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〜四人〜
拓海の質問
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「こんばんは!また…同じメンバーで会っちゃいましたね!」林さんが私たちのそばまで来て私と拓海に会釈する。
「こんばんは!本当ですね、店は違うけど全く同じ組み合わせだ…すごい確率ですね」拓海がそつなく返事をする。
私と杉崎さんは、無言でそれぞれにお辞儀をした。なんとなくだが、彼と私は全く同じことを考えている気がする。
そのまま…
お願いだからそのまま別の席に座って…
この前みたいに相席になると、きっとまた話す内容とか色々考えることが多くて、せっかく美味しく味わっていた焼き鳥の味すら、わからなくなる気がする…。
「あの…もし良かったら…一緒にどうですか?俺たちついさっき、ここに来たばっかなんですよ。あ…でも、お邪魔ですよね!単なる思い付きなんで、気にしないでください。」
拓海…が、本当に余計なことを口にする。
もしかしてわざと…?
でも拓海は素で、大勢の方が楽しいと思っているだけなのかもしれないとも、思う。
「え~いいですね!楽しそう、ね、修哉さん!あ…でもこちらこそ、お邪魔じゃない?せっかくのデートなのに」
お邪魔です…
完璧に、お邪魔虫です… 私の内心の声…
「いえ、全然。今日は泊まるし、明日も時間がゆっくりあるんで、むしろたくさんで飲む方が楽しいです。な!葉月…!」拓海が軽快に、答える…
「はい!ぜひ…、どうぞ~」私も同調する。
この状況で話を振られて、ハッキリ嫌だと拒否できる人がどれほどいるだろう…
私は気が進まないながら、すぐに二人が座れるように拓海の隣の席へ移動し、卓上を整え、向かいの席に二人を促した。
杉崎さんは少し困った表情を浮かべながらも、
「じゃ…すみませんが、お邪魔します…」
そう言って、杉崎さんと林さんが横並びで席に着く。
「メニューどうぞ!焼き鳥めちゃうまですよ、どんどん頼みましょう、言ってください。飲み物は、最初は生でいいですか?」
拓海はもともとの飲み会の幹事とでもいうように注文をするなどテキパキと働いた。
もともとが体育会系、フットワークも軽いし、大学時代のサークルなどでもよく飲み会に参加していて慣れているのだ。
「では…かんぱーい!」拓海と林さんが元気にグラスをカツンと合わせる。
私も慌てたようにレモン酎ハイのグラスを掲げる。
「お疲れ様です。お二人もデートでしたか?
林さんも帰省してたんですね、俺は今日の昼前、こっちに来たばかりです」
「うん。そうなの、えっと…拓海さんでしたよね?相変わらずお元気そう!九州はどうですか?」
「わ!名前、覚えててくれたんすね、はい、拓海です。九州…まあ、いいところではありますけど、やっぱ東京に比べると、買い物する場所が少なくて困ってます。
俺の好きなブランドの店もなくって、…だから今日は葉月に買い物に散々付き合ってもらいました」
「え~…そうなんですか!… …」
拓海と林さんは、どうやら社交的だという点でタイプが共通するのか、二人だけでも十分に話を弾ませていた。
私と杉崎さんは二人の話に適当に相槌を打ちながら、始終なんとなく、会話に同調していた。
すると、拓海が突然…その場が凍りつくような質問をした。いや…違う。
正確に言うと、私と杉崎さん二人が凍りつくような…と言った方が正しいかもしれない…
「それはそうと、この前旅行の下見に二人で行ったって、葉月に聞いたんですけど、どうでした?いい旅館でしたか?」
拓海の視線が、正面に座る杉崎さんに真っ直ぐに向かう。
それと同時に、林さんの視線が…正面にいる私に向かう。ギラリと…光って見えたのは気のせいだろうか…
… 拓海…
なんで…そんな話を今、この場で…
私は…思考がストップしそうになりながらも、
思わず林さんから目を逸らし、
斜めに座る杉崎さんを見つめた…
「こんばんは!本当ですね、店は違うけど全く同じ組み合わせだ…すごい確率ですね」拓海がそつなく返事をする。
私と杉崎さんは、無言でそれぞれにお辞儀をした。なんとなくだが、彼と私は全く同じことを考えている気がする。
そのまま…
お願いだからそのまま別の席に座って…
この前みたいに相席になると、きっとまた話す内容とか色々考えることが多くて、せっかく美味しく味わっていた焼き鳥の味すら、わからなくなる気がする…。
「あの…もし良かったら…一緒にどうですか?俺たちついさっき、ここに来たばっかなんですよ。あ…でも、お邪魔ですよね!単なる思い付きなんで、気にしないでください。」
拓海…が、本当に余計なことを口にする。
もしかしてわざと…?
でも拓海は素で、大勢の方が楽しいと思っているだけなのかもしれないとも、思う。
「え~いいですね!楽しそう、ね、修哉さん!あ…でもこちらこそ、お邪魔じゃない?せっかくのデートなのに」
お邪魔です…
完璧に、お邪魔虫です… 私の内心の声…
「いえ、全然。今日は泊まるし、明日も時間がゆっくりあるんで、むしろたくさんで飲む方が楽しいです。な!葉月…!」拓海が軽快に、答える…
「はい!ぜひ…、どうぞ~」私も同調する。
この状況で話を振られて、ハッキリ嫌だと拒否できる人がどれほどいるだろう…
私は気が進まないながら、すぐに二人が座れるように拓海の隣の席へ移動し、卓上を整え、向かいの席に二人を促した。
杉崎さんは少し困った表情を浮かべながらも、
「じゃ…すみませんが、お邪魔します…」
そう言って、杉崎さんと林さんが横並びで席に着く。
「メニューどうぞ!焼き鳥めちゃうまですよ、どんどん頼みましょう、言ってください。飲み物は、最初は生でいいですか?」
拓海はもともとの飲み会の幹事とでもいうように注文をするなどテキパキと働いた。
もともとが体育会系、フットワークも軽いし、大学時代のサークルなどでもよく飲み会に参加していて慣れているのだ。
「では…かんぱーい!」拓海と林さんが元気にグラスをカツンと合わせる。
私も慌てたようにレモン酎ハイのグラスを掲げる。
「お疲れ様です。お二人もデートでしたか?
林さんも帰省してたんですね、俺は今日の昼前、こっちに来たばかりです」
「うん。そうなの、えっと…拓海さんでしたよね?相変わらずお元気そう!九州はどうですか?」
「わ!名前、覚えててくれたんすね、はい、拓海です。九州…まあ、いいところではありますけど、やっぱ東京に比べると、買い物する場所が少なくて困ってます。
俺の好きなブランドの店もなくって、…だから今日は葉月に買い物に散々付き合ってもらいました」
「え~…そうなんですか!… …」
拓海と林さんは、どうやら社交的だという点でタイプが共通するのか、二人だけでも十分に話を弾ませていた。
私と杉崎さんは二人の話に適当に相槌を打ちながら、始終なんとなく、会話に同調していた。
すると、拓海が突然…その場が凍りつくような質問をした。いや…違う。
正確に言うと、私と杉崎さん二人が凍りつくような…と言った方が正しいかもしれない…
「それはそうと、この前旅行の下見に二人で行ったって、葉月に聞いたんですけど、どうでした?いい旅館でしたか?」
拓海の視線が、正面に座る杉崎さんに真っ直ぐに向かう。
それと同時に、林さんの視線が…正面にいる私に向かう。ギラリと…光って見えたのは気のせいだろうか…
… 拓海…
なんで…そんな話を今、この場で…
私は…思考がストップしそうになりながらも、
思わず林さんから目を逸らし、
斜めに座る杉崎さんを見つめた…
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