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お嬢様は見ていた
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トルーデ視点です。
ーーーーーーーーー
愛しのフランツが、家に帰ったのを見届けたら 今度こそ本当に諦められる。
「友達」という言葉の枠から、とっくにはみ出していたが秘匿しているこの感情。
奥方との抱擁を見て、ショックを受け、納得して、そうしたら、自分の気持ちも、収まるところに収まるだろう。
わたくしはそう自分に言い聞かせて、王都の郊外のここまでフランツの後を尾けてきた。
まるで不貞調査のような卑怯な真似と、言わば言え。
こんな真似をするみっともない自分も、フランツの幸せを見届けたら元に戻すさ…フッ…。
◆
んんん?なにやら様子がおかしい。
フランツの妻らしき女性は男に肩を抱かれ、赤ん坊もいるような。
苦い気持ちになった。
ハッキリと声は聞こえないが、これはアレだな、戦争中に夫が不在でそういうことになってしまったということか…。
やり取りが一巡した後、フランツはうつむいた。
ゆっっっ…くり顔を上げて ぼそぼそ、と二言三言何か言い、フランツはかつての自宅を背にする。
奥方らしき女性は、叫んだ後泣き出した。それを男がなだめているようだ。
ヤバい、フランツこっち来たらどうしよう。ちょっと距離を取らないと。覗き見していたのは流石に気まずい…。
隠れていた場所から離脱するのに早足になる。
『お嬢様、だからワシが報告すると言ったでしょう…』
誰もいない道に、しゃがれた声だけがする。
「うるさいぞ、わたくしは自分のこの目で確認したかったのだ」
《爺のヒソヒソ声と会話するトルーデ》
『お嬢様も、あの御仁に惚れこみましたなあ…フランツ様の奥方が、あの男と夫婦同然の暮らしをしていることなど、ワシらはとっくに掴んでおりましたものを』
◆
あ、フランツに見つかっちゃった。
今日はフランツの後ろ頭ばかり見て尾行…いやいや「後を追いかけてきた」から、
フランツの明るい茶色の髪と黒い瞳を正面から拝めて嬉しい!神さまありがとう!
あー 好きだな やっぱり。
この気持ちを彼には言ってない。
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愛しのフランツが、家に帰ったのを見届けたら 今度こそ本当に諦められる。
「友達」という言葉の枠から、とっくにはみ出していたが秘匿しているこの感情。
奥方との抱擁を見て、ショックを受け、納得して、そうしたら、自分の気持ちも、収まるところに収まるだろう。
わたくしはそう自分に言い聞かせて、王都の郊外のここまでフランツの後を尾けてきた。
まるで不貞調査のような卑怯な真似と、言わば言え。
こんな真似をするみっともない自分も、フランツの幸せを見届けたら元に戻すさ…フッ…。
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んんん?なにやら様子がおかしい。
フランツの妻らしき女性は男に肩を抱かれ、赤ん坊もいるような。
苦い気持ちになった。
ハッキリと声は聞こえないが、これはアレだな、戦争中に夫が不在でそういうことになってしまったということか…。
やり取りが一巡した後、フランツはうつむいた。
ゆっっっ…くり顔を上げて ぼそぼそ、と二言三言何か言い、フランツはかつての自宅を背にする。
奥方らしき女性は、叫んだ後泣き出した。それを男がなだめているようだ。
ヤバい、フランツこっち来たらどうしよう。ちょっと距離を取らないと。覗き見していたのは流石に気まずい…。
隠れていた場所から離脱するのに早足になる。
『お嬢様、だからワシが報告すると言ったでしょう…』
誰もいない道に、しゃがれた声だけがする。
「うるさいぞ、わたくしは自分のこの目で確認したかったのだ」
《爺のヒソヒソ声と会話するトルーデ》
『お嬢様も、あの御仁に惚れこみましたなあ…フランツ様の奥方が、あの男と夫婦同然の暮らしをしていることなど、ワシらはとっくに掴んでおりましたものを』
◆
あ、フランツに見つかっちゃった。
今日はフランツの後ろ頭ばかり見て尾行…いやいや「後を追いかけてきた」から、
フランツの明るい茶色の髪と黒い瞳を正面から拝めて嬉しい!神さまありがとう!
あー 好きだな やっぱり。
この気持ちを彼には言ってない。
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