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実地研修
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暗殺者達の銃には静音器が付き、銃を撃っても大きな音はせず周りの人には聞こえにくいのだ。
その前に洋子先輩が張った人払いの結界のお蔭で騒ごうが喚こうが大きな音を出そうが人が来る事はないのだが。
「なるほど」大宣は唸った。
暗殺者達は大きな音を立てないように気をつけて戦わなくてはならないが、洋子先輩は結界のお蔭でいつも以上に全力で戦う事が出来る。
大宣は、この差が洋子先輩が余裕綽々な態度を取っている理由だと思った。
しかし洋子先輩の有利はこれだけではない。
「俺達は銃を持っている。
だが貴様らは丸腰だ。
身を隠す場所もない。
死にたくなければ大人しく投降しろ」暗殺者達のリーダーとおぼしき男が言う。
「何を言ってるのよ?
アンタらはただ雇われて仕事として暗殺をしているだけでしょ?
大人しく投降したって、アンタらの雇い主が私達を生かすか殺すかなんて知らないクセに。
アンタらとの交渉なんて無意味なんでしょ?」洋子先輩が呆れたように言う。
「・・・・・・」
暗殺者達は洋子先輩の問いには答えない、図星のようだ。
それに魔術師が丸腰なのは別に不利ではないのだ。
魔術師でない者のイメージでは魔術師は魔杖を持っている。
魔杖は魔力のブースターとしての役割がある。
だが、魔術師という身分を隠している者が「いかにも魔術師」という魔杖を持っているはずがない。
それに魔力のブースターの役割を果たすのは何も魔杖だけではない。
洋子先輩の左胸に付けているブローチには魔力のブースターの役割がある。
「警告するわよ。『魔術師相手に使う銃器は抗魔力仕様の銃器でなくてはならない』
そんなマシンガンは水鉄砲以下のシロモノだわ。
あなた達、魔術師を暗殺した事あんまりないでしょ?
運良く魔術師見習いを暗殺出来て気を良くしちゃった?
故郷に帰るのね。
あなたにも家族がいるのでしょう?」洋子先輩は「どこの米国軍人だよ?」というような事を言った。
「うるせえ!」と暗殺者達は言うやいなや一斉に洋子先輩に向けて発砲した。
マシンガンが産んだ黒煙が晴れると、渡り廊下のカーテンにくるまった洋子先輩が現れた。
「渡り廊下のカーテンには『物理攻撃軽減』の効果を前もって付与しておいたわ。
ここに呼び寄せられたのはあなた達って訳」洋子先輩は暗殺者達に言う。
暗殺者達は苦し紛れに小紫さんに銃口を向けた。
示し合わせた訳ではなく、小紫さんが一番銃の音にビビっていたし、狙いやすそうであったのだ。
「別にあなた達をすぐに壁のシミにかえようと思えば出来たのよ?
最初からこの子達に残酷な光景を見せたくなかったの。
何をもって無事というかは定かではないけど、あなた達の記憶を奪って生きて帰らせるつもりだったのよ?
でもこの子達に銃口を向けるなら話は変わってくるわ。
命の保証は出来ない。
これは脅しじゃない、忠告よ?」気のせいかそう言う洋子先輩の目がギロリと光ったような気がした。
「口のきき方に気を付けな!
『どうかこの子達に銃口を向けないでください』だろうが!」暗殺者達のリーダーとおぼしき男ががなり倒す。
「・・・そう。
別に撃っても良いわよ」そう冷静に言う洋子先輩にカブり気味に小紫さんが「良くない!全然良くない!撃たないで!」と言う。
洋子先輩が許可したから、という訳でもないのだろうが暗殺者達は小紫さんに銃口を向けると引金を引いた。
可哀想に・・・小紫さんは多分少しチビっている。
目を瞑って小紫さんは蜂の巣になる覚悟をする。
だが待てど暮らせど蜂の巣にはならない。
小紫さんが目を開けて見ると銃が暴発し、血まみれで倒れている3人の暗殺者の姿があった。
「はい、これが出来ると便利よ~。
魔術で銃身の内側に傷を付けて意図的に腔発事故を起こさせるのよ。
第二次世界大戦以前は一番恐れられた事故だったのよ?
第二次大戦以降は腔発事故は激減したし銃の構造的に腔発事故は起きにくくなったけど、間違いなく相手が持ってる銃が腔発するように繰返し練習してね。
そうすれば銃なんて銀玉鉄砲より怖くないから。
では実地研修を終了します」洋子先輩はどこまでふざけていて、どこまで本気なんだろう?
大宣にはわからなかった。
その前に洋子先輩が張った人払いの結界のお蔭で騒ごうが喚こうが大きな音を出そうが人が来る事はないのだが。
「なるほど」大宣は唸った。
暗殺者達は大きな音を立てないように気をつけて戦わなくてはならないが、洋子先輩は結界のお蔭でいつも以上に全力で戦う事が出来る。
大宣は、この差が洋子先輩が余裕綽々な態度を取っている理由だと思った。
しかし洋子先輩の有利はこれだけではない。
「俺達は銃を持っている。
だが貴様らは丸腰だ。
身を隠す場所もない。
死にたくなければ大人しく投降しろ」暗殺者達のリーダーとおぼしき男が言う。
「何を言ってるのよ?
アンタらはただ雇われて仕事として暗殺をしているだけでしょ?
大人しく投降したって、アンタらの雇い主が私達を生かすか殺すかなんて知らないクセに。
アンタらとの交渉なんて無意味なんでしょ?」洋子先輩が呆れたように言う。
「・・・・・・」
暗殺者達は洋子先輩の問いには答えない、図星のようだ。
それに魔術師が丸腰なのは別に不利ではないのだ。
魔術師でない者のイメージでは魔術師は魔杖を持っている。
魔杖は魔力のブースターとしての役割がある。
だが、魔術師という身分を隠している者が「いかにも魔術師」という魔杖を持っているはずがない。
それに魔力のブースターの役割を果たすのは何も魔杖だけではない。
洋子先輩の左胸に付けているブローチには魔力のブースターの役割がある。
「警告するわよ。『魔術師相手に使う銃器は抗魔力仕様の銃器でなくてはならない』
そんなマシンガンは水鉄砲以下のシロモノだわ。
あなた達、魔術師を暗殺した事あんまりないでしょ?
運良く魔術師見習いを暗殺出来て気を良くしちゃった?
故郷に帰るのね。
あなたにも家族がいるのでしょう?」洋子先輩は「どこの米国軍人だよ?」というような事を言った。
「うるせえ!」と暗殺者達は言うやいなや一斉に洋子先輩に向けて発砲した。
マシンガンが産んだ黒煙が晴れると、渡り廊下のカーテンにくるまった洋子先輩が現れた。
「渡り廊下のカーテンには『物理攻撃軽減』の効果を前もって付与しておいたわ。
ここに呼び寄せられたのはあなた達って訳」洋子先輩は暗殺者達に言う。
暗殺者達は苦し紛れに小紫さんに銃口を向けた。
示し合わせた訳ではなく、小紫さんが一番銃の音にビビっていたし、狙いやすそうであったのだ。
「別にあなた達をすぐに壁のシミにかえようと思えば出来たのよ?
最初からこの子達に残酷な光景を見せたくなかったの。
何をもって無事というかは定かではないけど、あなた達の記憶を奪って生きて帰らせるつもりだったのよ?
でもこの子達に銃口を向けるなら話は変わってくるわ。
命の保証は出来ない。
これは脅しじゃない、忠告よ?」気のせいかそう言う洋子先輩の目がギロリと光ったような気がした。
「口のきき方に気を付けな!
『どうかこの子達に銃口を向けないでください』だろうが!」暗殺者達のリーダーとおぼしき男ががなり倒す。
「・・・そう。
別に撃っても良いわよ」そう冷静に言う洋子先輩にカブり気味に小紫さんが「良くない!全然良くない!撃たないで!」と言う。
洋子先輩が許可したから、という訳でもないのだろうが暗殺者達は小紫さんに銃口を向けると引金を引いた。
可哀想に・・・小紫さんは多分少しチビっている。
目を瞑って小紫さんは蜂の巣になる覚悟をする。
だが待てど暮らせど蜂の巣にはならない。
小紫さんが目を開けて見ると銃が暴発し、血まみれで倒れている3人の暗殺者の姿があった。
「はい、これが出来ると便利よ~。
魔術で銃身の内側に傷を付けて意図的に腔発事故を起こさせるのよ。
第二次世界大戦以前は一番恐れられた事故だったのよ?
第二次大戦以降は腔発事故は激減したし銃の構造的に腔発事故は起きにくくなったけど、間違いなく相手が持ってる銃が腔発するように繰返し練習してね。
そうすれば銃なんて銀玉鉄砲より怖くないから。
では実地研修を終了します」洋子先輩はどこまでふざけていて、どこまで本気なんだろう?
大宣にはわからなかった。
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