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俺はゆっくりと目を開ける…。

ふと、俺にメイクをしてくれた女子と、目が合う。
「葉山君、…すごいよ、私、自分で言うのもなんだけど、天才かも‥」
「え…?そうなのか、…なんか…ありがとう…」
ごめんけど、本当に名前も顔もわからない見たこともない女子が、俺を真っすぐに見つめて、そんな風に言う…。

「葉山…おまえ、マジでやべえぞ…」
やっぱりさっきの声は田中だった、上から俺を見下ろして、小さくつぶやく。

「…やべえって、なんだよ…俺だってしたくてこんな格好、したわけじゃねえんだし…勘弁しろよ… 全く…男なんだからさ…似合うわけねえだろ…?」

「そうじゃねえ…やべえ… ちょっとおまえ、立ってそこの鏡で自分の姿、見てみろよ…やべえからさ…ああ…マジ、やべえわ、俺…」

さっきから、やべえやべえって連呼しやがって…何なんだよ…俺の名前は矢部じゃねえ…って…突っ込むところはそこじゃない…全くよ…面白がってがっつりメイクなんてしやがって…

俺はのっそりと立ち上がり、ため息をつきながら壁にかかっている鏡へ向かう。

なんか、両隣のメイドの格好した男男した、男どもも…俺をぼうっと見つめている気がするのは、気のせいだろうか…なんなんだよ、…じろじろみんな。恥ずかしい…。
   
でも次の瞬間、俺は…
自分の姿に、… 度肝を、抜かれた…。


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