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南の国編
21.南の国の呪いの姫と宝石と人助け④
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通された広間には、すでに幾人かの姿があった。ヒースは席を勧めると自らも椅子へ腰を下ろす。
ヒースの右側の女性が王妃で、その正面の男性が王太子。王太子以外の子供達は同席していなかった。リリアンやレイナードに関する諸々の配慮からだろう。
王妃はアルベルトを見るなり目を見開いていたが、すぐに表情を改めた。娘の為に足を運んでくれた事に感謝を、とだけ言って目を伏せる。長い睫毛が影を落とすが、それだけではないくらい目元が暗い。おそらく心労が溜まっているのだろう。
王太子はヒースと同じ色を持つ青年だった。彼も要求に応じた事に礼を述べると、それ以降は極力口を挟まなかった。マクスウェルとレイナードよりも少し歳上らしい彼は、父親と違い、落ち着いた雰囲気がある。色々な事情から控え目にしているのかもしれない。
挨拶を交わすと食事が運ばれてきた。色取りどりの野菜がたっぷり使われた料理は、どれも適度にスパイスが効いており食欲を刺激する。魚介をよく食すそうで、確かにどの料理にもなにかしらの海鮮が使われていた。魚介の旨みをたっぷり吸った野菜は程よい塩気が堪らない。どれも本当に美味しくて、一同は舌鼓を打った。
メインディッシュが並んだ後、現在の詳しい状況の説明があった。現在エル=イラーフ王国には王子が二人、王女が三人いる。一番上の王女は嫁いでいるので、国に残っているのは二人なのだと、食事を進めながらヒースは言った。
それに、「では」と返したのはマクスウェルだ。
「危険な状態にあるという王女殿下は、そのうちの一人だと?」
「ああ、末の子だ。特別身体が弱いわけでもなかったんだが。年が明けてからというもの伏せがちになって、このひと月ほどで床から出られなくなってしまった」
「まあ……」
第三王女はヘレナという名前で、歳は十二。リリアンとふたつしか違わない。元々活発だという彼女が動けなくなってしまったのは辛いだろう。
リリアンが痛ましげに眉を下げていると、同じ様な表情のクラベルがヒースへと向く。
「侍医は何と?」
「生まれつきの体質が大きく関係しているそうなんだ」
それに反応したのはレイナードだった。
「体質?」
「ああ。うちの家系は、どうも魔力の回路に難があるようでね。稀にそれが酷い子供が生まれる事がある。大体は、王宮の医師が対応出来るんだけど。どうにもあの子にはそれが効かないようで」
ヒースが説明するのに、ぎゅっと眉間に皺を寄せるアルベルト。
「聞いていないぞ、そんな話は」
「手紙には書けなかったんだ。一応これ、王宮でも一部の臣下しか知らない事だから」
機密事項だと言われるとそれ以上は追求できない。アルベルトは不満気に鼻を鳴らした。
王妃と王太子は、それぞれ項垂れる。体質と言えばそれまでだが、命に関わるような疾患は、王侯貴族では致命的な欠点となる。ましてや王家の直系がそんな事態となっては、今後の治世にも影響が出てしまうだろう。
けれども、本来であればそれも杞憂なのだとヒースは語った。
「小さい頃から治療をすると成長するにつれ良くなっていく。再発することもほとんど無い。あの子も改善していたはずなんだが」
「それが急に悪くなった、と」
「そうなんだ。悪化した原因は全く分からない。そもそもそこまで酷くなる事例が無かったから」
マクスウェルが言ったのに頷き、ヒースは腕を組む。
「治療が叶わなかった王子や王女は、幼い時分に亡くなっている。例外は無い」
その言葉に王妃が嗚咽を漏らした。母上、という王太子の宥める声も聞こえる。
ヒースの言葉は慈悲無く聞こえるが、彼の表情はそれまでとは違い、固いものに変わっている。家族が危険な状態とあれば、王妃の反応もヒースの態度も当然のものだろう。
王妃の隣に席を与えられたリリアンは彼女を気遣い、そっと手を伸ばす。
「魔法使いをご指名された理由は、なんなのでしょう」
ああ、とヒースはリリアンに向いた。
「それは、患部が魔力回路だからさ。熟練した魔法使いなら他人の魔力回路にも干渉できる。他でもないうちの侍医がそれに特化している魔導士なんだ」
「そうだったのですね」
リリアンに頷き、それからヒースはアルベルトに視線を向ける。
「で、どう、アルベルト。治せそう?」
「診てみない事にはわからん。報酬も状態を見てからだ」
「わかった、頼むよ」
食事を終えてからすぐに王女の状態を確認する事になった。王女の体調を考え、ヒースと王妃、それからアルベルトだけが広間から出て行く。
それを見送るリリアンは不思議と自分が落ち着いているのに気付く。なんとなくだが、最悪の事が起きるような事態にはならないだろうなと、そう感じていたのだ。
どうかその通りになりますように。リリアンはそっと心の内で祈った。
広間から廊下を進み、階段を登り、王族の生活スペースへと通されたアルベルトは黙って案内に従っていた。少なくとも、これまでに歩いた範囲には不審な点は無い。けれども、どの国であっても、王宮という場所は特殊な空間だ。様々な人間の多様な思惑渦巻く場は、何かしら不調を生むものだ。そういう思惑は実際に、他者に不具合を起こさせる場合がある。無意識のうちに思いを具現化させようと魔力を放出しているのだ。それは呪いと呼ばれ、呪いを生み出せる魔導士は呪術師と区別される。
トゥイリアース王国には、明確に呪術師と呼ばれる魔導士は居ない。魔法陣を使用して魔法を使う者こそが魔導士だ、という認識があるからだ。だが、このエル=イラーフ王国には結構な数が居ると聞いた。
呪いとまじないは紙一重とは良く言ったもので、思いで事象を起こす、というのは便利な魔法なのだ。洪水のところへ更なる雨を呼べば災害、呪いとなるが、干ばつのところへ雨を呼べば祝福、まじないとなる。もっとも、魔力に邪念や殺意なんかを乗せれば呪いになるのだから、アルベルトもある種一流の呪術師とも言えるのだが。現にそういうのは得意である。ナルマフ王国の元第二王子を呪ったのは記憶に新しい。
エル=イラーフ王国に居るのは、そんな呪術師なのだ。話を聞く限り、侍医というのもその呪術師の一種なのだろう。
そんな王宮で生活をしていて、体調を崩したという王女。ならば真っ先に呪いを疑うだろうが、そういった痕跡は王宮には見当たらない。だからこそ彼らは、他国の魔法使いを招いたに違いなかった。
部屋に着くとヘレナ王女はちょうど眠っていた。室内には王女の主治医がおり、彼から話を聞く事になった。
「王女はどんな様子だった」
「初めは酷く疲れたようなご様子でした。体力を奪われる、という表現が正しいかどうかは分かりませんが、まさにそのような感じで……そのうちにそれが酷くなっていき、歩くにも助けがなければ難しい有様へとなってゆかれました」
「それは、どのくらいの期間で?」
アルベルトの問いに王妃が口を挟む。
「新年の宴の疲れが出たのだろうと、様子をみていたのですが。ひと月経っても変わらず、そうこうしているうちに……。初めの症状が出てからひと月半、ふた月経つ頃にはもう、歩けなくなったのです」
話しているうちに様々なものを思い出したのだろう。王妃は涙ぐむ。
「……それでも、しばらくの間は元気でしたのよ。元々明るい子ですから、動けないなりに楽しみを見出して。従者に輿を出させて庭にもよく出ていました。ですが、先月からは体を起こすこともできなくなって。貴国へ文を出した頃には、一日の大半を眠って過ごすように……」
そこまで言うと王妃は本格的に涙を流してしまった。ヒースが王妃を抱き寄せ宥めている。
主治医は王妃の言葉を肯定した。彼女は頻繁に娘の元へ通い、献身的に世話をしていたそうだ。
「自分の方で処置を致しましたが、日に日に悪くなる一方で」
「…………」
眠る王女の顔色は確かに悪い。おおよそ半年程度、よく保った方だろう。だがそれも限界が近いのかもしれない。この数日、目を覚さない日も増えているのだという。
考え込むアルベルトに、ヒースが声を掛ける。
「どうだ、なにか分かったか」
「ふむ……」
「あなた、詳しい話は戻ってからにしませんか」
「……そうだな」
もし王女が目を覚ました瞬間に、治療できない、などと耳にしたらあんまりだろう。目を赤くした王妃に促され、三人は部屋を出た。
広間に戻った三人を子供達が迎える。誰もがアルベルトに視線を向けるが、当のアルベルトはそれらを無視してリリアンの隣に急いでいる。まったくもっていつも通りだ。マクスウェル達はなんだか安心してしまった。
リリアンが勧めたお茶を頂くアルベルトに、ヒースが声を掛ける。
「で、どうなんだい?」
アルベルトはそれに視線を上げず答えた。
「二日で治るだろう。死ぬほど痛くていいなら一日といったところか」
「い、痛いのはだめだろ! っていうか、え、治せるの? ほ、ほんとに?」
瞬くヒースに、アルベルトは呆れた声で言う。
「そんな嘘を言ってなんになる?」
「おお、す、すごい……!」
そんなやり取りを見守っていた王妃と王太子は、断言するアルベルトの言葉に息を詰まらせる。そうしてすぐ喜びの声を上げた。ああ、と漏らした王妃は手を組み、アルベルトに感謝の言葉を述べる。王太子も似た様なものだ。椅子から立ち上がり、頭を下げている。二人とも声が震えているが、当然の反応だろう。
妻と息子の様子に笑みを浮かべ、ヒースもアルベルトへ頭を下げた。
「治せるなら何日かかってもいい。頼む」
「ああ」
短く応えるアルベルトは、それらに興味が無さそうに見える。実際カップを持ったままの彼は、あらぬ方を見ていた。
そんな態度ではあったが、できもしない事をできるなどとつまらない嘘を言う人間でもない。関わった期間は短くとも、アルベルトをそう評していたヒースは信じる事にした。
「じゃあ、報酬は……」
「あれを寄越せ」
「あれ?」
ヒースから提案すると、アルベルトはどうやらすでに目星を付けていたらしい。先程から見ていた先を指差した。まったく抜け目が無いなと、ヒースはアルベルトが指した方向を見る。
アルベルトが示したのは、王であるヒースが座っていた座席、その上の方。その空間には当然何もないが、壁には国旗が下げられている。あれがどうかしたのかな、とヒースは首を傾げた。
「国旗が欲しいのか?」
「んなもんいらん。あれだ、あれ」
カップを持った手で器用に指し示す先を辿れば、確かにそこには国旗とは別のものがある。
それは、二枚の国旗の間に吊るされたランプ。正確にはランプ状の展示ケースだ。一抱えほどの球体型のランプは、本来であればガラスのカバーが取り付けられている。それがこのケースにはガラスは使われていない。ガラスの代わりに巨大な宝石が嵌め込まれていた。
周囲の明かりに照らされ、ゆらゆらと光が揺れる。光は淡い緑から紫まで様々で、時折強く輝いた。それを生み出しているのがその大きな宝石なのだ。
まさか、とヒースは声を上げた。
「あれ……って、もしかして〝夜明けの女神のドレス〟のこと言ってる!?」
「それ以外になにがある」
「国旗」
「いらんと言ってるだろうが!」
怒鳴るアルベルトだったが、そういえば彼はさっきからある一点を見ていた。興味が無いからあらぬ方を見ていたというわけでなく、それを見ていたのだろう。珍しくリリアンを見ていないな、とレイナードなんかは思っていたのだが、そういう理由だったとは。
ヒースが慌てるには訳があった。〝夜明けの女神のドレス〟とは見ての通り巨大な宝石で、オパールのような輝きを持った石だ。ただし中央部分は無色透明で、上下に雲が浮かんでいるように見える。その雲に挟まれた部分に、独特の光が色を変えて現れるのだ。
移りゆく光は多くの者を魅了した。古くから宝石を産出しているエル=イラーフ王国でも、特別な意味と輝きを持った国宝だと言える。
「渡せるわけないだろ~!? アレってば国宝だもん!」
そう訴えるが、アルベルトはにべもない。
「では、解析して同じものを造るから見せろ。解析が終わるまでは滞在するから、その都合も付けて貰う」
「め、めちゃくちゃだぁ!」
「めちゃくちゃ? 娘の命と引き換えなんだ、国宝くらい賭けずにどうする。報酬を払えないというのであればこの話は」
「わ、分かった! 分かったから、それ以上は言わないでくれ」
ヒースは叫んだ。例え冗談であっても、治療を引き受けないと言われるのは堪える。
ヒースだって、王とは言え結局のところ人の親だ。我が子の命が危うい、そんな中で治療が叶うのであれば、なにを手放すとしても慈悲を願うに決まっている。
けれども、それで手放せるのは自身の私財の話だ。アルベルトの指定したのは国宝、それは国のものであって、ヒースのものではない。ヒースのものでないものを渡すわけにはいかないのだ。
幸いなことにアルベルトは見るだけでいいのだと言ってくれた。それであれば、口喧しい臣下もなんとか言いくるめられるかもしれない。自分の隣には志を同じくする頼もしい伴侶が居る。彼女だって同じ気持ちだろう。きっとヒースを助けてくれるに決まっている。
「……あの子を、助けてくれ」
ヒースがそう言えば、アルベルトは分かった、とだけ返した。短くはあるが力強い返答はヒースの中に響く。諦めなければならないと思っていた未来を選べる。それだけで報われたような気がした。
安心感か、これからの苦労を思ってか自然と溜め息が出る。妻もそうなのだろう、ほとんど同時に聞こえたそれに顔を見合わせていると、そうだ、と声がした。
「実物を確認するぞ」
「はっ? 確認?」
瞬いているうちに、アルベルトがつかつかと国宝へと歩み寄る。巨大な宝石だ、重量がかなりあることもあり、防犯装置はあるもののこのように晒しっ放しになっている。
「おい、勝手に」
もしや、それを手元に降ろそうとでもしているのだろうか? ヒースはそう思い、忠告するつもりで手を伸ばした、その時だ。すっと手を上げたアルベルトが魔力を立ち上らせる。あっ、と思った時にはすでに国宝は反応を示していた。それまでささやかに揺らいでいた光が、広間の半分ほどを覆っていたのだ。
この〝夜明けの女神のドレス〟という宝石は、魔力を受けると内部の輝きを周囲に広げる。それがまるで空の女神が纏う衣のようであるからと、その名が付けられた。
アルベルトは壁や天井、それだけでなく、頭上にも現れた光を見上げる。
「悪くないな」
帯状となった光は緑色に見えるものがほとんどだった。それが、揺らめくうちに青へ、白へ、黄色へ、そして紫へと変わっていく。色と共に形を変えていく光の帯は、風に踊る布地の様でもあった。自由気ままに形と色を変える光をドレスに喩えるのなら、それを纏うのは女神に違いない。
美しい光が織りなす風景を見上げるリリアンが「きれい……」と溢した。その瞳にはアルベルトの魔力によって生み出された光の帯が映っており、元々輝いているリリアンの瞳を更に煌めかせている。
アルベルトの言葉はだからこその評価だったが、なぜかヒースが憤激した。
「うちの国宝をそんな風に評価するなよぉ! 天然の宝石でこんな色彩を持つものなんて、この世に二つとないんだからな!」
見ろよこの光の帯を、とヒースは指差す。
「極北の空にしか現れないっていう光だ。滅多に見られないっていう輝きを宿した宝石。まさに神秘だろ! なんだよその『悪くない』って評価! もっと凄いって言えよぉ!」
「私がリリアン以外を褒めると思うのか」
「何、その自信!」
その後も、ヒースの憤激はなかなか治らなかった。王妃がその様子に笑い、目元を拭っていたが、きっとそれだけが理由ではなかったはずだ。
リリアンは、父がすみません、と詫びたのだが、王妃は良いのですよと返す。
「こんなに賑やかなのは、あの子が寝込んで以来ですのよ。夫のあんな様子も久しぶりで」
「そうでしたか。騒がしくて申し訳ないですわ」
「いいえ。あんなに静まり返っているより、ずっとましです」
だから気にせずに、という王妃の言葉に、リリアンは甘える事にした。
王女の様子を見る限りではまだ猶予がありそうだというアルベルトの判断と、この日は王都に着いたばかりということもあり、治療は翌日から始める手筈となった。
ヒースは当然王宮に部屋を用意していたのだが、なんとアルベルトはそれを断る。
「おいおい、どうして」
言うなりさっさと行こうとするアルベルトを、ヒースは制止しようとする。だがそんなヒースをぎろりと睨み付け、アルベルトは吐き捨てた。
「何があるか分からないところにリリアンを置くつもりはない」
「えっ? な、なんかあるの? 俺の王宮」
「行こうかリリアン」
「おい、ちょっと!」
慌てるヒースを始めとするエル=イラーフ王国の人々に、リリアンもまた慌てて父親を見上げる。
「お父様、よろしいの?」
「良いに決まってる」
さあ、と促すアルベルトはリリアンの背中に手を回している。どうやら決定事項のようだ。リリアンは大人しくそれに従った。
とは言え他国で賓客扱いをされている身である。一家とは少し立場の違うマクスウェルは、一人王宮に残ることにした。
「俺はこちらで世話になる。レイ、また明日な」
「ああ。気を付けろよ」
「め、滅多なこと言うなよ……」
レイナードが真顔だと、本当に何か起こりそうな気がする。やんわり咎めて、マクスウェルは一家を見送った。
ヒースの右側の女性が王妃で、その正面の男性が王太子。王太子以外の子供達は同席していなかった。リリアンやレイナードに関する諸々の配慮からだろう。
王妃はアルベルトを見るなり目を見開いていたが、すぐに表情を改めた。娘の為に足を運んでくれた事に感謝を、とだけ言って目を伏せる。長い睫毛が影を落とすが、それだけではないくらい目元が暗い。おそらく心労が溜まっているのだろう。
王太子はヒースと同じ色を持つ青年だった。彼も要求に応じた事に礼を述べると、それ以降は極力口を挟まなかった。マクスウェルとレイナードよりも少し歳上らしい彼は、父親と違い、落ち着いた雰囲気がある。色々な事情から控え目にしているのかもしれない。
挨拶を交わすと食事が運ばれてきた。色取りどりの野菜がたっぷり使われた料理は、どれも適度にスパイスが効いており食欲を刺激する。魚介をよく食すそうで、確かにどの料理にもなにかしらの海鮮が使われていた。魚介の旨みをたっぷり吸った野菜は程よい塩気が堪らない。どれも本当に美味しくて、一同は舌鼓を打った。
メインディッシュが並んだ後、現在の詳しい状況の説明があった。現在エル=イラーフ王国には王子が二人、王女が三人いる。一番上の王女は嫁いでいるので、国に残っているのは二人なのだと、食事を進めながらヒースは言った。
それに、「では」と返したのはマクスウェルだ。
「危険な状態にあるという王女殿下は、そのうちの一人だと?」
「ああ、末の子だ。特別身体が弱いわけでもなかったんだが。年が明けてからというもの伏せがちになって、このひと月ほどで床から出られなくなってしまった」
「まあ……」
第三王女はヘレナという名前で、歳は十二。リリアンとふたつしか違わない。元々活発だという彼女が動けなくなってしまったのは辛いだろう。
リリアンが痛ましげに眉を下げていると、同じ様な表情のクラベルがヒースへと向く。
「侍医は何と?」
「生まれつきの体質が大きく関係しているそうなんだ」
それに反応したのはレイナードだった。
「体質?」
「ああ。うちの家系は、どうも魔力の回路に難があるようでね。稀にそれが酷い子供が生まれる事がある。大体は、王宮の医師が対応出来るんだけど。どうにもあの子にはそれが効かないようで」
ヒースが説明するのに、ぎゅっと眉間に皺を寄せるアルベルト。
「聞いていないぞ、そんな話は」
「手紙には書けなかったんだ。一応これ、王宮でも一部の臣下しか知らない事だから」
機密事項だと言われるとそれ以上は追求できない。アルベルトは不満気に鼻を鳴らした。
王妃と王太子は、それぞれ項垂れる。体質と言えばそれまでだが、命に関わるような疾患は、王侯貴族では致命的な欠点となる。ましてや王家の直系がそんな事態となっては、今後の治世にも影響が出てしまうだろう。
けれども、本来であればそれも杞憂なのだとヒースは語った。
「小さい頃から治療をすると成長するにつれ良くなっていく。再発することもほとんど無い。あの子も改善していたはずなんだが」
「それが急に悪くなった、と」
「そうなんだ。悪化した原因は全く分からない。そもそもそこまで酷くなる事例が無かったから」
マクスウェルが言ったのに頷き、ヒースは腕を組む。
「治療が叶わなかった王子や王女は、幼い時分に亡くなっている。例外は無い」
その言葉に王妃が嗚咽を漏らした。母上、という王太子の宥める声も聞こえる。
ヒースの言葉は慈悲無く聞こえるが、彼の表情はそれまでとは違い、固いものに変わっている。家族が危険な状態とあれば、王妃の反応もヒースの態度も当然のものだろう。
王妃の隣に席を与えられたリリアンは彼女を気遣い、そっと手を伸ばす。
「魔法使いをご指名された理由は、なんなのでしょう」
ああ、とヒースはリリアンに向いた。
「それは、患部が魔力回路だからさ。熟練した魔法使いなら他人の魔力回路にも干渉できる。他でもないうちの侍医がそれに特化している魔導士なんだ」
「そうだったのですね」
リリアンに頷き、それからヒースはアルベルトに視線を向ける。
「で、どう、アルベルト。治せそう?」
「診てみない事にはわからん。報酬も状態を見てからだ」
「わかった、頼むよ」
食事を終えてからすぐに王女の状態を確認する事になった。王女の体調を考え、ヒースと王妃、それからアルベルトだけが広間から出て行く。
それを見送るリリアンは不思議と自分が落ち着いているのに気付く。なんとなくだが、最悪の事が起きるような事態にはならないだろうなと、そう感じていたのだ。
どうかその通りになりますように。リリアンはそっと心の内で祈った。
広間から廊下を進み、階段を登り、王族の生活スペースへと通されたアルベルトは黙って案内に従っていた。少なくとも、これまでに歩いた範囲には不審な点は無い。けれども、どの国であっても、王宮という場所は特殊な空間だ。様々な人間の多様な思惑渦巻く場は、何かしら不調を生むものだ。そういう思惑は実際に、他者に不具合を起こさせる場合がある。無意識のうちに思いを具現化させようと魔力を放出しているのだ。それは呪いと呼ばれ、呪いを生み出せる魔導士は呪術師と区別される。
トゥイリアース王国には、明確に呪術師と呼ばれる魔導士は居ない。魔法陣を使用して魔法を使う者こそが魔導士だ、という認識があるからだ。だが、このエル=イラーフ王国には結構な数が居ると聞いた。
呪いとまじないは紙一重とは良く言ったもので、思いで事象を起こす、というのは便利な魔法なのだ。洪水のところへ更なる雨を呼べば災害、呪いとなるが、干ばつのところへ雨を呼べば祝福、まじないとなる。もっとも、魔力に邪念や殺意なんかを乗せれば呪いになるのだから、アルベルトもある種一流の呪術師とも言えるのだが。現にそういうのは得意である。ナルマフ王国の元第二王子を呪ったのは記憶に新しい。
エル=イラーフ王国に居るのは、そんな呪術師なのだ。話を聞く限り、侍医というのもその呪術師の一種なのだろう。
そんな王宮で生活をしていて、体調を崩したという王女。ならば真っ先に呪いを疑うだろうが、そういった痕跡は王宮には見当たらない。だからこそ彼らは、他国の魔法使いを招いたに違いなかった。
部屋に着くとヘレナ王女はちょうど眠っていた。室内には王女の主治医がおり、彼から話を聞く事になった。
「王女はどんな様子だった」
「初めは酷く疲れたようなご様子でした。体力を奪われる、という表現が正しいかどうかは分かりませんが、まさにそのような感じで……そのうちにそれが酷くなっていき、歩くにも助けがなければ難しい有様へとなってゆかれました」
「それは、どのくらいの期間で?」
アルベルトの問いに王妃が口を挟む。
「新年の宴の疲れが出たのだろうと、様子をみていたのですが。ひと月経っても変わらず、そうこうしているうちに……。初めの症状が出てからひと月半、ふた月経つ頃にはもう、歩けなくなったのです」
話しているうちに様々なものを思い出したのだろう。王妃は涙ぐむ。
「……それでも、しばらくの間は元気でしたのよ。元々明るい子ですから、動けないなりに楽しみを見出して。従者に輿を出させて庭にもよく出ていました。ですが、先月からは体を起こすこともできなくなって。貴国へ文を出した頃には、一日の大半を眠って過ごすように……」
そこまで言うと王妃は本格的に涙を流してしまった。ヒースが王妃を抱き寄せ宥めている。
主治医は王妃の言葉を肯定した。彼女は頻繁に娘の元へ通い、献身的に世話をしていたそうだ。
「自分の方で処置を致しましたが、日に日に悪くなる一方で」
「…………」
眠る王女の顔色は確かに悪い。おおよそ半年程度、よく保った方だろう。だがそれも限界が近いのかもしれない。この数日、目を覚さない日も増えているのだという。
考え込むアルベルトに、ヒースが声を掛ける。
「どうだ、なにか分かったか」
「ふむ……」
「あなた、詳しい話は戻ってからにしませんか」
「……そうだな」
もし王女が目を覚ました瞬間に、治療できない、などと耳にしたらあんまりだろう。目を赤くした王妃に促され、三人は部屋を出た。
広間に戻った三人を子供達が迎える。誰もがアルベルトに視線を向けるが、当のアルベルトはそれらを無視してリリアンの隣に急いでいる。まったくもっていつも通りだ。マクスウェル達はなんだか安心してしまった。
リリアンが勧めたお茶を頂くアルベルトに、ヒースが声を掛ける。
「で、どうなんだい?」
アルベルトはそれに視線を上げず答えた。
「二日で治るだろう。死ぬほど痛くていいなら一日といったところか」
「い、痛いのはだめだろ! っていうか、え、治せるの? ほ、ほんとに?」
瞬くヒースに、アルベルトは呆れた声で言う。
「そんな嘘を言ってなんになる?」
「おお、す、すごい……!」
そんなやり取りを見守っていた王妃と王太子は、断言するアルベルトの言葉に息を詰まらせる。そうしてすぐ喜びの声を上げた。ああ、と漏らした王妃は手を組み、アルベルトに感謝の言葉を述べる。王太子も似た様なものだ。椅子から立ち上がり、頭を下げている。二人とも声が震えているが、当然の反応だろう。
妻と息子の様子に笑みを浮かべ、ヒースもアルベルトへ頭を下げた。
「治せるなら何日かかってもいい。頼む」
「ああ」
短く応えるアルベルトは、それらに興味が無さそうに見える。実際カップを持ったままの彼は、あらぬ方を見ていた。
そんな態度ではあったが、できもしない事をできるなどとつまらない嘘を言う人間でもない。関わった期間は短くとも、アルベルトをそう評していたヒースは信じる事にした。
「じゃあ、報酬は……」
「あれを寄越せ」
「あれ?」
ヒースから提案すると、アルベルトはどうやらすでに目星を付けていたらしい。先程から見ていた先を指差した。まったく抜け目が無いなと、ヒースはアルベルトが指した方向を見る。
アルベルトが示したのは、王であるヒースが座っていた座席、その上の方。その空間には当然何もないが、壁には国旗が下げられている。あれがどうかしたのかな、とヒースは首を傾げた。
「国旗が欲しいのか?」
「んなもんいらん。あれだ、あれ」
カップを持った手で器用に指し示す先を辿れば、確かにそこには国旗とは別のものがある。
それは、二枚の国旗の間に吊るされたランプ。正確にはランプ状の展示ケースだ。一抱えほどの球体型のランプは、本来であればガラスのカバーが取り付けられている。それがこのケースにはガラスは使われていない。ガラスの代わりに巨大な宝石が嵌め込まれていた。
周囲の明かりに照らされ、ゆらゆらと光が揺れる。光は淡い緑から紫まで様々で、時折強く輝いた。それを生み出しているのがその大きな宝石なのだ。
まさか、とヒースは声を上げた。
「あれ……って、もしかして〝夜明けの女神のドレス〟のこと言ってる!?」
「それ以外になにがある」
「国旗」
「いらんと言ってるだろうが!」
怒鳴るアルベルトだったが、そういえば彼はさっきからある一点を見ていた。興味が無いからあらぬ方を見ていたというわけでなく、それを見ていたのだろう。珍しくリリアンを見ていないな、とレイナードなんかは思っていたのだが、そういう理由だったとは。
ヒースが慌てるには訳があった。〝夜明けの女神のドレス〟とは見ての通り巨大な宝石で、オパールのような輝きを持った石だ。ただし中央部分は無色透明で、上下に雲が浮かんでいるように見える。その雲に挟まれた部分に、独特の光が色を変えて現れるのだ。
移りゆく光は多くの者を魅了した。古くから宝石を産出しているエル=イラーフ王国でも、特別な意味と輝きを持った国宝だと言える。
「渡せるわけないだろ~!? アレってば国宝だもん!」
そう訴えるが、アルベルトはにべもない。
「では、解析して同じものを造るから見せろ。解析が終わるまでは滞在するから、その都合も付けて貰う」
「め、めちゃくちゃだぁ!」
「めちゃくちゃ? 娘の命と引き換えなんだ、国宝くらい賭けずにどうする。報酬を払えないというのであればこの話は」
「わ、分かった! 分かったから、それ以上は言わないでくれ」
ヒースは叫んだ。例え冗談であっても、治療を引き受けないと言われるのは堪える。
ヒースだって、王とは言え結局のところ人の親だ。我が子の命が危うい、そんな中で治療が叶うのであれば、なにを手放すとしても慈悲を願うに決まっている。
けれども、それで手放せるのは自身の私財の話だ。アルベルトの指定したのは国宝、それは国のものであって、ヒースのものではない。ヒースのものでないものを渡すわけにはいかないのだ。
幸いなことにアルベルトは見るだけでいいのだと言ってくれた。それであれば、口喧しい臣下もなんとか言いくるめられるかもしれない。自分の隣には志を同じくする頼もしい伴侶が居る。彼女だって同じ気持ちだろう。きっとヒースを助けてくれるに決まっている。
「……あの子を、助けてくれ」
ヒースがそう言えば、アルベルトは分かった、とだけ返した。短くはあるが力強い返答はヒースの中に響く。諦めなければならないと思っていた未来を選べる。それだけで報われたような気がした。
安心感か、これからの苦労を思ってか自然と溜め息が出る。妻もそうなのだろう、ほとんど同時に聞こえたそれに顔を見合わせていると、そうだ、と声がした。
「実物を確認するぞ」
「はっ? 確認?」
瞬いているうちに、アルベルトがつかつかと国宝へと歩み寄る。巨大な宝石だ、重量がかなりあることもあり、防犯装置はあるもののこのように晒しっ放しになっている。
「おい、勝手に」
もしや、それを手元に降ろそうとでもしているのだろうか? ヒースはそう思い、忠告するつもりで手を伸ばした、その時だ。すっと手を上げたアルベルトが魔力を立ち上らせる。あっ、と思った時にはすでに国宝は反応を示していた。それまでささやかに揺らいでいた光が、広間の半分ほどを覆っていたのだ。
この〝夜明けの女神のドレス〟という宝石は、魔力を受けると内部の輝きを周囲に広げる。それがまるで空の女神が纏う衣のようであるからと、その名が付けられた。
アルベルトは壁や天井、それだけでなく、頭上にも現れた光を見上げる。
「悪くないな」
帯状となった光は緑色に見えるものがほとんどだった。それが、揺らめくうちに青へ、白へ、黄色へ、そして紫へと変わっていく。色と共に形を変えていく光の帯は、風に踊る布地の様でもあった。自由気ままに形と色を変える光をドレスに喩えるのなら、それを纏うのは女神に違いない。
美しい光が織りなす風景を見上げるリリアンが「きれい……」と溢した。その瞳にはアルベルトの魔力によって生み出された光の帯が映っており、元々輝いているリリアンの瞳を更に煌めかせている。
アルベルトの言葉はだからこその評価だったが、なぜかヒースが憤激した。
「うちの国宝をそんな風に評価するなよぉ! 天然の宝石でこんな色彩を持つものなんて、この世に二つとないんだからな!」
見ろよこの光の帯を、とヒースは指差す。
「極北の空にしか現れないっていう光だ。滅多に見られないっていう輝きを宿した宝石。まさに神秘だろ! なんだよその『悪くない』って評価! もっと凄いって言えよぉ!」
「私がリリアン以外を褒めると思うのか」
「何、その自信!」
その後も、ヒースの憤激はなかなか治らなかった。王妃がその様子に笑い、目元を拭っていたが、きっとそれだけが理由ではなかったはずだ。
リリアンは、父がすみません、と詫びたのだが、王妃は良いのですよと返す。
「こんなに賑やかなのは、あの子が寝込んで以来ですのよ。夫のあんな様子も久しぶりで」
「そうでしたか。騒がしくて申し訳ないですわ」
「いいえ。あんなに静まり返っているより、ずっとましです」
だから気にせずに、という王妃の言葉に、リリアンは甘える事にした。
王女の様子を見る限りではまだ猶予がありそうだというアルベルトの判断と、この日は王都に着いたばかりということもあり、治療は翌日から始める手筈となった。
ヒースは当然王宮に部屋を用意していたのだが、なんとアルベルトはそれを断る。
「おいおい、どうして」
言うなりさっさと行こうとするアルベルトを、ヒースは制止しようとする。だがそんなヒースをぎろりと睨み付け、アルベルトは吐き捨てた。
「何があるか分からないところにリリアンを置くつもりはない」
「えっ? な、なんかあるの? 俺の王宮」
「行こうかリリアン」
「おい、ちょっと!」
慌てるヒースを始めとするエル=イラーフ王国の人々に、リリアンもまた慌てて父親を見上げる。
「お父様、よろしいの?」
「良いに決まってる」
さあ、と促すアルベルトはリリアンの背中に手を回している。どうやら決定事項のようだ。リリアンは大人しくそれに従った。
とは言え他国で賓客扱いをされている身である。一家とは少し立場の違うマクスウェルは、一人王宮に残ることにした。
「俺はこちらで世話になる。レイ、また明日な」
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「め、滅多なこと言うなよ……」
レイナードが真顔だと、本当に何か起こりそうな気がする。やんわり咎めて、マクスウェルは一家を見送った。
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