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生誕祝い編
30.パレード準備 情熱の三日目④
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午後はいよいよドレスの試着だ。リリアンはシャロン達も誘ったが、感動は後に取っておくのだと言って、それぞれ別荘へ帰ってしまった。
お腹が小慣れた頃、帰宅したアルベルトと共に工房へ移動する。
リリアンが工房へ入ると一斉に歓声が沸いた。にも関わらず、アルベルト達は当たり前の顔をして職人達の前を通り過ぎるので、ここでもヘレナは目を丸くする。
一行を迎えたのは工房長だ。片眼鏡の男は柔和な笑みで頭を下げた。
「お待ちしていました、リリアン様」
「お久しぶりです。忙しくさせてしまったのではない?」
「とんでもない、実に有意義な時間でしたよ」
にこにことしているが、目の下にはくっきりと隈ができていて、あまり大丈夫そうに見えない。よくよく観察してみれば他の職員達も似たような感じだった。ひっそり息を呑むヘレナである。
工房長の後に続く形で廊下を進む。こちらです、と通された部屋の辺りには職員は少なく、配慮が感じられた。
開けられた扉を潜ると中にはセレストがおり、仕上がったばかりであろうドレスも置かれている。
「セレスト様、お疲れ様でした」
リリアンはちらりとドレスを見たものの、すぐにセレストに声を掛けた。
セレストはどこかくたびれているように見える。それは比較的簡素なドレスのせいかもしれなかったし、軽く結っただけの髪のせいかもしれない。けれどもどこか晴れ晴れとした表情からは自信を感じ、リリアンは労いたい気持ちでいっぱいになる。
セレストは少しばかり肩を竦めると、リリアンと同じようにドレスを一瞥する。
「ええ、と言いたいところではあるけれど、試着次第では色々変更しなくてはならないの。早速着替えてくださる?」
「分かりましたわ。それにしても、とても綺麗ね。着るのが楽しみだわ」
リリアンが微笑むと、ドレスを運ぼうとしていたお針子がほぅ、と息を吐いた。すぐにはっとなっていたが、ヘレナには彼女の気持ちがとてもよく理解できる。ドレスを見たリリアンはきらりと瞳を輝かせ、頬を紅潮させていた。そんなリリアンの笑顔は、ドレスよりも輝いていたのだ。
別室へ移動するリリアンを見送り、しばし待つ。その間は、やはり出来上がったばかりのドレスの話題が中心となった。
「素晴らしい出来栄えね」
「閣下のデザインが素晴らしいのですわ、クラベル様」
「セレスト様、そんな謙遜をしなくてもいいのよ。あなたでなければ、仕上がらなかったのではなくて?」
クラベルがそう言うと、ヘレナが「えっ」と驚いて振り返る。
「もしかしてセレスト様が縫われたの?」
「いいえ。さすがにそこまでの技術はわたくしにはありません。それに今回のドレス、生地がとても薄くて、熟練の職人でないと難しかったもので」
「そうなの?」
「ヘレナ様、騙されちゃダメよ。縫っていない、ということは、それ以外には手を加えられる、という事なのだから。石の位置やドレープの具合なんかの細部の調整が上手くなければ、ああはいかないわ」
「か、買い被りすぎですわ、クラベル様」
慌てるセレストはあくまで自分はデザイン画を再現しただけだ、と繰り返しているが、それが難しいのはヘレナにだって分かる。ヘレナもデザイン画を見てはいるが、実際のドレスがどう形になるのかは想像できなかった。
「リリアンお姉様がどんな風になるのか、楽しみだわ」
期待から目を輝かせるヘレナ達と違い、セレストはどうなるかしら、とこっそり息を吐く。
ドレスはデザイン画を元にきっちり作ってある。イメージにより近付くよう、刺繍を足す提案をし、それが通ったはいいが、出来上がったドレスを見てもピンと来ない。
「でも珍しいのね。純白のドレスなんて」
ヘレナの一言にはセレストも同感だ。船の上でそれを聞いた時にはぱちぱちと瞬いてしまった。
白いドレスというものが無いわけではないが、お祝い事には華やかな衣装を纏うものなのだ。いくつかの生地を使い、刺繍などで工夫はされているが、縫い付ける宝石も最低限なドレスは、さすがのリリアンでも見栄えがしないかもしれない。生地をいくつ重ねても白は白なのだ、ましてや遠くからでは、織りの違いなど見えるはずもない。
しかし絹の生地は一等白く艶の良いもの。それと同じ糸で縫われた刺繍は緻密で素晴らしい。つい先日入手した三日月型の真珠も飾られていることであるし、何よりアルベルトが微妙なものをリリアンに着させるわけがない。だからこれで良いはず。
この数日間、ずっとそんな事をぐるぐる考えているセレストは、結局そこに落ち着くと長めに息を吐く。当のアルベルトが険しい顔つきでいるのに気付いても気付かないふりをした。もしもセレストが作ったものがアルベルトの意にそぐわなかったら、と考えると、喉の辺りがきゅっとなる。
ヘレナやクラベルがリリアンの登場を今か今かと待つ一方、その瞬間が早くきて欲しいような欲しくないようなとセレストが震える中で、ついにキィ、と扉が開いた。
「わぁっ!」
「まあ……」
ヘレナとクラベルは息を呑む。ドアの向こうからやって来たリリアンは、純白のドレスを輝かせ、しずしずと歩を進めている。ヘレナなどは、さながら女神のようだ、と言葉を無くしていた。
実際、廊下の方から逆光になっていたので輝いて見えたのだが、二人にはリリアン自身が発光しているように見えていた。それ故の感想である。
リリアンはそのまま部屋の中央までやって来ると、ふわりと裾をなびかせアルベルトの方を向く。
「お父様、いかがでしょう?」
「うん。綺麗だぞリリアン」
アルベルトは微笑んだままそう答える。
あら、とヘレナとクラベルは顔を見合わせた。ずいぶんあっさりした反応だ。
セレストと工房長が人知れず顔色を悪くしているが、生憎とそれに気付く者はいない。
「リリアン、そこに立っていてくれ」
「ええ、分かりました」
そんな中でアルベルトは内ポケットに手を突っ込むと、反対の手で床を指差し、自身は数歩退がる。離れて確認をするのだろうか、と一同が見守る中でその変化は起きた。
「えっ」
「そ、そんな」
アルベルトが内ポケットから取り出した石。それが光を放つと、純白だったドレスは今やオーロラ色に染まっている。
ぽかんと眺めるセレストは、自分が何を見ているのかさえ曖昧だった。
一番大きく使った生地は、良い絹を生産するヴァーミリオン領の中でも特別艶のいい、上等のものだ。セレストでも染めてしまうのが勿体無いと感じてしまうくらい艶やかな生地は、ひかりを浴びて深い緑色をしている。
染め物に無い新鮮な色は、そうこうしているうちに入れ替わり、表情を変えていった。
「ああ、素晴らしい、素晴らしいぞリリアン……!! 思った通りだ、なんて美しい! 私の想像を遥かに超える輝きだ! 滑らかな絹に私が出した光を投影する、どうだ、これこそ唯一無二のドレス! 織りも素材も違う生地を重ねる事によって色の違いを出すというアイディアは完璧だったな。照りの強い生地を外側に配したことで輝きが増し、存在感を出しているのがいい。濃い緑の波打つ光が照らす中、縁取られた銀糸はまるで空に浮かび上がる道筋のようだ、私も導かれたい! 右サイドから斜めに大きな波を描いて内側の薄絹が見えるのもいいな。こちらは投影の光を返さないよう素材を吟味したが、そのおかげで色合いに違いが出ている。何もかも想定通りだ! 淡く優しい緑が外側の生地の色を引き立てる。裾の刺繍には外側の生地に使用した糸を使えば模様として浮かび上がらせられるというシュナイダー君の娘の案もいいではないか、投影していない間は目立たないのもいい、リリアンの控え目で可憐な内面を表しているかのようだ。水晶樹脂から作った水晶絹が神秘的な雰囲気を出しているな。魔力に反応して透ける素材など使い勝手が悪いと思っていたがどうだ、その部分とただの絹とで色味が変わるなどこの為に存在しているようなものではないか! 上から重ねてみたが、そこを通して見るドレスも格別だ。まさしく女神の羽衣といった佇まい、それを着こなすリリアンあっての素晴らしさだ。本当に、なんて美しいんだ……。こんなに立派になって……。上腕から背面までを覆う部分と、腰の辺りからスカート部分に重ねた部分とが風に靡けば、繊細な光の帯が形を変える、まさにオーロラそのものだ! 真珠もやはり付けてよかった。見ろ、この複雑に反射する光を。独特のしっとりした艶がオーロラの光を照り返し、宝石とはまた違った輝きを湛えている。これだこれ、この輝きが欲しかったんだ! 左の太ももから腰へ、更にその先、右の胸元に置かれた月。それらの間には金糸で模様を描く。軌跡を描き、中天へ昇っていく様子を完璧に表現している。素晴らしい……。素晴らしすぎてそれしか言えなくなるが、すまないリリアン、少し後ろを向いてくれるか。そうだ、ああ、いいぞ。背面全体に水晶絹を使って正解だった。これでよりオーロラらしさが生まれている。何枚か重ねると光が散って存在感が無くなってしまうのではないかとも思ったが、重なった部分の柔らかい光が内側からリリアンを輝かせている。これ以上ない演出ではないか。後ろに垂れる二本のリボンも、オーロラの中突如として現れる一筋の強い輝きを表せている。さすがは私だ、完璧過ぎる。ああ、上体の水晶布の先端に真珠を下げたのは重心を取る為だが、オーロラが空一面に広がる中に浮かぶ月のようでこれも見事だ。腕を上げても手を振っても邪魔にならないよう設計しているから、リリアン、存分に振るうといい。美しさを見せつけるんだ。最高だ。これこそ……至高のリリアンの姿!!」
リリアンを前にし、アルベルトは早口で捲し立てる。
室内に響くのはそれだけだし、途中早過ぎて聞き取れない箇所もあったが、ヘレナもクラベルもほぼ同意だったので黙っている。というか、光を投影されたリリアンは美しく、感動が言葉にならない。よくぞ声が出せるものだ、と思ってしまうくらいには、身動きができなかった。
付き従うシルヴィアも、壁際に控えるベンジャミン、工房長やお針子も同様で、誰もがうっとりとリリアンの姿に魅入っている。
「こんな……こんなことって」
そんな中で、ぽつりと声がして、リリアンはそちらを振り向く。
「セレスト様?」
「閣下! これは一体どういう事ですかっ!」
ぷるぷる震えていたと思ったら、セレストが突然叫んだ。
「こんな、こんなの……! どうしてもっと早くに教えて下さらなかったのです!? ああ、これならこのレースは要らないわ。こっちの石も」
セレストは激昂しているかのような勢いで叫ぶなり、鋏を持ち出してドレスに入れようとした。慌てて工房長も駆け寄るし、リリアンもびっくりしている。
アルベルトはリリアンがびっくりしているのと、刃物とに反応して即座に体を滑り込ませた。セレストの目的がドレスなのは分かっているが、その先にあるのはリリアンなのだ、見過ごすわけにいかない。
「待て。なにをする」
「なにをする、ではありません! こうなると知っていたら、初めからこの石は付けませんでした。レースもです! この状態を完成形とする場合、不要となるものを取り除くだけですわ!」
「不要……だと?」
「ええ、不要です。こんな場所に石を置いては、水晶絹がひらめくのを邪魔しますもの。レースも色合い的にいりません。どうしてもと言うのなら色か素材を変えるべきですわ。初めから見せて頂いていれば提案しましたのに、こんな物になってしまったのは、閣下の落ち度です!」
「む」
こんな物、と言われ、アルベルトは眉間に皺を寄せる。不快だったのではない、オーロラのようなドレスを纏ったリリアンは美しく、充分な出来栄えだったのだ。なのにこの娘はそれを指して「こんな物」と言うのだ、それが不可解だった。
だが、そういえば口頭の説明だけで、実際の光は見せていなかったような気がするな、とアルベルトはふと思う。
「ああ、すごい……! ひとつのドレスなのに、印象をまったく別のものに変えられるなんて……! ドレス自身のゆらめきと光のゆらぎ、最上級の絹を使った理由がようやく分かった。こういう事だったのね……」
セレストはアルベルトの反応はまったく目に入っていないらしい。興奮気味にドレスを見ては、駆け寄ってきた工房長に指示を出していた。
「工房長、糸と生地を追加で用意して。水晶絹を足した方がいいわ。銀糸と金糸も。ありったけの人員を使って、刺繍を増やします。その手筈を」
「は、はい」
「リリアン様、そちらをすぐに脱いでくださいませ。急ぎ調整しなければ」
リリアンは頷くも、困ったようにちらりとアルベルトへ視線を向けてきた。どうするのかと問いかけているのだ。輝くドレス姿のリリアンがそんな表情でこちらを窺う姿は実に珍しく、意識を持って行かれそうになる。
それではいけないと思考を戻すが、これまででアルベルトはセレストの才覚をはっきり目にしている。ラインを出すのが難しいはずのマーメイドドレスを作って見せたのは記憶に新しい。あれも実にリリアンにぴったりで、アルベルトは満足したのだ。
だからこの変更も悪い結果になるはずがない。が、どう変化するのかを事前に聞いておかなかければ、許可するもしないもないだろう。
「聞くが、どう変更するつもりだ?」
「ここに刺繍を入れて、水晶絹をこう足します。これで光の帯の複雑さを表現し、インパクトを出すのです。石は改めて吟味し、三日月真珠を引き立てるよう、小さなものを散りばめようかと。それとこことここ、布を寄せてひだを増やしますわ。パレードは屋外でしょう? 波打つ間隔が狭くなった方が見栄えがしますわ」
ふむ、と言われたものを想像してみる。
馬車の上で神々しい輝きを振り撒くリリアン。水晶絹は枚数を増やし、より色を複雑にして風になびく。世にも珍しい三日月型の真珠は自身も煌めきながらも、数々の宝石によって輝きを添えられる。
美しい光を帯びるリリアンを称賛する群衆。そのリリアンが、真珠にも宝石にも水晶絹にも、そしてアルベルトが完成させるドレスにも負けないくらい、輝かんばかりの笑顔でこちらを振り向いて——。
くわっとアルベルトは目を見開く。
そんなの、見たいに決まっているではないか!
「良い……! よし、やれ!」
「はい!」
ぱあっとセレストは表情を輝かせる。それを見て工房長が部屋の外へ駆けていった。おそらく諸々の準備を進める為だろう。
アルベルトが許可を出したのなら、リリアンは当然とばかりにそれに従った。頷くとシルヴィアと一緒に着替えに向かう。
「セレスト様、ご無理なさらないでね」
「その約束はできません。でも良いものを作るためなら、留意しますわ」
それに対してまあ、とリリアンが声を上げた。声色は楽しげで、実際いい笑顔だった。その理由はなんとなく分かる。そもそもセレストも、自信たっぷりな笑顔だったのだ。
リリアンに見惚れつつ、一連を見守っていたヘレナとクラベルは顔を見合わせた。
「セレスト様、別人みたいね」
「楽しいのね、きっと」
それからどちらともなく、ふふっ、と笑い合う。
だって、あんなに素晴らしい衣装なのだ。リリアンが纏えば天上の女神でさえも褒め称えるに違いなく、そんな美しいものを作るのが楽しくないはずがない。
だからあんなにも嬉しそうなのだと、セレストを除く全員が、そう思っていた。
お腹が小慣れた頃、帰宅したアルベルトと共に工房へ移動する。
リリアンが工房へ入ると一斉に歓声が沸いた。にも関わらず、アルベルト達は当たり前の顔をして職人達の前を通り過ぎるので、ここでもヘレナは目を丸くする。
一行を迎えたのは工房長だ。片眼鏡の男は柔和な笑みで頭を下げた。
「お待ちしていました、リリアン様」
「お久しぶりです。忙しくさせてしまったのではない?」
「とんでもない、実に有意義な時間でしたよ」
にこにことしているが、目の下にはくっきりと隈ができていて、あまり大丈夫そうに見えない。よくよく観察してみれば他の職員達も似たような感じだった。ひっそり息を呑むヘレナである。
工房長の後に続く形で廊下を進む。こちらです、と通された部屋の辺りには職員は少なく、配慮が感じられた。
開けられた扉を潜ると中にはセレストがおり、仕上がったばかりであろうドレスも置かれている。
「セレスト様、お疲れ様でした」
リリアンはちらりとドレスを見たものの、すぐにセレストに声を掛けた。
セレストはどこかくたびれているように見える。それは比較的簡素なドレスのせいかもしれなかったし、軽く結っただけの髪のせいかもしれない。けれどもどこか晴れ晴れとした表情からは自信を感じ、リリアンは労いたい気持ちでいっぱいになる。
セレストは少しばかり肩を竦めると、リリアンと同じようにドレスを一瞥する。
「ええ、と言いたいところではあるけれど、試着次第では色々変更しなくてはならないの。早速着替えてくださる?」
「分かりましたわ。それにしても、とても綺麗ね。着るのが楽しみだわ」
リリアンが微笑むと、ドレスを運ぼうとしていたお針子がほぅ、と息を吐いた。すぐにはっとなっていたが、ヘレナには彼女の気持ちがとてもよく理解できる。ドレスを見たリリアンはきらりと瞳を輝かせ、頬を紅潮させていた。そんなリリアンの笑顔は、ドレスよりも輝いていたのだ。
別室へ移動するリリアンを見送り、しばし待つ。その間は、やはり出来上がったばかりのドレスの話題が中心となった。
「素晴らしい出来栄えね」
「閣下のデザインが素晴らしいのですわ、クラベル様」
「セレスト様、そんな謙遜をしなくてもいいのよ。あなたでなければ、仕上がらなかったのではなくて?」
クラベルがそう言うと、ヘレナが「えっ」と驚いて振り返る。
「もしかしてセレスト様が縫われたの?」
「いいえ。さすがにそこまでの技術はわたくしにはありません。それに今回のドレス、生地がとても薄くて、熟練の職人でないと難しかったもので」
「そうなの?」
「ヘレナ様、騙されちゃダメよ。縫っていない、ということは、それ以外には手を加えられる、という事なのだから。石の位置やドレープの具合なんかの細部の調整が上手くなければ、ああはいかないわ」
「か、買い被りすぎですわ、クラベル様」
慌てるセレストはあくまで自分はデザイン画を再現しただけだ、と繰り返しているが、それが難しいのはヘレナにだって分かる。ヘレナもデザイン画を見てはいるが、実際のドレスがどう形になるのかは想像できなかった。
「リリアンお姉様がどんな風になるのか、楽しみだわ」
期待から目を輝かせるヘレナ達と違い、セレストはどうなるかしら、とこっそり息を吐く。
ドレスはデザイン画を元にきっちり作ってある。イメージにより近付くよう、刺繍を足す提案をし、それが通ったはいいが、出来上がったドレスを見てもピンと来ない。
「でも珍しいのね。純白のドレスなんて」
ヘレナの一言にはセレストも同感だ。船の上でそれを聞いた時にはぱちぱちと瞬いてしまった。
白いドレスというものが無いわけではないが、お祝い事には華やかな衣装を纏うものなのだ。いくつかの生地を使い、刺繍などで工夫はされているが、縫い付ける宝石も最低限なドレスは、さすがのリリアンでも見栄えがしないかもしれない。生地をいくつ重ねても白は白なのだ、ましてや遠くからでは、織りの違いなど見えるはずもない。
しかし絹の生地は一等白く艶の良いもの。それと同じ糸で縫われた刺繍は緻密で素晴らしい。つい先日入手した三日月型の真珠も飾られていることであるし、何よりアルベルトが微妙なものをリリアンに着させるわけがない。だからこれで良いはず。
この数日間、ずっとそんな事をぐるぐる考えているセレストは、結局そこに落ち着くと長めに息を吐く。当のアルベルトが険しい顔つきでいるのに気付いても気付かないふりをした。もしもセレストが作ったものがアルベルトの意にそぐわなかったら、と考えると、喉の辺りがきゅっとなる。
ヘレナやクラベルがリリアンの登場を今か今かと待つ一方、その瞬間が早くきて欲しいような欲しくないようなとセレストが震える中で、ついにキィ、と扉が開いた。
「わぁっ!」
「まあ……」
ヘレナとクラベルは息を呑む。ドアの向こうからやって来たリリアンは、純白のドレスを輝かせ、しずしずと歩を進めている。ヘレナなどは、さながら女神のようだ、と言葉を無くしていた。
実際、廊下の方から逆光になっていたので輝いて見えたのだが、二人にはリリアン自身が発光しているように見えていた。それ故の感想である。
リリアンはそのまま部屋の中央までやって来ると、ふわりと裾をなびかせアルベルトの方を向く。
「お父様、いかがでしょう?」
「うん。綺麗だぞリリアン」
アルベルトは微笑んだままそう答える。
あら、とヘレナとクラベルは顔を見合わせた。ずいぶんあっさりした反応だ。
セレストと工房長が人知れず顔色を悪くしているが、生憎とそれに気付く者はいない。
「リリアン、そこに立っていてくれ」
「ええ、分かりました」
そんな中でアルベルトは内ポケットに手を突っ込むと、反対の手で床を指差し、自身は数歩退がる。離れて確認をするのだろうか、と一同が見守る中でその変化は起きた。
「えっ」
「そ、そんな」
アルベルトが内ポケットから取り出した石。それが光を放つと、純白だったドレスは今やオーロラ色に染まっている。
ぽかんと眺めるセレストは、自分が何を見ているのかさえ曖昧だった。
一番大きく使った生地は、良い絹を生産するヴァーミリオン領の中でも特別艶のいい、上等のものだ。セレストでも染めてしまうのが勿体無いと感じてしまうくらい艶やかな生地は、ひかりを浴びて深い緑色をしている。
染め物に無い新鮮な色は、そうこうしているうちに入れ替わり、表情を変えていった。
「ああ、素晴らしい、素晴らしいぞリリアン……!! 思った通りだ、なんて美しい! 私の想像を遥かに超える輝きだ! 滑らかな絹に私が出した光を投影する、どうだ、これこそ唯一無二のドレス! 織りも素材も違う生地を重ねる事によって色の違いを出すというアイディアは完璧だったな。照りの強い生地を外側に配したことで輝きが増し、存在感を出しているのがいい。濃い緑の波打つ光が照らす中、縁取られた銀糸はまるで空に浮かび上がる道筋のようだ、私も導かれたい! 右サイドから斜めに大きな波を描いて内側の薄絹が見えるのもいいな。こちらは投影の光を返さないよう素材を吟味したが、そのおかげで色合いに違いが出ている。何もかも想定通りだ! 淡く優しい緑が外側の生地の色を引き立てる。裾の刺繍には外側の生地に使用した糸を使えば模様として浮かび上がらせられるというシュナイダー君の娘の案もいいではないか、投影していない間は目立たないのもいい、リリアンの控え目で可憐な内面を表しているかのようだ。水晶樹脂から作った水晶絹が神秘的な雰囲気を出しているな。魔力に反応して透ける素材など使い勝手が悪いと思っていたがどうだ、その部分とただの絹とで色味が変わるなどこの為に存在しているようなものではないか! 上から重ねてみたが、そこを通して見るドレスも格別だ。まさしく女神の羽衣といった佇まい、それを着こなすリリアンあっての素晴らしさだ。本当に、なんて美しいんだ……。こんなに立派になって……。上腕から背面までを覆う部分と、腰の辺りからスカート部分に重ねた部分とが風に靡けば、繊細な光の帯が形を変える、まさにオーロラそのものだ! 真珠もやはり付けてよかった。見ろ、この複雑に反射する光を。独特のしっとりした艶がオーロラの光を照り返し、宝石とはまた違った輝きを湛えている。これだこれ、この輝きが欲しかったんだ! 左の太ももから腰へ、更にその先、右の胸元に置かれた月。それらの間には金糸で模様を描く。軌跡を描き、中天へ昇っていく様子を完璧に表現している。素晴らしい……。素晴らしすぎてそれしか言えなくなるが、すまないリリアン、少し後ろを向いてくれるか。そうだ、ああ、いいぞ。背面全体に水晶絹を使って正解だった。これでよりオーロラらしさが生まれている。何枚か重ねると光が散って存在感が無くなってしまうのではないかとも思ったが、重なった部分の柔らかい光が内側からリリアンを輝かせている。これ以上ない演出ではないか。後ろに垂れる二本のリボンも、オーロラの中突如として現れる一筋の強い輝きを表せている。さすがは私だ、完璧過ぎる。ああ、上体の水晶布の先端に真珠を下げたのは重心を取る為だが、オーロラが空一面に広がる中に浮かぶ月のようでこれも見事だ。腕を上げても手を振っても邪魔にならないよう設計しているから、リリアン、存分に振るうといい。美しさを見せつけるんだ。最高だ。これこそ……至高のリリアンの姿!!」
リリアンを前にし、アルベルトは早口で捲し立てる。
室内に響くのはそれだけだし、途中早過ぎて聞き取れない箇所もあったが、ヘレナもクラベルもほぼ同意だったので黙っている。というか、光を投影されたリリアンは美しく、感動が言葉にならない。よくぞ声が出せるものだ、と思ってしまうくらいには、身動きができなかった。
付き従うシルヴィアも、壁際に控えるベンジャミン、工房長やお針子も同様で、誰もがうっとりとリリアンの姿に魅入っている。
「こんな……こんなことって」
そんな中で、ぽつりと声がして、リリアンはそちらを振り向く。
「セレスト様?」
「閣下! これは一体どういう事ですかっ!」
ぷるぷる震えていたと思ったら、セレストが突然叫んだ。
「こんな、こんなの……! どうしてもっと早くに教えて下さらなかったのです!? ああ、これならこのレースは要らないわ。こっちの石も」
セレストは激昂しているかのような勢いで叫ぶなり、鋏を持ち出してドレスに入れようとした。慌てて工房長も駆け寄るし、リリアンもびっくりしている。
アルベルトはリリアンがびっくりしているのと、刃物とに反応して即座に体を滑り込ませた。セレストの目的がドレスなのは分かっているが、その先にあるのはリリアンなのだ、見過ごすわけにいかない。
「待て。なにをする」
「なにをする、ではありません! こうなると知っていたら、初めからこの石は付けませんでした。レースもです! この状態を完成形とする場合、不要となるものを取り除くだけですわ!」
「不要……だと?」
「ええ、不要です。こんな場所に石を置いては、水晶絹がひらめくのを邪魔しますもの。レースも色合い的にいりません。どうしてもと言うのなら色か素材を変えるべきですわ。初めから見せて頂いていれば提案しましたのに、こんな物になってしまったのは、閣下の落ち度です!」
「む」
こんな物、と言われ、アルベルトは眉間に皺を寄せる。不快だったのではない、オーロラのようなドレスを纏ったリリアンは美しく、充分な出来栄えだったのだ。なのにこの娘はそれを指して「こんな物」と言うのだ、それが不可解だった。
だが、そういえば口頭の説明だけで、実際の光は見せていなかったような気がするな、とアルベルトはふと思う。
「ああ、すごい……! ひとつのドレスなのに、印象をまったく別のものに変えられるなんて……! ドレス自身のゆらめきと光のゆらぎ、最上級の絹を使った理由がようやく分かった。こういう事だったのね……」
セレストはアルベルトの反応はまったく目に入っていないらしい。興奮気味にドレスを見ては、駆け寄ってきた工房長に指示を出していた。
「工房長、糸と生地を追加で用意して。水晶絹を足した方がいいわ。銀糸と金糸も。ありったけの人員を使って、刺繍を増やします。その手筈を」
「は、はい」
「リリアン様、そちらをすぐに脱いでくださいませ。急ぎ調整しなければ」
リリアンは頷くも、困ったようにちらりとアルベルトへ視線を向けてきた。どうするのかと問いかけているのだ。輝くドレス姿のリリアンがそんな表情でこちらを窺う姿は実に珍しく、意識を持って行かれそうになる。
それではいけないと思考を戻すが、これまででアルベルトはセレストの才覚をはっきり目にしている。ラインを出すのが難しいはずのマーメイドドレスを作って見せたのは記憶に新しい。あれも実にリリアンにぴったりで、アルベルトは満足したのだ。
だからこの変更も悪い結果になるはずがない。が、どう変化するのかを事前に聞いておかなかければ、許可するもしないもないだろう。
「聞くが、どう変更するつもりだ?」
「ここに刺繍を入れて、水晶絹をこう足します。これで光の帯の複雑さを表現し、インパクトを出すのです。石は改めて吟味し、三日月真珠を引き立てるよう、小さなものを散りばめようかと。それとこことここ、布を寄せてひだを増やしますわ。パレードは屋外でしょう? 波打つ間隔が狭くなった方が見栄えがしますわ」
ふむ、と言われたものを想像してみる。
馬車の上で神々しい輝きを振り撒くリリアン。水晶絹は枚数を増やし、より色を複雑にして風になびく。世にも珍しい三日月型の真珠は自身も煌めきながらも、数々の宝石によって輝きを添えられる。
美しい光を帯びるリリアンを称賛する群衆。そのリリアンが、真珠にも宝石にも水晶絹にも、そしてアルベルトが完成させるドレスにも負けないくらい、輝かんばかりの笑顔でこちらを振り向いて——。
くわっとアルベルトは目を見開く。
そんなの、見たいに決まっているではないか!
「良い……! よし、やれ!」
「はい!」
ぱあっとセレストは表情を輝かせる。それを見て工房長が部屋の外へ駆けていった。おそらく諸々の準備を進める為だろう。
アルベルトが許可を出したのなら、リリアンは当然とばかりにそれに従った。頷くとシルヴィアと一緒に着替えに向かう。
「セレスト様、ご無理なさらないでね」
「その約束はできません。でも良いものを作るためなら、留意しますわ」
それに対してまあ、とリリアンが声を上げた。声色は楽しげで、実際いい笑顔だった。その理由はなんとなく分かる。そもそもセレストも、自信たっぷりな笑顔だったのだ。
リリアンに見惚れつつ、一連を見守っていたヘレナとクラベルは顔を見合わせた。
「セレスト様、別人みたいね」
「楽しいのね、きっと」
それからどちらともなく、ふふっ、と笑い合う。
だって、あんなに素晴らしい衣装なのだ。リリアンが纏えば天上の女神でさえも褒め称えるに違いなく、そんな美しいものを作るのが楽しくないはずがない。
だからあんなにも嬉しそうなのだと、セレストを除く全員が、そう思っていた。
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転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~
結笑-yue-
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『可愛いわね』
『小さいな』
『…やっと…逢えた』
『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』
『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』
地球とは別の世界、異世界“パレス”。
ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。
しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。
神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。
しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。
原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。
その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。
生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。
初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。
阿鼻叫喚のパレスの神界。
次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。
これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。
家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待!
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小説家になろう様でも連載中です。
第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます!
よろしくお願い致します( . .)"
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