定時に帰る彼女と、残業しまくる僕

もえこ

文字の大きさ
15 / 25
第2章

3

しおりを挟む
僕は、おもむろに立ちあがったその男の動向を、ひっそりとうかがう。

もし…この男が美波さんらしき人を追うようにこの店を、出るなら…
僕も追うしかない…咄嗟にそう思った。

男を追ってすぐに出られるよう、机上にあるレシートに手をかける。


美波さんのことを下の名前で呼び、しかも「さん」つけじゃなく「ななみ」と、呼び捨て…。
きっと普通の間柄ではない…。

僕は一応席についたまま、そのスーツの男の動きを見守る…
男は、立ち上がったものの、ため息をつきながらその後、ゆっくりとシートに再び腰をおろした。

僕は少しホッとしつつも気になり、窓の外を見ると、美波さんらしき人物はもういなくなっていた…

男をこっそりと盗み見る。

今は後ろ姿で全く見えないが、さっき男が窓の方へ向かった瞬間、少しだけ横顔が見えた…
端正な顔立ちに眼鏡をかけた、真面目そうな風貌…少なくとも、ヤバい見た目の男ではなかった。
むしろ、いい人そう…って言ってもいいくらいの柔らかな雰囲気の男…彼女よりは年上に見える…30は超えてるだろうなという印象の、大人の男だった…

この男が彼女のなんなのか…わからないけど、

きっと、この喫茶店には彼女の姿を確認するためだけに来たに違いない…確証もないがなんだか、そんな気がした。


それにしても、美波さんは…あんな格好をして、どこに向かったんだろう…

そうすけって男の子は…弁当屋の誰か…じいちゃんかばあちゃんに預けたってことだろうけど、
それにしても…

あの服装は、なんなんだ…

職場の美波さんと…マジで真逆で…驚いてしまった。

職場では完全防備に近い服装…
露出している部位なんて、顔と首、手…くらいで、夏でも足まで黒いタイツみたいなので埋め尽くされているような地味過ぎる服装の彼女…

その美波さんの今日の服装…

白い胸元…普段は絶対に目にすることのない、ふくよかな胸の谷間も…見えてしまった。おまけに…身体のラインを拾いまくるタイトスカート…あの格好は…普段の彼女からは考えられない…

そして、一番驚いたのは、顔…。

ビックリするくらいに…綺麗だった…

女の…色香みたいなものを、感じてしまった…

今まで全然、気付かなかったけど、本当に遠目でもわかるくらいに、
長い睫毛で縁取られた綺麗で大きな目…少し明るい色味のリップ…、完ぺきなメイク…その顔に明るい色の髪がとても似合っていて…

あの姿で、もし…彼女が明日からうちの会社に出勤をしたとしたら、どれほどの男が、今までの彼女に対する態度を一変させて、美波さんをヤバい…いやらしい目つきで追うことだろう…


それほどにこの日の美波さんの姿は…

魅力的な、女…の姿だったのだ…。

彼女に何が起こった… いや、起きてるんだ… 

ともかくも、謎だらけのまま…この日の僕の追跡は終了した…。


















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

Husband's secret (夫の秘密)

設楽理沙
ライト文芸
果たして・・ 秘密などあったのだろうか! むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ  10秒~30秒?  何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。 ❦ イラストはAI生成画像 自作

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ

月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていた男女の恋の物語。 (謝罪)以前のあらすじは初稿のでした。申し訳ございませんでした。

嘘をつく唇に優しいキスを

松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。 桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。 だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。 麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。 そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...