【完】愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた

迦陵 れん

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補足

最終話

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 漸く男達から解放された時、カーライルは身も心もボロボロになっていた。

 すぐには立ち上がることすら出来ないほどに痛めつけられた身体と、自分は間違った行いをしたのではないかという疑心暗鬼によって。

 小説の世界というのは、登場人物が筋書きと違う行動をした場合はどうなるんだ? どこかで勝手に修復されて、結局は筋書き通りに戻るんじゃないのか?

 そんな風に思い続けていたけれど。

 道のはじに転がった──転がされたともいう──まま、カーライルは考え続ける。

 別に小説通りの行動をしなくとも、少しぐらい内容を乱すような行動をしても問題ないと思っていたが、もしそうではなかったとしたら?

 例えば、どうしたって筋書きを元通りにできないような出来事が起こった場合なんかは……どうなるんだ?

 今回のことで言えば、自分がレスターを瀕死にしたことがそれに当たる。

 どう考えても、あそこで小説の筋書きが変わったとしか思えなかった。

 小説内では無事に学園を卒業していた王太子が、謹慎をくらったり、鉱山で働かされたりなど、されるはずはないのだから。

 謹慎をくらった時点で気付けば良かった。あそこで脱走なんてしなければ、謹慎期間中大人しく過ごしていれば、元通りの筋書きに戻れる道もあったかもしれないのに。

「どこかで城に戻れるなんて……ただの夢物語だったんだな……」

 自嘲気味に、カーライルはポツリと呟く。

 だが、今更それに気付いたところで、どうしたら良いというのだろう。

 自分は既に王太子ではない。平民として放り出された。

 今後はこの場所で生きていかねばならないのに、愚かな思い込みをしていたせいで、住民達の怒りをかった。

 彼等はもう二度と先程のように食べ物を恵んでくれることも、親切にしてくれることもないだろう。

 現実を受け入れず、働いてすらいない自分は、いつ食料を買う金が尽きるとも分からないのに。なんて馬鹿なことをしたのだろう。

 今更それに気付いたところで、もう取り返しはつかない。だが、この先働かなければ生きてはいけない。

「俺は……どうしたら良いんだ……」



※※※



 それから程なくして、カーライルは与えられた家と土地を手放し、貧民街へと移り住んだ。

 最初の居住区でのやらかしが大きすぎて、本人も自覚していた通り、働き口が見つからなかったからだ。

 もっと、普通に生きれば良かった。レスターに暴力なんて振るわず、小説通りにしておけば良かった。

 毎日毎日、同じことを頭の中で何度も繰り返し、後悔する日々。

 しかし幾ら後悔したところで、過去に戻れるわけではない。そんなことあるはずがないのに、カーライルはそれだけを希望に、縋るような思いで生き続けるしかなかった。

 戻りたい……やり直したい……。

 けれど、どんなに切に祈り続けようとも、カーライルのその願いは、彼が死ぬまで叶えられることはなかったのだ──。



 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これにて補足のお話は終了となります。

補足分までお付き合いくださった皆様、ありがとうございました!

補足分までエールやいいねをいただけて……感涙に咽び泣きました(ノω・、`)









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