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彼と彼女
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「須賀くん、飲み物は何がいい?」
僕は売店前で、
隣にいる須賀くんに問いかける。
「んーっと…コーラがいいな…あと、イカリングフライも食いたい…!」
「ポップコーンはいいの?」
「んー…俺あんま好きじゃないからいらね…先生好きなら買えば?」
「ん、わかった…」
僕も実のところ、ポップコーンはあまり好きじゃない…そんなに美味しいかなっていつも映画館に来る度に思ってた…
「センセ、ありがと…!さ、行こ…」
須賀くんが僕が買ったものを受け取り、眩しいほどの笑顔で僕を見下ろす。
本当にかっこいい…なんでこんな男の子が僕なんかに懐いているのか、あんな風に熱っぽく好きだと告げてくるのか、不思議で仕方ない…
この見た目とこの性格… 須賀くんは絶対大学でも女子達の注目の的になっているに違いない…
正面から本人に聞いてしまうとモヤモヤしてしまいそうで、あまり本人に尋ねたりはしていないけど、これだけは断言できる…絶対、モテているはずだ…
須賀くんがどう交わしているのかわからないし、もしかしたら僕の知らないところで女の子達と遊んでいるのかもしれないけど、そうでなくても…絶対、女子がほっとくはずがない…。
「Z列の、20と21… よし、ここだな…先生、とりあえず座ろ…?」
須賀くんが僕を見て、笑う。
「うん… あ、でもまだ時間あるみたいだね。ごめん僕、念のためトイレ行っとこうかな…。須賀くんは?」
「俺、いいわ…まだ全然時間あるからゆっくり、どーぞ。」
ひらひらと手を振る須賀くん。
僕はトイレを済ませ、ハンカチで手を拭いながらシアターへ戻ろうとすると、背後から声を掛けられる。
「 み、瑞樹… … 」
この声… 僕を呼んだ…?
でも…まるで独り言であるかのように、音量はすごく小さい…もしかしたら僕の聞き間違い、かもしれない…
でも、
聞き覚えのある、
低めのハスキーボイス…
この声って…まさか …
僕はゆっくりと声の方を振り返る。
そこには、かつて僕を振った先輩…
僕が好きだった…大好きだった彼氏…いや…もと、彼氏の…
高畑康介が立っていた…
「… こうすけ… 先輩…」
僕は呆然と、彼を見上げた…
僕は売店前で、
隣にいる須賀くんに問いかける。
「んーっと…コーラがいいな…あと、イカリングフライも食いたい…!」
「ポップコーンはいいの?」
「んー…俺あんま好きじゃないからいらね…先生好きなら買えば?」
「ん、わかった…」
僕も実のところ、ポップコーンはあまり好きじゃない…そんなに美味しいかなっていつも映画館に来る度に思ってた…
「センセ、ありがと…!さ、行こ…」
須賀くんが僕が買ったものを受け取り、眩しいほどの笑顔で僕を見下ろす。
本当にかっこいい…なんでこんな男の子が僕なんかに懐いているのか、あんな風に熱っぽく好きだと告げてくるのか、不思議で仕方ない…
この見た目とこの性格… 須賀くんは絶対大学でも女子達の注目の的になっているに違いない…
正面から本人に聞いてしまうとモヤモヤしてしまいそうで、あまり本人に尋ねたりはしていないけど、これだけは断言できる…絶対、モテているはずだ…
須賀くんがどう交わしているのかわからないし、もしかしたら僕の知らないところで女の子達と遊んでいるのかもしれないけど、そうでなくても…絶対、女子がほっとくはずがない…。
「Z列の、20と21… よし、ここだな…先生、とりあえず座ろ…?」
須賀くんが僕を見て、笑う。
「うん… あ、でもまだ時間あるみたいだね。ごめん僕、念のためトイレ行っとこうかな…。須賀くんは?」
「俺、いいわ…まだ全然時間あるからゆっくり、どーぞ。」
ひらひらと手を振る須賀くん。
僕はトイレを済ませ、ハンカチで手を拭いながらシアターへ戻ろうとすると、背後から声を掛けられる。
「 み、瑞樹… … 」
この声… 僕を呼んだ…?
でも…まるで独り言であるかのように、音量はすごく小さい…もしかしたら僕の聞き間違い、かもしれない…
でも、
聞き覚えのある、
低めのハスキーボイス…
この声って…まさか …
僕はゆっくりと声の方を振り返る。
そこには、かつて僕を振った先輩…
僕が好きだった…大好きだった彼氏…いや…もと、彼氏の…
高畑康介が立っていた…
「… こうすけ… 先輩…」
僕は呆然と、彼を見上げた…
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