超科学

海星

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縄張り

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 菅原さんはダウジングで魔術を研究している研究室を探った。

 しかし、化学研究室の面々は知らないが探られている事を察知する魔術もあるのだ。

 化学研究室の動きは近隣の魔術師達の知るところとなった。

 そして「化学研究室には魔術師見習いが複数いるが、魔術師は今不在だ」という事も明るみに出た。

 化学研究室は今大きな動きを見せていない。

 大人しくしている限り、魔術師達は手を出して来ない。

 だがそれはあくまで「魔術師達は」である。

 16世紀にヨーロッパで「魔女狩り」という動きがあり魔術師であるという疑惑をかけられた者達が大量に処刑された。

 今でも魔術師を疎ましく思っている者もいるのだ。

 そんな者共がいなければ魔術師は堂々と表に出てくるだろう。





 魔術師も決して一枚岩ではない。

 足の引っ張り合いも珍しい話ではない。

 倫理学研究室も化学研究室を疎ましく思っている一つだ。

 倫理学研究室では表向き孔子の論語や漢詩を研究しているが、実は東洋魔術を研究している。

 先日、洋子先輩が撃退した式神は倫理学研究室の物だった。

 倫理学研究室は反魔術師の秘密結社に化学研究室を売ったのだ。

 そう言った反魔術の秘密結社がいくつか存在する。

 その一つが大宣が所属する化学研究室に目をつけた。







 「じゃあコイツらを倒して小銭稼ぎでもしますか!」

 「見習いって言ってもまだ見習いになったばっかりの子が二人もいるみたいですよ?」

 「知らねえよ、見習いを始めたばかりでも見習いは見習い、報酬はキチッともらうぜ?」

 「何でコイツらは依頼主にこんなに嫌われてんですか?見習い集団って事はまだほとんど何もしてないんでしょ?」

 「ゴキブリが嫌われるのに理由なんて必要かよ?コイツらは俺達に駆除されるために生まれて来たんだ」

 男達が自分達のアジトで好きな事を言っていた時、化学研究室でもまたその秘密結社の事が話題になっていた事を男達は知らない。







 洋子先輩が菅原さんに聞く。

 「・・・で、敵はどのへんにいるのかしら?」

 菅原さんがダウジングで敵のアジトを割り出す。

 「このへんのハズですけど・・・う~ん」菅原さんは煮え切らない態度だ。

 「何か気になる事でもあるの?」洋子先輩は菅原さんに聞く。

 「いや、罠の可能性があります。ここまで調べやすかった事ってないですし・・・逆に怪しいです」菅原さんは慎重に言う。

 「いや、私達の情報を売った連中はもうわかってんのよ、捕まえてゲロさせたからね。

 私達の敵に魔術師がいない事もわかってるのよ。

 魔術師じゃない連中なんてこんなもんよ?

 別に罠じゃないと思うわ」洋子先輩はあっけらかんと言い放った。





 「考えようによっては新人にちょうど良い相手だと思うわ。

 そんなに強くない相手だと思うし」洋子先輩は微笑む。

 「弱い?

 どういう事ですか?

 魔術師は科学者・・・魔術師じゃない連中に衰退させられたんじゃないですか?」大宣は洋子先輩に尋ねた。

 「科学者だって色々いるわ。

 強い科学者もいれば弱い科学者もいる。

 それは魔術師にも同じ事が言えるわ。

 強い魔術師がいれば弱い魔術師もいる。

 それに今回の敵は科学者じゃない。

 ただの雑魚よ。

 大宣君、あなたは『科学者は強いから魔術師を衰退させた』と思ってるようね。

 それは勘違いよ。

 オーストラリアにいたフクロオオカミは外来種であった犬を一匹で五匹は殺せるほど強かったらしいわ。

 でもその強いフクロオオカミは弱い犬に縄張り争いに負けて絶滅したの。

 何で縄張り争いに負けたかわかる?

 有袋類のフクロオオカミは繁殖力が低かったの。

 それに対して犬はいっぺんに少なくて三匹子犬を産むわ。

 繁殖が容易、という事は戦力の補充が容易、という事なの。

 犬を千匹殺さないと縄張りから犬を追い出さないフクロオオカミと、一匹フクロオオカミを殺すだけで縄張りを手に入れられる犬では勝負にならないわ。

 つまり魔術師は数、縄張り争いで科学者に負けたの。

 いや、科学者達の作った大量破壊兵器より強い魔法もないから火力でも普通に負けているんだけれど。

 それでも魔術師は科学者の脅威になる程度の力は持っているわ。

 こうやって科学者が殺し屋に報奨金を払って魔術師を抹殺しようとする程度には」洋子先輩は怪しく微笑んだ。 
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