【完結(番外編)】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~二人~

経験

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「… … … 」

「… … … 」

杉崎さんは天井を真っ直ぐに見つめたまま、何も言わない…。

私自身も…何か言わねばと思うのに、言葉が出てこない…。

滑稽だ…

私と杉崎さんは両方とも上半身のみ裸で…ただ、二人で無言のまま、天井を見上げている…。


思えば最初から…この部屋に来た時から杉崎さんはどこかおかしかった…、

少し不機嫌…

拓海とのことを聞かれて、びっくりしてしまい、その後何も伝えることが出来ていない…。

ううん、拓海なんて今は関係ない…。

そもそもきっと…

きっと、私が全然、積極的じゃないからだ…。

やめて、嫌だなどと言って、杉崎さんのすることに何度も、否定の言葉を発し…

積極的な女性になれていないから… 

自分自身は何もせずに、ただ、杉崎さんにされるがままに、横たわっているから…

そうだ… きっと…きっと私が、マグロ… 
私が、マグロだから…だ…。

漫画や雑誌で…ウェブ上で…見たことがある…。

ベッドの上で…自分からは何もしない消極的な女性を俗に「マグロ」というらしい…。

今まで杉崎さんの周りにいた女性の顔が、嫌でも頭の中に忍び込んでくる…。

林さん… 

あんなにセクシーな林さんは、どんな風に杉崎さんに迫ったのだろう…。

考えたくもないのに、もう一人の女性の顔まで浮かんでくる…。

あの日、ホテルであった林さんと同じくらい…色気のある女性… 

あの女性はどんな風に杉崎さんに…杉崎さんの肌に触れたのだろう…

「… … …」

嫌だ… 
どうしても、胸がチクチクと、痛くなる…。

ああ… 駄目だ…

杉崎さんと居るのに… 
過去はどうあれ…今は私の隣に…

すぐ隣に杉崎さんがいるのに、どうしてこんなことを今想像して、私は惨めになっているのだろう…。

「… 私の…せいですか… 」

「 …え …?」
杉崎さんの顔が、横にいるこちらを向くのが、わかった。

「… 私のせいですよね… 私が…  …ろ… だから… 」

「… え?… 」小さな声が、耳に届く…。

もう、いい… 

「… 私が、マグロ…だから…色々、経験不足…だから…杉崎さんは、…私の…ことが、…もう… 嫌にっ… 」

「… まぐ…?」低い声が、かろうじて耳に届く…

「… …はい …」

「まぐ、ろ・・・?」

「… はい …すみません…私… あの…  もう、少し… がんばります… あの、私… どうすれば… 」

今までのように、受身では駄目だ…もっと…もっと、積極的に… 
そうだ… 今日は私が… 私はゴクリと、唾を飲み込む…

「… あっ …」ぐいと、逞しい腕が私に伸びてくる…。

「… 馬鹿…だな… 君、は… 本当に… いや…違うな…俺が…馬鹿だ… 君に…変なこと、言わせてごめん… 」

「えっ … あの…  んっ … 」

ぎゅうと… 
杉崎さんが私を抱き締めた後に、有無を言わさず、唇を塞がれた…
熱い舌が、すぐさま…私の口内に、忍び込んでくる…

「… んっ … ふ…  」

くちゅ…くちゅんと 互いの舌が絡み合う音が……淫らな水音が、耳に届く…

好き…  杉崎さんが好きなのに…  
杉崎さんの考えていることがわからない…

私は戸惑いながらも、杉崎さんの激しいキスに応えた…。
















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