バレンタイン短編

関塚衣旅葉

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ミニチョコタルト

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 バレンタインの当日は、普通にチョコを買うのも忘れて、呑気に春服を見てストレス解消していた。
この服着てもしも、このお話を読んでくれている君とデート出来たら、可愛いねって言って貰えるかな?なんて。
そんな私だが、それなりに仕事をして、帰る前に上司とご飯を食べていると、1件の連絡が来た。
今近くにいるんだけど、この後ドライブでもしない?って。
この人は最近1度だけ飲みに行った、アプリの人。
正直名前も覚えてないし、どんな人かと言われると、あたしが好きってなるタイプじゃない人。
いい人だとは思うけど、それまでって感じ。
だけど相手は私のことを気に入ったのだろう。
数日前はまたご飯でも行かない?って連絡をくれていた。
ご飯食べた後にドライブかぁ。
まあ、好きなお話の更新されるまでソワソワしながら待つよりはいいかな。
と思って、ドライブをすることにした。
でもまあ、相手がチョコが好きとか知らないので、バレンタインだということは口にせず、チョコも渡さなかった。
予定より遅れて合流したりして、正直帰りたかった。
最初の予定は10時過ぎには合流できる。って話だったから、まあその時間ならいいかなぁとか思った。
でも実際は10時半すぎに合流。
寒すぎて、更新されていたお話を読んで、肉まん食べるか悩むくらいには待っていた。
ごめんね、って言いながら合流したところで、まあ、ドライブって言ってたし、車の中は暖かいからいいかな。
って思って、隣を歩いて車に向かった。
運転自体はなんの問題もない感じ。
ただ、つい数日前に別の人の車に乗ったので、ちょっとその人の運転の方が優しかったかも、とか思ってしまった。
初デートはどこ行きたい?とかどんな人が好き?とか聞かれて、それとなく答えた。
あたしはあんまり相手に興味が持てなくて、根掘り葉掘り聞こうとは思えなくて、時々無言になる車内。
だって仕方ないじゃない、気になるかもってなる要素がなかったんだもん。
二回目、サシで会ったら何か起こるかも、なんて思ったけど、私の心境の変化はなかった。

 海でも見に行こうかと言われて、運ばれていると、目の前にはキラキラとした夜景と海。
でもまあ、去年デートしてくれたお兄さんとも夜景が見える海まで行ったんだよなぁ。
とか、この公園は好きなんだけど、暗いところではあんまり見えないから夜の公園は歩くの苦手とか言わなかったので所々困ったり、うーんってなってしまうことが多かった。
もう何よりも、寒くて、ポッケから手が出せなかった。

 昔作った気がするミニチョコタルト。
チョコは柔らかいのに、タルト生地は割としっかりしてて、力を入れすぎると割れちゃう。
私の心も、見た目は柔らかい方だと思うんだけど、実際力を入れて歩み寄られると怖くなって怯えてボロボロになる。
あーあ。
去年のことを思い出して、後悔しないように好きな人にはその時に最高にあげたいものをあげないとなぁと思う、バレンタインの夜でした。
甘くとろける恋がしたいですね。
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