【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~杉崎~

質問タイム

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「さて… 今日の勉強、ここでおしまい!修哉くん、相変わらず優秀だね、やっぱり私の出番ってあんまりない気がする…ほぼ全部、できてるし。」

「いえいえ、そんなことないです。先生の出す問題、普通に高校の授業で出る問題より難しいし…助かってます」

これは本音でもあり、社交辞令…。

沙織の用意してくる問題は確かに若干、レベルが高いのは事実だ。
だが正直、自力で解けるレベルではあるので、あくまで自分の意志ではなく、親が希望しているから甘んじて家庭教師の沙織を受け入れてるだけだ…。

「そ…?なら、私もここに来る意味、少しはあるのか…!」

沙織は俺の本当の気持ちを知ってか知らずかそんな返しをして、俺が出した麦茶をゴクゴクと一気飲みする。

「そうそう、私ずっと聞いてみたかったんだけど… …」
沙織が俺の方を真っすぐに見て、何か言いかける。

「はい?」

「ここから、質問タイムね!…修哉くんってさ、本当に彼女とかいないの…?今…」

「は…??あ…はい、いませんよ。」

沙織がここに来るようになってすぐの頃、勉強の合間に雑談程度で同じことを聞かれたことがあった。
隠す必要もないので、彼女はいないと事実を伝え、好きな子もいないのかと聞かれたので、いないと答えた。

でも今は… いる。
彼女はいないが、気になっている子はいる…。
隣のクラスの、図書委員の女の子… 清楚な雰囲気の可愛らしく、おとなしそうな子…。
別のクラスの男子数人も、その子のことを可愛いと噂していたのを廊下で耳にしたこともある…。

「…いまだに、いないんだ…信じられないな~~ じゃあさ、好きな子は…?気になってる子とかは…?」
沙織は目を輝かせながら話を続ける。
人の恋の話がそんなに楽しいものなのかと不思議になるが、里奈が言うには、女子の世界ではあるあるらしい…。

「… いません… そういう子も… あんま興味なくて…今。」

ここで、気になる子がいるなどと事実を伝えたら、積極的な沙織に、根掘り葉掘り聞かれるに違いない…
もしも話してしまったら、それこそ里奈の時みたいに、家族にうっかりばらされるに違いない…

そんなのはごめんだ… 俺は咄嗟に、否定した。






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