定時に帰る彼女と、残業しまくる僕

もえこ

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第2章

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「おはようございます」美波さんの、いつもと変わらない朝の挨拶。

ゆっくりと彼女を見る。

薄手の黒いカーディガンに、地味な柄の茶色のスカート。完璧な黒髪。
トレードマークの黒縁メガネ…いつもと変わらない彼女、真面目な見た目の美波さん。

僕は思わず、いつにもまして彼女を目で追ってしまう。

あの…昨日見た、白い胸元…ふくよかな谷間…明るい色の服装…スカートが張り付く、太もものライン… 

昨日見た美波さんと、今日の…いつもの美波さんは、あまりに違い過ぎて…不思議になる。

その後は追えなかったけど…
彼女はあの後、一体どこに行ったんだろう…。

小さな子供、そうすけくんって子を弁当屋に置いたまま…一体どこへ…?
あの、男好きするような、露出の多いセクシーな格好だ…
もしかしてもしかすると…男とデート…だったりするんだろうか…

そんな想像をして、チクリと…僕の胸に刺さる、目に見えない、小さなトゲ… 

僕はもしかして、彼女に恋…してたりするんだろうか…。

「あの…なんですか…?笹野さん…、私の顔に何か…ついてます…?」

美波さんが、怪訝な表情をして、僕を見る。
あまり自分から話しかけない美波さんが、珍しく僕に対して口を開いた。

それほどに僕は、彼女を見過ぎていたのかと…一瞬で我に返る。

昨日のお子さんは、あなたの子供ですか?なぜ、その事実を隠しているんですか…?
あの服装で一体どこへ…?

聞きたいことは山ほどある…
だけど、ストーカーのように追いかけて、その結果、僕が見たこと、知ったこと。
その質問をしたら気味悪がられるどころか、職場に報告されてもおかしくない…僕は慌てて口を開く。

「あ…いえ、あの…すみません、ぼうっとしてただけです…何もないです、ごめんなさい…」
「…そうですか。私が何かしちゃったかなと思ってしまいました。良かったです…」

すぐさま、仕事に戻り、カタカタとキーボードを叩く美波さん。

あわよくばもう少し仕事をスピードアップさせて定時で切り上げ、彼女の秘密を暴きたい…

僕はそう思って、その後も仕事にまい進した…
せめて定時ダッシュの時間をもう一度作ってまた、彼女を追跡したい…。

その前に…周りの人に… 主任に…少しだけ尋ねてみようか…

実は彼女の身の回りのことを、僕だけが知らないだけなのかもしれない…
その可能性も否定できなかった僕は、タイミングをみて主任に聞いてみることに決めた。


 
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