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不健全な妄想

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圭一への返事。

「そうだな…気をつけるよ。確かに物騒な世の中だし…俺も気を付けないとな…」

「はい、そうしてください。俺、気が気じゃないんです。先輩がいつも、ぽやんとしてるから…変な男にちょっかい、かけられたりしないか…とか色々気になるんです…
とにかく、色々気を付けながら生活してください。先輩、一人暮らしですしね!」

どこまでも優しくて、心配性な圭一 …  

俺より年下の、まだ高校生の圭一の方が、俺より数倍も危機管理能力を備えている気がして、本当に情けなくなる…

「そだな…わかったよ…おまえ、しっかりしてんな、えらいよ、本当に」と返すと、

「え!?本当ですか? 俺…珍しく、先輩に、褒められてますよね?…やった~。」と無邪気な圭一。

精悍な顔立ちのキリッとした表情が、笑うと人懐っこくなる。
ワフワフと、しっぽを振る姿が想像できそうな、俺にとって本当にギャップが可愛くて、たまらない圭一。

会って、沢山、キスをして欲しい…
優しく、いや…激しく…

それで、俺の全身に触れて、もういっそ、俺の全てを圭一のモノに…して欲しい。全て…奪い去って欲しい。

まだ、圭一を受け入れたことがないそこに、圭一のそれを受け入れ、俺の中を、圭一でいっぱいにして欲しい… 痛くても、激しくても…圭一がしたいように、圭一が気持ちよくなれるように、欲望のまま、奥深くまで、貫いて欲しい…

昨夜の全ての…悪夢を…全ての行為を、できるなら忘れさせて欲しい… 

圭一になら、多分本当に、
俺は何をされたって構わない…
今すぐ、俺を無茶苦茶に抱いて、いっそ壊してくれ…

圭一と健全なラインを交わしながらも、俺の頭の中では、そんな不健全なことばかり、考えていた…。

もちろん、圭一にそんなことを言えるはずもないし、言う気もない。俺はラインを続ける。

「うん、普通に褒めてる。お前は年齢の割にちゃんとしてるし、頭も良いしな。今日は日曜日だし、確かテストも近いよな?勉強、頑張れよ」スタンプで締め。

すぐに既読になり、10分程して、圭一からのライン。

「はい!…先輩、今日…時間あったり、しますか?
参考書、買いに行くんですけど…一緒に探してくれませんか?
…っていうのは、まあ、口実。
先輩と、外でちょっとだけ、デート、したいだけです。顔…見たい。ご飯だけでも、食いに行きません?」

行きたい…すごく行きたい…

でも…いま、圭一に会うと、俺… 俺…
何事もなかったように、普通に接すること、できるだろうか…… 出来ないなら行くべきじゃ…ない。

俺は、返事をするべく、
     スマホを手にした。

           
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