【完結】あの可愛い人妻を、誰か俺に譲ってください。

幸せと苦悩

でもやっぱり…、彼女は…人の妻…

もともと、彼女の希望や…同意のようなものがあったとはいえ、
独身の俺が、既婚者である彼女とセックスするなんて…人として間違っている…
誰の目からも…世間の目からも明らかだ…性行為は完全に不倫認定…不貞行為なのだから…。

彼女の旦那がこのことを知ったら…どんな風に思うだろう…
彼女に裏切られたと…烈火のごとく怒り狂うだろうか…

たとえ、彼女と旦那がセックスレス…だったとしても…、とても、許してもらえない気がする…当たり前だ…。

絶対にこんな関係が…正当化できないのは、わかっている…そんなこと、百も承知だ。

でも…俺にはもう、この感情を…激情を、自分で止めることが出来ない…止めようがない…制御できない…。

彼女の肌のぬくもりを知ってしまった…彼女の身体の…敏感な場所を…知ってしまった…彼女のあげる嬌声を…この耳で、確かに聞いてしまった…彼女の肌の香りを…知ってしまった…。
彼女の身体の…深さと…闇と…欲を…知ってしまった…　好きだ…好き過ぎる…

由良さんの性格も…顔も声も髪も、肌も目も唇も…　白い胸も…小さくて可愛いお尻も…濡れて淫らに…俺を誘い込む…魅力的なあの場所も…

全てが…愛おしい…　

　…なのに、彼女は人妻…

　　　　なんで…なんだろう…

旦那がもう、彼女に見向きもしていないなら…
彼女を長く、その腕に抱いていないなら…
彼女をずっと、寂しい気持ちにさせているのなら…
もはや…愛してさえいないのなら…

どうか潔く…彼女を捨てて…、それで迷うことなく、俺に譲ってほしい…

彼女と一度だけ肌を重ねたに過ぎないのに
…俺は、あまりに彼女の魅力にのめり込み、そんな風に思い始めていた…


ふいに、
「おはようございます。木下さん…」背後から、愛しい…鈴のような凛とした、彼女の声がした…

「おはようございます、白石さん」振り返り、眩しいほどに綺麗な笑顔をよこす由良さんに挨拶を返す。

この…まるで、天使のような純真無垢な笑顔を向けるどうしようもなく…可愛い人妻…由良さんを…旦那でも誰でもいいから…誰か…どうにかして、俺に譲ってください…

ほかには何もいらない…

寂しい独身男の俺の望みは…ただ…それだけ…　

俺の幸せと紙一重の苦悩は…やっぱりもう少し、続きそうだ…

辛いけど…同時に幸せだから…

　　　　　また俺は…彼女を…　　


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　


　　　　　お・し・ま・い　…




読者の皆様へ

長い間、ご愛読いただき、ありがとうございます。
作者の妄想１００パーセントの作品でしたが…始終、楽しく執筆することが出来ました。

不倫は悪いこと…
それとわかっていても、結婚している誰かのことを、好きで好きで仕方がなくて苦しい…

そんな、報われない恋愛に苦しむ、ある一人の男の感情や行動を追ってみたいと考え、執筆を始めました。

現実に転がっているかもしれない不倫中の男女の感情や苦悩に焦点を当てたため、中には読まれていてご不快な方もおられたかもしれませんが、あくまで創作物ですので、その点はご容赦ください。

なお、他にもいくつか作品を投稿中です。よろしければそちらもご覧いただけると嬉しいです。

また、いつになるかわかりませんが、二人のその後…続編をかけたら…と、ぼんやりと考えています。
その際は、よろしければまたご覧ください。ありがとうございました。