【完結 R18】ほかに相手がいるのに

～答え～

主導権

「…す…　杉崎、さん…　」

ぎゅうと、本当に力いっぱい…思い切り、抱き締められる…　　
私と同じ…ボディソープの香りが、瞬時に私の全身を包み込む…。

「…　…　…　…　」

杉崎さんは無言のままだ…　
ただただ、私を力の限り…抱き締めている…

「あ…　の、…　んっ…　苦しっ…、　んっ…　は、ぁ」

杉崎さんの腕の力が更に強まり…もっと強い力で抱き締められ…
胸が…心臓のあたりが…圧迫されていくような感覚を覚える。　

本当に、苦しい…　　どうしたのだろう…　　　

「あっ…　…の、…」

杉崎さんの腕の中から逃れようと身じろぎをしても…　強い力で抱き締められ、逃げようがない…

「や…　杉崎さっ、ん　…　苦、し…　　ん、んっ…　んぅ…　！？」

顔を上げて、やめてと声をかけようとした瞬間、今度は顎に手がかかる…
いきなり唇を塞がれ…再び、息ができなくなる…

「んっ…　んー…　…　」

キスと同時に、杉崎さんの腕の力は弱まり…
身体は圧迫から解放されて…全身の血液がやっと、じわじわと…動き始めるような感覚を覚える…。

「んっ…　んぅ…　」押し付けられた柔らかな唇の感触に、身体が震える…

すかさず両手で頬を包み込まれ…　やがて、彼の…舌が…冷たい舌が…口内に侵入してくる…

ワインのせいか、舌が冷たい…

でも、すぐに熱を持つ…　
熱すぎる杉崎さんの舌が…柔らかで、少し厚みのある彼の、舌が…
何度も、何度も…角度を変えて、私の震える唇の隙間からねじ込まれ、口内をうごめき、歯列をなぞる…

くちゅ…　くちゅ…ん　　ちゅ…　　

自分の口元で生まれ出ている淫靡な水音に、耳を塞ぎたくなる…

駄目だ…　もう、ダメ…　

こんなキス…
いつも優しい杉崎さんの…こんなにも淫らで荒々しいキスを、私は知らない…　
主導権は、杉崎さんにある…
嵐のように巻き込まれてしまう、男性主導のキス…

気持ちが良すぎて…頭が、おかしくなりそうだ…

私が飲んだものと同じ…甘い、ワインの香りが、口内いっぱいに広がる…。　　

「…　んっ…　ふ…　んんっ…　」　

まだ…　？　　
全然、終わらない、キス…　

前にしたものより長い…　長過ぎる、キス…　　どうしたんだろう…　　

終わらないキスの最中…羞恥のあまり、ギュッと閉じてしまっていた目を、静かに開ける…

心臓が、跳ねる…

杉崎さんがじっと、私の顔を…見ていたからだ…　

嘘…目を…開けてた…？
もしかして最初からずっと…　閉じて、なかったの…？

そこには…　　　私の顔を…

杉崎さんの甘く、激し過ぎるキスで、
どうしようもなく感じてしまっていた、私の…　女の、恥ずかしい表情を…

じっと見つめる杉崎さんが、いた…。