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選択

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「10ぅー 」
男が息を吸い込み、声を発した。

ドスの効いたような…かなり低い、声だ…  

あ… あ…    カウントダウンだ…

「10… 9… 

8… 7 … 

6ぅ… 5ぉ… よーん…   さー …」

「べっ、 べべべ… !!」
恐怖と緊張で、口がもつれる…

「べべべ…?? んだよ…  そりゃ…  」
「べ… ベッド…  ベッドマットの…下 ベ…ベッドの下ぁ…」駄目だ…涙が、出そうだ…
「おい… すぐに、その場所を確認しろ…」

男がそこにいる誰かに、指示を出す。

すぐにバタンとマットをひっくり返すような物音がして…

「ああ…あります…!…ありますよ…すげ~こんな紙切れ、一枚が…   まさかの…大金…!や~まじで、すげえ…!!…」
興奮したような男の声がする…

「よし…おまえ、よく言ったな…!
そりゃあ、金より命が大事だ…おまえがした選択は、正しい選択だ…」

これは…    正しいのだろうか…   

  本当に…?  私は、困惑する。

「おい…おまえ、彼氏みたいのがいたな…今日は…?」

どうやら全てを…知られているようだ…
今までずっと、見張られていたのかもしれない…

 「はい…きょ…今日7時に…来る予定…で…」

「…7時か…なら、まだ時間はあるな…よし…今から言うことをしっかり聞け…。
おまえ、今日俺たちがここに来たことは、絶対に誰にも言うな…この後、警察に通報もするな…そうすれば命だけは助けてやる。
もし、通報でもしたら…すぐに俺らはおまえの息の根を止めに来る…
先に俺らが捕まるか、お前が死ぬか…それはわからんが、街中どこからでもおまえを見張ってるからな。いいか、わかったな…今からお前の拘束を解くが…俺たちがドアを開けて外に出てからも…10分はその場所を一歩も動くな…寝転がったたま…目も絶対に閉じたままだ…
目を開けて俺たちを一目でも見たらすぐに殺す…。

タイマーをかけておく… 
音がなれば、目を開けて自由に動いて良しだ。

あとは、その彼氏とやらと会って、何事もなかったかのように食事なり、激しいセックスなり…いつも通り楽しめばいいさ…なにせ、世の中、金だけじゃねえ… 命あっての、物種だろ…?くくくっ… 」

        「…  … …」

    恐怖で、返す言葉も、ない… 
         
     もう…何もかも終わりだ… 

        私は…

        
        終わった…


「…おまえ、ほら…   返事は…?」

また首筋に冷たい刃物の感触…ビクンと震える。

「おい…聞いているのか…俺らは本気だ…返事は…?」 

「はい…わかり、ました…絶対、絶対誰にも…言いません…」

「よし…おまえは利口だな…」

男にわしゃわしゃと、犬にするかのように頭を撫でられ…吐き気がしそうになるが、ぐっと堪える…

その後、男たちは…

私の目隠しと、手足の拘束を解き…ガサガサと退散の準備を整えてから数分後、やっとバタンと音を立てて、部屋を出て行った…

   私は約束通り、目も開かず…

      身動きをせずにいた…


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