超科学

海星

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滑稽

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    「迎え撃つって研究室で迎え撃つんじゃないんですか?」菅原さんが言う。

    菅原さんはマイペースというか、天然だ。

    マイペースだからこそ普通に化学研究室を訪ねて来たのだ。

    最初、洋子先輩は菅原さんの突然の来訪を「何かの罠かも」と思ったと言う。

    最初、菅原さんは念のため殺されても文句は言えない突然の来訪をした。

    だが洋子先輩は菅原さんを徐々に知っていき


    「こりゃどこかの回し者って訳じゃない。

    単なる天然ボケだ」とわかったのだ。




    「いや・・・ここで戦ったら色んな物が壊れるじゃない?

    ここで誰かを殺したら血のりや吐瀉物を消す拭き掃除だって大変だし」洋子先輩はクソ真面目に菅原さんのボケに返した。

    洋子先輩の言ってる事はえげつないけど、こうやって菅原さんのボケにも真面目に答えるし、何か憎めない可愛さが洋子先輩にはあると大宣は思った。



    「ここで暗殺者達を迎え撃つわ」洋子先輩は言うが、迎え撃つ場所は校舎と校舎を繋ぐ三階の渡り廊下にしか見えない。

    「素人考えで申し訳ないですが・・・」大宣は洋子先輩に進言する。

    「これから自分の判断で戦う事もあると思うわ。

    遠慮しないであなたの意見を聞かせてちょうだいね」洋子先輩に促され、大宣は自分の意見を言う。

    「俺がかじった知識では、『相手に狙撃される可能性がある時はこういった窓に囲まれた高所に陣取ってはいけない』んではないですか?

    しかもここは一本道で、身を隠す場所がありません」

    「なるほど。

    まさに相手に今、大宣君が言ったような事を考えさせ、『身を隠す場所がないここであれば銃器を持った自分達が有利だ、ここで戦うしかない』と相手に思わせる事がここに相手を呼び寄せるコツです。

    魔術に限らず勝負の鍵は『虚実』です。

    『チャンスだ』と相手に思わせて、敵をピンチに引き寄せるのです。

    これを『チョウチンアンコウ戦法』と言います。

    まあ、嘘なんですけど」

    こうやってお茶目なところも見せつつ洋子先輩は相手を殺すんだなあ、と。

    これも一種の『虚実』なんだろうか?大宣は思った。




    しばらくすると暗殺者が3人三階の渡り廊下に現れた。

    彼等はこんな一本道で迷子になっているのだろうか?

    不安そうに暗殺者達はウロウロしている。

    「覚えておきなさい。術にかかった人間は滑稽なもんよ。

    しかも、その滑稽さを自分ではわからない」洋子先輩は3人の魔術師見習い達に言った。

    洋子先輩の声に気付いた暗殺者の男達は笑いながら言った。

    「ついにここまで追い詰めたぜ。

    もう隠れる場所はねーぞ?」

    「ホラね?

    術にかかった連中は自分達の滑稽さに気付かないものなのよ」洋子先輩はため息をつきながら言うのだった。
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