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過呼吸
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「教員になるには『教育心理学』って授業を受けなきゃいけないの」葵ちゃんは大宣に言った。
話の発端は大宣が軽く「教員にでもなろうかな~?」と言い、葵ちゃんが「教員はそんなに甘くない」と大宣にガラにもなく説教しようとして話が脱線しまくって話が迷走しているのだ。
「生徒が放課後こっくりさんをやっていて、こっくりさんをやってた女の子達が全員倒れたのよ。
最初に倒れた女の子は『霊感が強い』って周りに言って回ってる女の子だった訳」葵ちゃんは大宣に言う、最初にしていた「教員になるのは大変だ」という話はどこへやら。
「へ~。
じゃあそれって心霊現象だった訳?」大宣にとって大して興味深い話ではなかったが、説教よりはいくぶんマシである。
大宣は葵ちゃんに相槌を入れて、気分良く話させる事にした。
「ううん、多分違う。
こういった事例は珍しくないらしく、教育心理学で学ぶのよ。
昔は『集団ヒステリー』って言われてたみたいね。
ヒステリーの語源って『子宮』だからフェミニスト達が騒いだみたいで、今は『集団過呼吸』なんて言われてるわ。
この『集団過呼吸』の特徴は
・倒れる人は女性、特に思春期の生徒に多い。
・最初に倒れる人は「影響力が強い」「感受性が強い」事が多い。
・強いストレス、緊張感を感じるようなシチュエーションで発生する事が多い。
つまり日常的に起きてる事なの」と葵ちゃん。
「そんなバタバタ生徒が倒れたら先生は大変だね。
でも一緒にいた先生が倒れる事もあるんでしょ?そうしたらどうするの?」と大宣。
「それは不思議とないの。
『集団過呼吸』は責任感が強い者、社会人は生徒と年齢がほとんど変わらなくても発症しない、と言われているわ。
別に倒れた女の子達が責任感がない訳じゃないの。
倒れた女の子達が真面目に部活に取り組んでいた子達で、顧問の先生に説教されて倒れるケースが一番多いくらいよ。
そうじゃなくて倒れた子達になかったのは覚悟なの。『自分で何とかするんだ』という覚悟があれば倒れないと言われているわ。
しょせんは集団心理なの。
『周りが倒れたから自分も倒れよう』って。
『周りが倒れたから自分はしっかりしなきゃ』と思えば倒れるわけがないの。
実際、『集団過呼吸』を発症した少女の集団を引率していた若い女性教員が『集団過呼吸』に巻き込まれた、というケースは報告されていないわ」と葵ちゃん。
「って事は影響力が強い、リーダーシップがあるヤツを倒れさせたら周りの生徒をみんな倒れさせる事が出来るって事?」と大宣。
「出来るかもね。
でもそんな事にどんな意味があるかは知らないけどね」葵ちゃんは最初の話をスッカリ忘れ笑った。
一歩必修の授業が行われる教室に化学研究室の3人が足を踏み入れた。
教室の中にいる生徒達が全て倒れている。
倒れているのは女生徒ばかりではない。
男子生徒も倒れている。
大宣は葵ちゃんが「男性は過呼吸になりにくいというだけでならない訳じゃない。集団過呼吸も同じだ」と言っていた事を思い出した。
魔術を使わないでも集団を昏倒させる事は容易い、ましてや魔術を使えば教室の人間を倒れさせるのくらいは朝飯前だ。
教壇の前に黒いローブを着た女性が立っていた。
「チッ!アイツが相手とはね!」洋子先輩がどこからともなく現れた。
大宣達のお手並みを見ようとどこかにいるとは思っていたが、思っていたより早く思っていたより近くに洋子先輩は登場した。
「ここで倒れている人らを避難させるわよ!」洋子先輩が3人に言う。
「洋子先輩には珍しく人道的ですね?何か悪いモノでも食べたんですか?」大宣が少しちゃかしながら洋子先輩に言う。
「アンタ、あとで校舎の屋上に来なさい。
でも今は全員でここにいる人を避難させるのよ。
アイツはネクロマンサー、ここにいる連中を全員殺して仲間にするつもりよ。
アンデッドとは言え、ここにいる全員を相手に出来る?出来ないでしょ?」
話の発端は大宣が軽く「教員にでもなろうかな~?」と言い、葵ちゃんが「教員はそんなに甘くない」と大宣にガラにもなく説教しようとして話が脱線しまくって話が迷走しているのだ。
「生徒が放課後こっくりさんをやっていて、こっくりさんをやってた女の子達が全員倒れたのよ。
最初に倒れた女の子は『霊感が強い』って周りに言って回ってる女の子だった訳」葵ちゃんは大宣に言う、最初にしていた「教員になるのは大変だ」という話はどこへやら。
「へ~。
じゃあそれって心霊現象だった訳?」大宣にとって大して興味深い話ではなかったが、説教よりはいくぶんマシである。
大宣は葵ちゃんに相槌を入れて、気分良く話させる事にした。
「ううん、多分違う。
こういった事例は珍しくないらしく、教育心理学で学ぶのよ。
昔は『集団ヒステリー』って言われてたみたいね。
ヒステリーの語源って『子宮』だからフェミニスト達が騒いだみたいで、今は『集団過呼吸』なんて言われてるわ。
この『集団過呼吸』の特徴は
・倒れる人は女性、特に思春期の生徒に多い。
・最初に倒れる人は「影響力が強い」「感受性が強い」事が多い。
・強いストレス、緊張感を感じるようなシチュエーションで発生する事が多い。
つまり日常的に起きてる事なの」と葵ちゃん。
「そんなバタバタ生徒が倒れたら先生は大変だね。
でも一緒にいた先生が倒れる事もあるんでしょ?そうしたらどうするの?」と大宣。
「それは不思議とないの。
『集団過呼吸』は責任感が強い者、社会人は生徒と年齢がほとんど変わらなくても発症しない、と言われているわ。
別に倒れた女の子達が責任感がない訳じゃないの。
倒れた女の子達が真面目に部活に取り組んでいた子達で、顧問の先生に説教されて倒れるケースが一番多いくらいよ。
そうじゃなくて倒れた子達になかったのは覚悟なの。『自分で何とかするんだ』という覚悟があれば倒れないと言われているわ。
しょせんは集団心理なの。
『周りが倒れたから自分も倒れよう』って。
『周りが倒れたから自分はしっかりしなきゃ』と思えば倒れるわけがないの。
実際、『集団過呼吸』を発症した少女の集団を引率していた若い女性教員が『集団過呼吸』に巻き込まれた、というケースは報告されていないわ」と葵ちゃん。
「って事は影響力が強い、リーダーシップがあるヤツを倒れさせたら周りの生徒をみんな倒れさせる事が出来るって事?」と大宣。
「出来るかもね。
でもそんな事にどんな意味があるかは知らないけどね」葵ちゃんは最初の話をスッカリ忘れ笑った。
一歩必修の授業が行われる教室に化学研究室の3人が足を踏み入れた。
教室の中にいる生徒達が全て倒れている。
倒れているのは女生徒ばかりではない。
男子生徒も倒れている。
大宣は葵ちゃんが「男性は過呼吸になりにくいというだけでならない訳じゃない。集団過呼吸も同じだ」と言っていた事を思い出した。
魔術を使わないでも集団を昏倒させる事は容易い、ましてや魔術を使えば教室の人間を倒れさせるのくらいは朝飯前だ。
教壇の前に黒いローブを着た女性が立っていた。
「チッ!アイツが相手とはね!」洋子先輩がどこからともなく現れた。
大宣達のお手並みを見ようとどこかにいるとは思っていたが、思っていたより早く思っていたより近くに洋子先輩は登場した。
「ここで倒れている人らを避難させるわよ!」洋子先輩が3人に言う。
「洋子先輩には珍しく人道的ですね?何か悪いモノでも食べたんですか?」大宣が少しちゃかしながら洋子先輩に言う。
「アンタ、あとで校舎の屋上に来なさい。
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