り返すたび刺激が強くなっていく。ユリウスの動きに合わせ、体の奥から湧き上がる感覚に、ルカは従順に反応した。
奥をつかれるたび、勝手に声が漏れ、体が痙攣したみたいに跳ねる。
「ユ、リウス……。はぁ、……はぁ、もう、む、り…」
何が無理なのかルカ自身わからぬままに懇願するように訴えた。とたんにユリウスの動きが激しくなった。速いスピードで腰を揺らされ、あっと思った時には全身を電流が駆け抜けた。意識がとろけるほど気持ちがよかった。
エメレンスからの返答は、ユリウスが文を出した三日後の夕方に届いた。人使いが荒いとエメレンスの文句が続く冒頭部分を読み飛ばし、過去貴族の元から逃げ出した希少種達のリストへと目を通した。人事官のもとには、仕入れ証明書とともに、登録された奴隷達のリストがある。奴隷が死亡したり、他の者に下げ渡したり、あるいは逃げ出した場合、届け出ることが義務付けられている。
ユリウスはそのリストをエメレンスに頼んで手に入れてもらった。
リストに目を通すと、本人達から聞いた話と違う者が四人いた。ラウもその一人だ。エメレンスによると、王宮から逃げ出した希少種は、ルカを除けばハルムしかいないと明記してあった。
ユリウスは夕食前に彼らを応接間に呼び出した。
ユリウスがリストと、本人達の申告の間に違いがある点を指摘すると、ラウを含む四人の希少種は押し黙った。
「おまえたちを責めようとしているわけではない。ただ、今後何かあった時のために、双方の認識を同じくしていたいだけだ。俺が一番気にしているのは、隠すどんな理由があったのかということだ。聞いておかねば、対処のしようもないからな」
「そういうことでしたら……」
口を開いたのはフォリスだ。フォリスはスメーツ侯爵の元から、ディックと共に逃げ出したと言っていたが、実際記載のあるのは他の男爵の名だった。
「僕の場合は、スメーツ侯爵様の、ただの申告漏れというか、言えなかったのだと思います。僕はもともと王宮奴隷だったのですが、さる男爵様に気に入られ、その方に下げ渡されたのです。ですがその男爵様はスメーツ侯爵様に弱みを握られていたようで。女性関係のトラブルだったようですが、詳しい内容までは知りません。その弱みをもとに、スメーツ侯爵様は、男爵様の元から僕を少々強引に連れ帰られたので、きちんと人事官には報告されていないのだと思います」
フォリスの説明はよどみなく、おかしな点はない。
ユリウスは、「他の者はどうだ?」とラウを含む他の三人を見渡した。ラウ以外の二人は顔を見合わせ、頷きあうとユリウスに向き直った。
「僕達はその、逃げ出した後に名を変えているのです。僕達二人は同じ子爵様の元にいたのですが、逃げ出すたびすぐに捕まるのでどうしてだろうと不思議だったんです。他の逃げ出した仲間は、ばれずに上手くやっているのに、羨ましかった。でも、その仲間が問題だったんです。子爵様は、逃げ出した希少種を見逃す代わりに、金銭をつかませ、僕達二人が頼ってきたら知らせるよう手を回していたんです。仲間を売る仲間も許せませんが、逃げ出したからといって、生きていくのは大変ですからね。気持ちも、わからないではない。なので僕達は、名を変えたんです。顔を知っている仲間には通用しませんが、今のところバレることなくきているので、これからも偽名を名乗らせていただきます」
二人には、後でユリウスにだけ本名を伝えるように告げ、残ったラウに目を向けた。
「それでラウ。おまえはどうなんだ? 王宮からと言っていたが、違うのだろう?」
「えっと、私はですね」
ラウは、ちらりとユリウスの持つリストに目をやった。その位置からではリストの中身は見えないはずだが、なぜか見られたような気がした。
ラウは本当のことを言いたくなくて隠しただけだと言った。ラウは売られる前、奴隷商から逃げ出してきたので、どこにも記載がないのは当たり前だと告げた。
ユリウスは、感じた違和感の正体にすぐに気がついた。どこにも記載がないと教えた覚えはない。なのにどうしてラウは記載がないとわかったのだろうか。それとも、ラウの位置からはリストは見えないと思ったのが間違いだったか。
それにしてもあの一瞬で、かなり膨大な量の文字を一気に読めるわけもない。
不思議なことだったがそのことを別にすれば、ラウの説明でどこにもラウの名がなかったことの辻褄は合う。ラウの話も有りえない話ではなかった。
***
ユリウスとの朝の散歩の時いなくなったポポだが、結局その日の夕方、ポポはひょっこり帰ってきた。どこからか忍びこんだのか。ユリウスとの夕食を終えて部屋に戻ると、ゲージの側にまるで入れてくれと言わんばかりにちょこんと座っていた。
その日一日、ルカはポポがいなくなった寂しさに落ち込んでいた。元気のないルカを心配して、コックのアントンはルカの好きな甘いクッキーを焼いてくれた。それをぽりぽりかじりながら、空のゲージを見て一日ため息のし通しだった。
そんなルカの気を知ってか知らずか。ルカが部屋に入っていくと、ポポはキキっと嬉しげな声をあげた。
「ポポ!」
ルカがだっと走っていくと、ポポはルカの肩に飛び乗ってきた。
「戻ってきてくれたんだ。嬉しいポポ。ありがとう」
どういたしましてと言うようにポポが鳴く。少し遅れて戻ってきたユリウスが、ポポの姿に驚いていた。
それからもポポはユリウスとルカの朝の散歩に付き合っては途中で林へと消え、またひょっこり帰ってくる。ということを繰り返した。しばらく姿を消しても、いつも戻ってきてくれるので、今では必ずポポはルカの元へ帰ってきてくれるような気さえしている。
今日のポポは、昼からアントンについてルカが厨房に入ったのを見届けてふらりといなくなっていた。アントンには約束の料理を教えてもらっている。ルカは包丁を握ったこともなかったので、教えてもらうことはたくさんある。昼からはずっと厨房でアントンの手ほどきを受けていた。
夕食後、部屋に戻ってもまだポポは帰っていなかった。遊び相手がいなくてソファに座っていると、襲ってきた眠気にルカはいつの間にかこくこくと船を漕いでいた。
昼から一日中立ちっぱなしだったのはさすがに疲れた。湯浴みがまだだから眠らないでおこうと思うのに、勝手にまぶたが落ちていく。
「キュルっ」
ポポの声にルカは薄っすらと目を開けた。ソファに座るルカの膝上に、ポポがちょこんと乗ってこちらを見上げている。
「ポポ。おかえり」
頭を指でちょんちょん撫でてやると、ポポは嬉しそうな声をあげる。
「起きたのか?」
いつの間にかユリウスが部屋に戻っていたようだ。目を覚ましたルカを、ユリウスは抱き上げた。
「疲れているようだな。アントンから料理を習っているんだろう?」
「知ってたの?」
秘密にしていきなり料理を出して驚かせたかった。優秀な執事のカレルは何でもユリウスに報告してしまう。
「ユリウスをびっくりさせたかったのに」
「料理を習っていると聞いて十分驚いぞ。湯浴みがまだだろう? 一緒に入るか? 疲れているなら洗ってやる」
一緒の浴場はちょっとどきどきする。この間の行為を思い出すから。同時に触られて、とても気持ちがよかったことも思い出し、ルカはユリウスの頬に手を伸ばすとユリウスの唇に口づけた。
「ユリウスとしたい。だめ?」
月のものが開けてもう四五日は経つ。またユリウスと繋がりたい。想像しただけでこの間のことを思い出し、下半身がきゅっとなった。
ユリウスはふっと笑い、「疲れてるんじゃないのか?」と聞く。ルカは「大丈夫」とユリウスの首に抱きついた。
「とりあえず湯浴みするか。今日は騎士団の演習に付き合って汗をかいたからな」
「ひなたの香りがする」
汗というより、陽光をたっぷり浴びたあとの匂いだ。首筋をくんくん嗅ぐと、ユリウスが笑ってルカをおろし、ルカの着るワンピースに手をかけた。
「自分で脱ぐよ」
脱がされるのも恥ずかしく、ユリウスに背を向けてワンピースを脱いだ。背後のユリウスも服を脱いでいる物音がする。下着に手をかけようとすると、後ろからユリウスに抱きしめられた。ユリウスも服を脱いだのかと思ったが、抱きしめるユリウスの体にはまだきっちりと布地の感触がある。
ユリウスはルカのシュミーズの肩紐を落とすと腕から抜き下に落とし、続いてショーツに手をかける。ユリウスの熱くて太い指がお腹をなぞり、ルカの体がぞくぞく反応した。
そのまま脱がされるのかと思ったら、ユリウスはいきなりルカを反転させると自分の方を向かせ、身を屈めて口づけてきた。温かい舌がぬるりと入り込み、必死になってそれに応えていると、ユリウスは口づけたままルカを抱き上げ、ベッドに沈めてきた。
「ユリウス?」
「湯浴みはあとでもいいか? 我慢できなくなってきた」
ユリウスは余裕のない性急さでそれだけ言うと、ルカの胸を口に含み、中途半端にひっかかっていたショーツを最後まで引き下ろした。すぐにユリウスの指がひだを割って中へと入り込んでくる。望んでいた行為だけれど、湯浴みして心構えができてからだと思っていたルカは、いきなりな展開に驚いた。それでも体は正直に反応する。ユリウスが膝でルカの足を開かせ、何度も指で陰部を擦ると、自然と体がびくびくと揺れた。
「ルカの体は、ちゃんと俺の指を覚えてくれていたみたいだな。嬉しいよ」
ユリウスの言う意味はすぐにわかった。ルカ自身、ユリウスに触られた時から気づいていた。ユリウスの指を迎え入れるように、ルカの下半身からはぬちゃぬちゃと音がしている。とてもいやらしい音で、ルカは恥ずかしかったが、ユリウスは嬉しそうにそう言うと、ルカの下半身へと身を屈めた。
「ユリウス?」
ユリウスはルカの膝を立たせると両手で広げ、ルカの陰部に顔を寄せた。
「何するの?」
訳がわからなくて困惑するルカに構うことなく、ユリウスはそのまま顔を埋める。同時にぬるりとした生暖かい感触がひだを割り、蜜口にまで入り込んでくる。ユリウスの舌だ。舌を挿れられてる?
「え、え? ユリウス? 何して……。んっあっ……」
あまりの事態にルカはばたばたと暴れたが、その程度の抵抗では巨躯のユリウスは動じない。更に顔を寄せるとひだを口に含み、尖りを舌でつつき、ルカの溢れるものを舐め取るとまた舌を挿れてくる。
「あっ………。んんっ、ユリウス」
指とは違う刺激と同時に、敏感な場所を指でも擦られ、またあの時のせり上がるような感覚に襲われた。それも、前よりももっと切迫していて、今にも放り出されるような恐怖感もある。
「ユリウスっ! 待って……。……おねが、あっ、ああああっ」
ルカの体が勝手に跳ねた。下半身から全身へ心地よい痺れのようなものが駆け巡る。はぁはぁと肩で息を繰り返すと、身を起こしたユリウスがいつの間にかトラウザーズを寛げ、ルカの膝を抱えあげると、まだ余韻の残るひくつく蜜口に一気に押し込んできた。
「んんっ……!」
息もつかせぬ展開に、ルカは喘いでユリウスの腕を爪が食い込むほどきつく握った。まだ力の入らないルカの中へと、ユリウスのものが奥まで入り込む。ユリウスの大きすぎるものに、入り口が限界まで広げられ、ひきつるようないたみが走る。
「痛いか?」
ユリウスがルカの目尻に浮かんだ涙を指ですくった。
「悪い。我慢できなくてつい無茶をした。大丈夫か?」
最後まで挿れたところで冷静になったらしいユリウスが、気遣うようにルカの髪を撫でる。ルカはぽかりとユリウスの肩を叩いた。
「ユリウスの馬鹿。びっくりした。あんなとこ舐めるなんて」
「ルカも、しようとしてただろう」
そう言われればそうだった。ディックに教えてもらって口でしようとして、ユリウスに止められたのだった。
「口でするのは好きじゃないって言ったくせに」
「あれはされる話だ。俺がするのはまた別だ」
とんでもない言い訳に、こんな時にも関わらずルカは呆れた。
「なに、それ。そんなのって……。んあっ」
ルカがもっと何か言おうとすると、ユリウスがずるりと中のものを引き出した。ユリウスが出ていく感触に、ルカの背筋を電気が走り抜け、思わず声をあげた。
「ちょっと、ユリウス。ずるい。……あっ」
抗議しようとしたら、きゅっと締まった中へとまたユリウスのものが戻ってくる。徐々に広げられていく感覚にルカの喉から自然と声が漏れる。
そこからユリウスは何度も同じことを繰り返した。ユリウスが戻って来るたび、更に奥へとユリウスのものが挿入ってくる。もうこれ以上はと思うのに、そこも超えて奥へ奥へと進んでくる。何度も繰り返し出し入れされ、そのリズムを覚えさせられた体が、期待感に勝手に反応しだす。
ユリウスが戻って来るたび、下半身がきゅうっと締まり、繰り返すたび刺激が強くなっていく。ユリウスの動きに合わせ、体の奥から湧き上がる感覚に、ルカは従順に反応した。
奥をつかれるたび、勝手に声が漏れ、体が痙攣したみたいに跳ねる。
「ユ、リウス……。はぁ、……はぁ、もう、む、り…」
何が無理なのかルカ自身わからぬままに懇願するように訴えた。とたんにユリウスの動きが激しくなった。速いスピードで腰を揺らされ、あっと思った時には全身を電流が駆け抜けた。意識がとろけるほど気持ちがよかった。
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