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〜出会い〜
食事の誘い
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歓迎会の日以降、私は仕事に明け暮れた。
大学を出て、アルバイト以外の仕事経験もなく、本当にわからないことだらけだった。
広報部はパソコンを使うことが日常で、大学で気持ち程度にしかパソコンを触っていなかった私は…本当に覚えることばかりで、日々勉強だった。
杉崎さんと石田さんの指導の下…帰宅したらぐったりでそのままソファーで寝てしまうこともしばしば。
希望の会社に入れたのはいいけど、やっぱり人気の大手企業…簡単に仕事をこなせるようになるほど甘くはないな…と仕事の厳しさを痛感し始めた頃、私は思いがけない人から夕飯のお誘いを受けた。
相手は歓迎会で前の席になった、林智花さん。
何かの折に、彼女が私より6つほど年上だと耳にしたことはあるものの、歓迎会の時以来、席が離れていることもあり、なかなか個人的にゆっくりお喋りする機会はなかった。
それでも、たまたま給湯室やトイレ、休憩室で会った際には、「仕事は慣れた?」とか、「最初から、あまり無理しないようにね」と、にこやかに私に話しかけてくれ、とても良い人だという私の印象は変わるところはなかった。
だから、休憩室でぼーっとコーヒーを飲んでいるときに、彼女から突然、食事のお誘いを受けた時はとても驚いた。係は違えど、初めて職場の人に食事に誘ってもらったことが、本当に嬉しかった。
林さんは仕事が早く、私の返事を受けてすぐにお店の手配をしてくれた。
週末の金曜日…私は珍しく定時であがることを目標に、仕事に優先順位をつけ、急ピッチで動いた。
杉崎さんや石田さんがそんな私の様子を見て、すぐに何か用事があることを察したのか、あまり雑談も降らずに私を送り出してくれた。
「今日は約束か何かかな…?仕事、毎日頑張ってるから、たまにはパーッと、楽しんでおいでよ!」
杉崎さんから、そんな風に声をかけられたので、
「はい!すごく、楽しみにしていた食事会なんです、お先にすみません、行ってきます~」
そう言って、職場を後にした。
お店には6時に現地集合となっていて、まだかなり早いため、私はゆっくりと店へ向かって歩いた。
スペイン料理のお洒落なお店の看板を見つけて、少し時間より早目にお店に入ると、林さんは既にお店の一番奥の席についていた。私にひらひらと手を振りながら「お疲れ様~仕事、大丈夫だった…?」と笑顔を向けてくれる。
「はい!大丈夫です、お待たせしました!失礼します。」少し緊張しながらも、向かいの席に着く。
そのお店は林さんの行きつけのお店らしく、お店の一番の人気メニューのパエリアをメインに、前菜、スープ、サラダなどを注文して料理を待つ間、先にスパークリングワインで乾杯して、私達は話を始めた。
大学を出て、アルバイト以外の仕事経験もなく、本当にわからないことだらけだった。
広報部はパソコンを使うことが日常で、大学で気持ち程度にしかパソコンを触っていなかった私は…本当に覚えることばかりで、日々勉強だった。
杉崎さんと石田さんの指導の下…帰宅したらぐったりでそのままソファーで寝てしまうこともしばしば。
希望の会社に入れたのはいいけど、やっぱり人気の大手企業…簡単に仕事をこなせるようになるほど甘くはないな…と仕事の厳しさを痛感し始めた頃、私は思いがけない人から夕飯のお誘いを受けた。
相手は歓迎会で前の席になった、林智花さん。
何かの折に、彼女が私より6つほど年上だと耳にしたことはあるものの、歓迎会の時以来、席が離れていることもあり、なかなか個人的にゆっくりお喋りする機会はなかった。
それでも、たまたま給湯室やトイレ、休憩室で会った際には、「仕事は慣れた?」とか、「最初から、あまり無理しないようにね」と、にこやかに私に話しかけてくれ、とても良い人だという私の印象は変わるところはなかった。
だから、休憩室でぼーっとコーヒーを飲んでいるときに、彼女から突然、食事のお誘いを受けた時はとても驚いた。係は違えど、初めて職場の人に食事に誘ってもらったことが、本当に嬉しかった。
林さんは仕事が早く、私の返事を受けてすぐにお店の手配をしてくれた。
週末の金曜日…私は珍しく定時であがることを目標に、仕事に優先順位をつけ、急ピッチで動いた。
杉崎さんや石田さんがそんな私の様子を見て、すぐに何か用事があることを察したのか、あまり雑談も降らずに私を送り出してくれた。
「今日は約束か何かかな…?仕事、毎日頑張ってるから、たまにはパーッと、楽しんでおいでよ!」
杉崎さんから、そんな風に声をかけられたので、
「はい!すごく、楽しみにしていた食事会なんです、お先にすみません、行ってきます~」
そう言って、職場を後にした。
お店には6時に現地集合となっていて、まだかなり早いため、私はゆっくりと店へ向かって歩いた。
スペイン料理のお洒落なお店の看板を見つけて、少し時間より早目にお店に入ると、林さんは既にお店の一番奥の席についていた。私にひらひらと手を振りながら「お疲れ様~仕事、大丈夫だった…?」と笑顔を向けてくれる。
「はい!大丈夫です、お待たせしました!失礼します。」少し緊張しながらも、向かいの席に着く。
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