闇の深そうな話

関塚衣旅葉

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家から出れない話

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 家に帰ったら、お姉ちゃんだけが居た。
まだ生きてたんだね。
って言われた。
仕方ない、お姉ちゃんの中で私はいない方がいい人間だもんね。
って分かってるから。

 これ以上お姉ちゃんに何か言われたら、辛くなっちゃうからサクッと荷物を持って、家から出た。
私はこの家にい場所がない。
でも、家には帰りたい。
彼と一緒にいるのはかなり苦痛なの。
何かされたとかじゃなくて、たまに来る彼の友人との会話とか、彼の両親が急に来たりとか。
彼と過してるうちに分かったことは、彼がとても周りに愛されていて、そして彼は人の愛し方が分かってないということ。
だから、彼は私のことを手放すことも出来ないし、少しでも離れようとすると嫌がって暴力的になる。

 もう今は彼は仕事でいないし、学校に来たけど、保健室に案内された。
事情聴取みたいなやつをされる気がする。
そりゃ、夏休み明け、連絡もなしに1週間以上学校を休んでたから仕方ないけど。

 「桃香はあれだよな、彼氏と仲がいいとは聞いてるけど、それが理由で来なかったのか? 」
担任の若い先生は、私の話を聞いてくれるの。
誰とでも会話してくれる。
だから、夏休み前に彼氏が出来た話もしたし、家族仲が悪いことも話してある。
でも、彼氏がちょっとだけ独占欲が強くて家に帰れない、なんて言い難い。
助けてくれるわけじゃないのに、話したところで……。

 学校終わったら早く帰らないと、彼の機嫌が悪くなっちゃう……。
機嫌が悪くなきゃ、そろそろ家に帰りたいって話したいな。
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