超科学

海星

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覚悟

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 魔術で洋子先輩や他の女の子達が倒れている人達を室外にまとめて運んでいる。

 「・・・そんな事、俺出来ないし」大宣だけポツンと取り残されていた。

 不幸中の幸いだろうか。

 作業に集中していたら敵の動きには気付けなかっただろう。

 何もしていないからこそ敵の動きに気付けたのだ。

 フードを着た少女が木と鉄で出来た椅子に何か呪文をかけ手を翳すと、椅子が捻じれ大宣に襲い掛かってきた。

 「うぉ!あぶねーな!」大宣は座っていた椅子を盾にし攻撃を防いだ。





 少女は間違いなく俺を狙って攻撃している。

 「俺を殺して死体を操れば、洋子先輩は俺の死体に攻撃出来ないと思ってないか?

 甘いな、洋子先輩は血も涙もない女なんだ。

 笑いながら俺の死体を粉々にするに決まってんじゃねーか!」大宣は椅子の攻撃を防ぎながら叫んだ。

 「大宣君・・・

 本当に後で覚えてなさいよ。

 今はまあ良いわ。

 ネクロマンシーの基礎、物に魂をこめる・・・

 例えばその椅子みたいに魂を込められた物はネクロマンサーの言う事を聞いて襲い掛かって来るわ。

 でも椅子みたいな物には下級精霊の魂は込めれても、死霊・悪霊・下級悪魔の魂は込めれないし大した戦力にはならないの。

 ネクロマンサーが本領を発揮するのは死体に魂を込めた時よ!」洋子先輩は教室の外に人を運びながら、遠くから叫ぶ。

 「それより洋子先輩戦ってくださいよ!

 俺には荷が重すぎます!」大宣は悲鳴を上げながら椅子の攻撃を椅子で防いでいる。

 「大宣君がこの運搬作業を出来るなら私が戦っても良いわ。

 でもコレ、大宣君出来ないでしょ?

 逃げ遅れた人達全てが敵になるの。

 あんまり敵が多いと私でも勝てる保証はない。

 適材適所よ、私が運搬作業を行って大宣君が戦う・・・。

 大丈夫!大宣君は戦闘の中で強くなっていく戦闘民族だから!」洋子先輩の根拠のない信頼が痛い。

 「強くなる前に死んじゃいますよ!死んだら洋子先輩に攻撃しますよ?良いんですか?」大宣はわめき散らした。

 「大丈夫!戦闘民族は死にかけるたびに強くなるから。

 それに安心してね?

 たとえ死体になって私に襲い掛かってきても何も考えずに一瞬で潰すから」洋子先輩は微笑みながらえげつない事を言った。

 「わーい、そっかー、よかったー!

 ・・・って全然良くないわ!」大宣は叫んだ。

 「大宣君、ノリツッコミを身につけたわね。

 その調子で戦闘技術も身につけてちょうだいね」

 洋子先輩は本気のようだ。

 大宣は運搬作業は出来ないし、何より相手は明らかに大宣を狙っている。

 他の同級生の女の子は運搬作業を頑張っている。

 いつまでも自分だけ役立たずと言う訳にはいかない。

 大宣はしょうがなく覚悟を決めた。 
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