超科学

海星

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心当たり

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    なぜ未完成のボツとは言えこの論文がこの研究室にあるのか?

    当時の研究室を知っている者二名に心当たりがある。

    一人は大宣の義理の母親、佐々木和美である。

   だが和美が大宣とまともに会話するとは考えにくく、それどころか和美が魔術師である事を指摘したら高確率で殺し合いに発展するだろう、そうでなくとも今までに何度か大宣を殺そうと毒物を飲まそうとした女だ。

    和美に聞くのは得策ではない。

    ではもう一人に聞けば良い。

    小紫さんに一芸入試を受けさせ化学研究室に入れようとした『インチキエクソシスト』・・・

    彼女は早坂教授の学生時代の同級生であり、化学研究室に所属していたはずだ。

    彼女であれば大宣を産んだ女性と論文の関連性を説明出来るかも知れない。

 小紫さんや菅原さんを巻き込みたくないが、何が起きているか二人がわからない状態で巻き込まれるのだけは阻止したい。

 大宣はこれまで何が起きて来たのか、これからどうするつもりなのかを二人に話した。

    大宣達は『インチキエクソシスト』に会いに行く事にした。

    小紫さんはあまり乗り気ではないようだ。

    小紫さんが『インチキエクソシスト』というくらいだ、小紫さんは彼女の事をあまり・・・というか全然信用していないようだ。

    小紫さんのお父さんは娘を溺愛していた。

    娘が悪霊に呪われたと言われた時「世界中がお前の敵になっても俺だけはお前の味方だからな」とそこら中から除霊出来ると言われている霊能者を連れて来たらしい。

    本当に沢山『インチキ霊媒師』が来たそうだ。

 そして小紫さんが起こすポルターガイスト現象を見て恐れたらしい。

 「霊媒師が霊障を恐れてどうするんだ?」という話だが、中には本物のエクソシストもいたらしい。

 エクソシストは「これは霊障じゃない。私の専門じゃない」と『インチキエクソシスト』を紹介してくれたとの事だ。

 「これは霊障じゃない。魔術の発露さ」とインチキエクソシストは言うと同じポルターガイスト現象を起こしてみせた。

 「アンタはこのモノを触らなくても動かせる能力を制御出来れば化け物扱いされない。

 しかも私と二人で荒稼ぎが出来る」インチキエクソシストは言った。

 彼女のシノギは自分で霊障のように物を動かし、除霊したフリをする。

 除霊のフリが終わった後、物を動かすのはやめ「除霊は完了しました」と言って金を受け取る、というものだ。

 そして小紫さんはインチキエクソシストの紹介で洋子先輩の恩師でもある魔術に多少理解がある教師のいる高校に入学した。その教師の薦めもあり大学の一芸入試を受験し「化学研究室」の門下生になった、という訳だ。
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